核酸合成

オリゴ脱保護試薬(アンモニア・フッ化物)

オリゴ脱保護試薬は、固相合成後のオリゴ核酸から塩基・リン酸の保護基を外し、担体から切り出すための塩基性試薬(アンモニア水・AMA)と、RNAの2'-水酸基保護基をフッ化物で除去する試薬(TEA·3HF等)の総称。脱保護条件は収率・副反応・修飾の安定性を左右し、保護基化学と一体で選定する。

塩基・リン酸脱保護AMA/アンモニア水2'-脱保護(フッ化物)TEA·3HF/TBAF核酸合成
分類
核酸合成
主な用途
塩基・リン酸脱保護 / AMA/アンモニア水 / 2'-脱保護(フッ化物) / TEA·3HF/TBAF / 核酸合成
関連モダリティ
siRNA / アンチセンス核酸(ASO) / mRNA(鋳型・キャップ関連オリゴ) / CRISPRガイドRNA(sgRNA) / アプタマー
代表メーカー
Glen Research(Maravai LifeSciences)・Merck(Sigma-Aldrich)・Honeywell(Fluka研究用化学品)・Thermo Fisher Scientific ほか計6社
関連キーワード
脱保護 / 核酸医薬 / オリゴ核酸 / RNA合成 / AMA / フッ化物

用途・特徴

固相合成で伸長させたオリゴ核酸は、塩基のアミノ基とリン酸ジエステルがアシル基やシアノエチル基などで保護されている。これらの除去(脱保護)と固相担体からの切り出しに、アンモニア水やAMA(アンモニア水と40%メチルアミン水の1:1混液)といった塩基性試薬を用いる。AMAは65℃・10分程度で切り出しと塩基脱保護を同時に完了でき、標準のアンモニア水(55℃・数時間〜一晩)より大幅に短時間で処理できる点が特長。ただしAMA使用時はdCの脱アミノ(トランスアミネーション)を避けるためAc保護dCアミダイトの併用が推奨される。

RNAでは塩基・リン酸の脱保護に加えて2'-水酸基の保護基除去が必要になる。2'-O-TBDMS保護では、フッ化物源であるTEA·3HF(トリエチルアミン三フッ化水素酸塩)やTBAF(フッ化テトラブチルアンモニウム)でSi-O結合を切断する。TEA·3HFはガラスを侵しにくくほぼ中性で、DMSO等の共溶媒中65℃で脱シリル化する手順が定着している。2'-O-TOM保護ではフッ化物処理の条件が異なり、保護基化学と脱保護試薬は一体で選ぶ。

選定軸は、保護基化学との整合・処理時間と温度・修飾核酸やラベルの安定性・スケールと安全性に整理できる。蛍光色素や塩基修飾を含む配列では、より穏和なAPAやK2CO3/メタノール、室温脱保護などの代替条件を検討する。脱保護は副反応(脱プリン、N-アシル残留、2'脱保護不全)と直結するため、試薬グレード・含水率・新鮮さの管理が品質に効く。GMP製造ではアンモニア・フッ化物の取り扱い安全性と廃液処理も含めて工程設計する。

Point
  • 塩基・リン酸保護基の除去と担体からの切り出しにアンモニア水・AMAを用いる
  • AMAは65℃・10分程度で高速脱保護でき、標準アンモニア水より短時間
  • AMA使用時はdC脱アミノを避けるためAc-dCアミダイトの併用が推奨
  • RNAの2'-O-TBDMS除去にはフッ化物(TEA·3HF・TBAF)が必要
  • TEA·3HFはほぼ中性でガラスを侵しにくく、共溶媒中65℃で脱シリル化
  • 保護基化学(標準/Ac/TOM等)と脱保護試薬は一体で選定する
  • 蛍光・塩基修飾配列ではAPA・K2CO3/MeOH等の穏和な代替条件を検討
  • 試薬グレード・含水率・新鮮さの管理と、アンモニア/フッ化物の安全取り扱いが要点

使用方法

固相合成後のDNA/RNAを脱保護・精製へ渡す基本フロー。試薬の選択は保護基化学と修飾の有無で決まる。

1合成カラム/プレートを乾燥させ脱保護試薬を選定
2アンモニア水またはAMAで切り出し・塩基脱保護
3加熱(例:AMA 65℃ 10分/アンモニア 55℃ 数時間)
4冷却・乾固し塩基性試薬を除去
5RNAはTEA·3HF等で2'-O-TBDMSを脱シリル化
6クエンチ・脱塩後にHPLC/PAGEで精製・分析
温度・時間・試薬は保護基化学(標準/Ac/TOM)と修飾(蛍光・塩基修飾・ホスホロチオエート)で変わる。修飾配列では穏和な代替条件(APA、K2CO3/MeOH、室温脱保護)を検討し、脱保護不全と副反応をHPLC/MSで確認する。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)