免疫沈降・プルダウン(IP/Co-IP)
免疫沈降・プルダウン(IP/Co-IP)
免疫沈降(IP)は、抗体やタグを使って目的のタンパク質や複合体を選択的に回収する手法です。単独のタンパク質を狙うIPのほか、結合パートナーごと回収して相互作用を調べるCo-IP、DNA結合を見るChIP、そしてタグ親和性を使うプルダウンまで、目的に応じて担体と手順を選びます。担体はProtein A/Gを結合した磁気ビーズとアガロースビーズが中心で、キットには抗体をビーズに共有結合させて溶出時の混入を抑えるタイプもあります。
- 分類
- 免疫沈降・プルダウン(IP/Co-IP)
- 主な用途
- IP / Co-IP / ChIP / プルダウン / 磁気ビーズ
- 代表メーカー
- Thermo Fisher Scientific(Invitrogen)・Thermo Fisher Scientific(Pierce)・Cytiva・Cell Signaling Technology ほか計7社
- 関連キーワード
- Protein A/G / Dynabeads / 磁気ビーズ / クロスリンクIP / ChIP / タグ親和性プルダウン
用途・特徴
担体選びの軸は、まず磁気ビーズかアガロースビーズかです。磁気ビーズは遠心を使わずマグネットで分離できるため操作が速く、非特異的結合を抑えやすい傾向があります。アガロースビーズは多孔質で結合容量が高く、実績も長いので、条件が確立している系では引き続き選ばれています。Protein Aは主にヒトやウサギのIgGに、Protein Gはマウスやラットを含む幅広い動物種のIgGに結合するため、使う一次抗体の由来に合わせて選ぶか、両者を混ぜたProtein A/Gタイプを選びます。
Co-IPで相互作用や翻訳後修飾を解析する場合は、溶出時に抗体の重鎖・軽鎖バンドが目的シグナルに重なる問題が起きがちです。これを避けるには、抗体をビーズにあらかじめ共有結合(クロスリンク)させておくキットが有効で、変性溶出しても抗体断片が混入しにくくなります。ChIPを行う場合は、クロマチンの断片化を酵素消化で行うキットとソニケーションで行うキットがあり、酵素消化はばらつきを抑えやすい選択肢です。
Point
- 磁気ビーズは遠心不要で操作が速く、非特異的結合を抑えやすい
- アガロースビーズは結合容量が高く、確立した系での実績が長い
- Protein AとGは対応するIgGの動物種が異なり、A/G混合型もある
- クロスリンクキットは溶出時の抗体断片混入を抑えられCo-IPに有利
- ChIPは酵素消化とソニケーションで断片化方式を選べる
- タグ親和性ビーズを使えば抗体なしでタグ融合タンパク質をプルダウンできる
使用方法
IP・Co-IPの標準的な流れは、担体と抗体を選び、ライセートと反応させて磁気またはビーズで回収し、溶出して下流解析にかけるという手順です。
1抗体の由来に合わせてProtein A/Gと磁気/アガロースを選ぶ
2細胞・組織ライセートを調製し、必要に応じてプレクリアする
3抗体をビーズに結合、Co-IPではクロスリンクも検討する
4ライセートと反応させ免疫複合体を形成する
5磁気分離または遠心で回収し、洗浄で非特異結合を除く
6溶出してWB・質量分析など下流解析にかける
メーカー製品
Thermo Fisher Scientific(Invitrogen)Dynabeads Protein G for ImmunoprecipitationProtein Gを結合した超常磁性ビーズで、遠心を使わずに磁気分離でIP・Co-IPを行えます。抗体消費量が少なく非特異的結合が低い点が特徴です。公式URL
Thermo Fisher Scientific(Pierce)Pierce Crosslink Magnetic IP/Co-IP KitDSSで抗体をProtein A/G磁気ビーズに共有結合させ、溶出時に抗体断片が混入しないIP・Co-IPを行えるキットです。バッファー類が一式そろっています。公式URL
Thermo Fisher Scientific(Pierce)Pierce Crosslink IP Kitアガロース(Protein A/G Plus)版のクロスリンクIPキットです。抗体をDSSで固定してからIPするため、変性溶出でも抗体の重鎖・軽鎖バンドの干渉を抑えられます。公式URL
CytivaProtein A / Protein G Sepharose 4 Fast FlowIgGのFc領域に結合するnProtein A Sepharose 4 Fast FlowとProtein G Sepharose 4 Fast Flowのアガロースレジンです。実績が長く、抗体精製やIPに広く使われています。公式URL
Cell Signaling TechnologySimpleChIP Enzymatic Chromatin IP Kit(Magnetic Beads)Micrococcal Nucleaseの酵素消化でクロマチンを断片化し、磁気ビーズでタンパク質-DNA相互作用を解析するChIPキットです。ソニケーションのばらつきを避けられます。公式URL
Miltenyi BiotecµMACS Protein A / Protein G Kitsコロイド状の超常磁性マイクロビーズをMACSカラムに通してオンカラムでIP・Co-IPを行うキットです。免疫複合体を約30分で形成でき、非特異的背景を抑えられます。公式URL
Bio-RadSureBeads Protein A / Protein G Magnetic Beads超常磁性コアの磁気ビーズで、専用マグネットラックと組み合わせて遠心なしにIP・複合体プルダウンを行えます。非特異的結合が低い点が特徴です。公式URL
Merck(Sigma-Aldrich)Protein G PLUS/Protein A Agarose Suspension(IP05)Protein G PLUSとProtein Aをアガロースに結合させ、IP向けにBSAでブロッキングした懸濁液です。幅広い動物種のIgGに対応します。公式URL