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RoboColumn(ハイスループット精製検討)

RoboColumnは、樹脂を充填した50〜600µL程度の超小型カラムを液体ハンドラー(自動分注ロボット)に載せ、多数の樹脂・条件を並列に評価するハイスループットプロセス開発(HTPD)の手法です。少ない試料量で結合・洗浄・溶出を網羅的に振り、DoE的に操作域を絞り込みます。RoboColumnはRepligen(旧Atoll)の製品名で、樹脂はプレフィル品のほか自前充填でも使われます。

HTPD樹脂スクリーニングDoE少サンプル

用途・特徴

従来のベンチカラム検討では、1条件あたり数mL〜数十mLの試料と相応のラン時間を要し、樹脂・pH・塩濃度・滞留時間などを総当たりで振ると工数が膨らみます。RoboColumnは樹脂を10〜30mm程度のベッド高で充填した超小型カラムを、Tecanなどの液体ハンドラーのデッキに最大96本まで並べ、平衡化・ロード・洗浄・溶出のステップを分注で進めることで、1日で多数の擬似クロマトグラム相当のデータを取得します。

得られるのは保持・破過・回収・純度の傾向で、絶対値そのものより条件間の比較に意味があります。少ない試料で広い実験空間を一度に見渡せるため、DoE(実験計画法)と相性が良く、QbDの枠組みで操作パラメータの主効果・交互作用を早期に把握する用途に向きます。ここで有望条件を数点に絞り、続くベンチ〜プロセスカラムで検証する、という段階的な進め方が一般的です。

RoboColumnはプレフィル品(プロテインA・IEX・HIC・マルチモードなどを充填済み)と、空カラムへ自前で樹脂を充填する使い方の両方があります。CytivaのPreDictorやBio-RadのForesight、TosohのToyoScreenなど各社が同形式の小型カラム・96ウェルフィルタープレートを揃えており、自社で評価したい樹脂のラインに合わせて選びます。

Point
  • 50〜600µLの超小型カラムを液体ハンドラーで並列に運用する
  • 1条件あたりの試料・バッファー消費が少なく多条件を一度に検討
  • 樹脂・pH・塩濃度・滞留時間をDoEで網羅的に振り操作域を絞る
  • 結合溶出(bind-elute)とフロースルー(flow-through)の両モードに対応
  • 得られる値は条件間の比較が主目的でスクリーニング段階に位置づく
  • プレフィル品と自前充填の両方が選べる(Repligen旧Atoll系)
  • 96ウェルフィルタープレートと併用し樹脂・条件の一次絞り込みに使う
  • 有望条件はベンチ〜プロセスカラムでの追検証が前提になる

使用方法

液体ハンドラーのメソッド作成から、平衡化・ロード・洗浄・溶出の各ステップ、フラクション回収と分析までの基本的な流れです。各ステップは決まった分注量・速度で自動実行します。

1評価する樹脂・条件(pH・塩・滞留時間)を設計
2RoboColumnと96ウェルプレートをデッキに配置
3液体ハンドラーのメソッド(分注量・速度)を作成
4保存液を洗い流し平衡化バッファーで前処理
5サンプルをロード(破過試験は段階的に負荷)
6洗浄(wash)で非吸着・弱吸着成分を除去
7ステップ/グラジエント溶出で目的物を回収
8フラクションを96ウェルに分取
9収量・純度・回収率をプレートリーダー等で分析
10結果をDoE解析し有望条件を数点に絞る
実際の分注量、線流速(滞留時間)、ロード量、洗浄・溶出のステップ数や勾配は、充填樹脂の種類、カラム容量(50/200/600µL)、対象モダリティ、結合溶出かフロースルーかによって変わります。RoboColumnでの値はベンチ〜プロセスへ線形に外挿できるとは限らないため、傾向把握のためのスクリーニングと位置づけ、有望条件はスケールダウンモデルで追検証します。

RoboColumn(µLスケールHTPD)と ベンチカラム検討の違いは?

どちらを使うかは、検討の段階と目的で決まります。条件の当たりを広く探す一次スクリーニングか、設定した条件をクロマトシステム上で精密に検証する段階か、が分岐点です。

結論

広い実験空間から有望条件を素早く絞るならRoboColumnによるHTPDが効率的で、絞り込んだ条件を連続クロマトグラムで精密に検証・最適化する段階ではベンチカラムが必要になる、という補完関係で使い分けます。

目的

設定条件の精密な検証・最適化

多数の樹脂・条件の並列スクリーニング

スケール

数mL〜数十mLのカラム

50〜600µLの超小型カラム

並列数

システム台数に依存し基本は逐次

デッキに最大96本を並列

試料・バッファー量

1条件あたり多く消費

1条件あたり少量で済む

得られるデータ

UV/伝導度の連続クロマトグラム

条件比較中心の保持・回収・純度の傾向

向く段階

手法最適化・スケールダウン検証

初期の条件・樹脂の当たり探し(DoE)

外挿

プロセスへ比較的そのまま展開しやすい

傾向把握が主で要追検証

カラム容量と主な使いどころ

容量とベッド高で得られる情報が変わります。小容量は当たり探し、大容量は条件のより踏み込んだ評価に向きます。

容量目安のベッド高主な使いどころ
50µL前後短い(数mm)ごく少量試料での一次スクリーニング
200µL約10mm樹脂・条件の網羅スクリーニングの標準
600µL約30mm破過・滞留時間の影響をより評価しやすい
96ウェルフィルタープレートバッチ吸着樹脂・pH・塩の超ハイスループット一次絞り込み

DoEで振る主なパラメータ

結合溶出・フロースルーのどちらを設計するかで、注目するパラメータと評価指標が変わります。

パラメータ検討の観点
樹脂(リガンド・骨格)捕捉モード・選択性の比較。複数ラインを並列評価
pH結合/溶出の強さ、目的物と不純物の保持差
塩濃度・伝導度IEX/HICでの結合溶出の主因子。フロースルー設計でも重要
滞留時間(線流速)動的結合容量・破過への影響。短時間運用の妥当性確認
ロード量(負荷密度)破過挙動とDBCの推定、生産性とのトレードオフ
溶出方式ステップ/グラジエント、回収プールの純度と収量の両立

選定チェックリスト

カラム形式や容量だけでなく、評価したい樹脂のラインがその形式で揃うか、手持ちの液体ハンドラー・分析系と接続できるかまで含めて確認します。

検討段階一次スクリーニングか、絞り込み後の条件評価か
精製モードプロテインA/IEX(CEX・AEX)/HIC/マルチモードのどれを評価するか
プレフィル/自前充填評価したい樹脂がプレフィルで揃うか、空カラムへ自前充填が必要か
カラム容量50/200/600µLのどれを使うか。情報量と試料量のバランス
並列数想定する条件数に対しデッキへ何本配置できるか
液体ハンドラー適合手持ちのTecan等のデッキ・キャリア・メソッドに載せられるか
プレート併用96ウェルフィルタープレートで一次絞り込みを併用するか
評価指標と分析系収量・純度・回収率をプレートリーダー/HPLC等で測れるか
DoE設計主効果・交互作用を見るための因子・水準が設計できているか
スケール展開有望条件を同樹脂のベンチ〜プロセスカラムで追検証できるか
試料量ロード量・洗浄/溶出量を含め必要試料が確保できるか
供給・納期プレフィル品・空カラムのリードタイムと安定供給

使用される工程

ダウンストリームの工程開発で、樹脂・条件の当たり探しから結合溶出・フロースルー条件の設計まで、各場面でRoboColumnが使われます。

樹脂・条件の網羅スクリーニング

複数の樹脂とpH・塩濃度を並列に評価し、捕捉・研磨に使う樹脂の当たりを素早く付ける。

主な用途
  • 多樹脂の並列比較
  • 少量試料で網羅
  • 一次絞り込み

DoEによる操作域の絞り込み

因子と水準を設計してDoE的に振り、主効果・交互作用から操作域(デザインスペース)を見立てる。

主な用途
  • 実験計画法
  • QbD・操作域
  • 主効果/交互作用

結合溶出(bind-elute)条件の検討

IEX・HIC・プロテインA等で、結合pH・溶出勾配・塩濃度を振り、純度と収量の両立点を探る。

主な用途
  • 結合/溶出pH
  • ステップ/勾配溶出
  • 純度-収量の両立

フロースルー(flow-through)条件の検討

AEXフロースルー等で、目的物を素通しさせ不純物を吸着除去するロード条件・容量を見極める。

主な用途
  • AEXフロースルー
  • 不純物吸着除去
  • 負荷容量の見極め

破過・動的結合容量の評価

段階的にロードして破過挙動を観察し、滞留時間ごとのDBCや負荷密度の上限を推定する。

主な用途
  • 破過試験
  • DBC推定
  • 滞留時間依存性

スケールダウン前の事前選別

ベンチ〜プロセスカラムでの検証に進める前段として、検討対象を有望な数点へ絞り込む。

主な用途
  • 候補の事前選別
  • 工数の集中
  • 追検証への橋渡し

サンプル前処理・分析前処理

非精製サンプルから目的物を簡易に分取し、後段の分析にかけるための前処理にも使う。

主な用途
  • 簡易分取
  • 分析前処理
  • 多検体の自動処理

使用されるモダリティー

タンパク質系バイオ医薬の精製条件検討を中心に、ウイルスベクターの捕捉・研磨条件の検討でも使われます。

抗体医薬
関連度
プロテインA捕捉CEX/AEX研磨HIC
プロテインA捕捉から研磨工程まで、樹脂・pH・塩を並列スクリーニングしDoEで条件を絞る中心的な用途。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
アフィニティ捕捉IEXHIC
各種アフィニティ/IEXでの捕捉条件や、HIC・IEXでの研磨条件を少量試料で広く探索する用途で広く使われる。
二重特異性抗体
関連度中〜高
ミスペア除去マルチモードHMW除去
副生成物・ミスペアの除去に向くマルチモードやIEXの条件を、並列スクリーニングで絞り込む用途。
ADC
関連度中〜高
抗体中間体精製HICDAR分布評価
コンジュゲート前の抗体精製やHICによるDAR分布の制御条件を、少量で探索する関連用途。
AAV
関連度中〜高
アフィニティ捕捉AEX研磨中空/full分離
AAVアフィニティ捕捉やAEXでの中空・フルキャプシド分離の条件検討に、専用樹脂を充填して使われる。
ワクチン
関連度
抗原精製IEXマルチモード
サブユニット抗原などの精製で、IEX・マルチモードの条件を一次スクリーニングする場面で使われることがある。

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