凝集体(HMW)除去
金属親和とイオン交換の複合機構で単量体と凝集体を分離する。
- HMW低減
- 単量体回収
セラミック・ハイドロキシアパタイト(CHT)は、リン酸カルシウム結晶を焼成した多孔質担体で、カルシウムの金属親和とリン酸の陽イオン交換を併せ持つミックスモードのポリッシング材である。抗体精製では、Protein A・イオン交換の後段で、凝集体・HCP・残存DNAを一段で同時に低減する仕上げ工程に使われる。電荷だけでは分けにくい近接成分を分離できる一方、酸・低リン酸・キレート剤に弱く、最低リン酸濃度の維持と溶出条件の設計が運転の鍵になる。
セラミック・ハイドロキシアパタイトは、Ca10(PO4)6(OH)2の結晶を高温焼成して機械的強度を持たせた多孔質ビーズで、表面に二種類の官能サイトを併せ持つミックスモード担体である。カルシウム由来の金属親和(金属配位)サイトはタンパク質のカルボキシル基やリン酸基・核酸と相互作用し、リン酸由来の負電荷(陽イオン交換)サイトは塩基性アミノ基と静電的に結合する。この複合的な分離機構により、単一の電荷やpIだけでは分けにくい凝集体・HCP・DNAを一段で切り分けられる。
選定軸は、まずType I/Type IIの結晶構造の違いである。Type Iは小さな細孔と高いタンパク質結合容量を持ち酸性タンパク質や核酸に強く、Type IIは大きな細孔で凝集体や大型分子・ウイルス・核酸に向く。CFT(フッ素化アパタイト)は化学的安定性が高く低リン酸条件でも溶解しにくい。粒子径(20/40/80µm)は分離能と背圧のトレードオフで、プロセスでは40/80µmが一般的。溶出はリン酸ナトリウムのグラジエント、または塩化ナトリウム+リン酸の二系統で設計し、抗体ポリッシュでは凝集体と単量体の分離を狙う。
工程上の最大の注意点は、担体がリン酸カルシウム結晶であるため酸に弱く、低pH・低リン酸条件で溶解・性能劣化を起こす点である。平衡化・洗浄・保存には最低リン酸濃度(多くは5mmol/L以上、運転pH6.5〜8前後)を保ち、キレート剤や強酸を避ける。ロード液中のクエン酸・EDTAなどのカルシウムキレート成分は担体を侵すため事前に除く。CIPは1mol/L NaOHでのアルカリサニタイズが可能だが、カラム寿命・カルシウム漏出・前処理由来の沈殿には注意し、スケールアップ時はバッチ間の結晶ロット差も確認する。
ロード液からキレート成分を除き、リン酸を含む平衡化バッファーでカラムを整えてから目的物を結合させ、リン酸ナトリウムまたは塩化ナトリウム+リン酸のグラジエントで凝集体や不純物と分離して溶出する。
CHTは、捕捉・イオン交換の後段で凝集体・HCP・DNAを同時に仕上げるミックスモードのポリッシュ工程を中心に、開発からGMP製造まで使われる。
金属親和とイオン交換の複合機構で単量体と凝集体を分離する。
残存HCPと宿主由来核酸を一段で同時に低減する。
リン酸グラジエントで目的物を結合・溶出し純度を上げる。
Type/粒子径・溶出系・リン酸濃度・pHを最適化する。
CHTは、捕捉後に凝集体・HCP・DNAをまとめて仕上げる必要があるモダリティーで、ミックスモードのポリッシュ段として使われる。