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自動液体ハンドリング(分注ロボット)

自動液体ハンドリング(分注ロボット)は、マイクロプレートやチューブへの分注、希釈、移し替え、試薬添加といったピペッティング操作を自動化する装置です。デッキ上に配置したプレートやチップ、各種モジュールを組み合わせ、HTPD(ハイスループットプロセス開発)やHTS、アッセイ自動化、サンプル前処理などのワークフローを、人手より高い再現性とスループットで実行するために使われます。

自動分注HTPD/HTSワークフロー自動化プレート前処理

用途・特徴

自動液体ハンドリングは、手作業のピペッティングをロボットアームとピペッティングチャネルに置き換える装置です。デッキと呼ばれる作業面にプレート、チップラック、試薬リザーバー、チューブラックなどを配置し、設定したプロトコルに従って吸引・吐出を繰り返します。8チャネルや96/384チャネルのヘッド、可動アームによるラブウェア搬送、温調・撹拌・マグネット分離などのモジュールを組み合わせることで、希釈系列の作成、プレートのリフォーマット、試薬添加、ビーズ精製、アッセイ調製といった一連の操作をまとめて自動化できます。

手作業では、ピペット操作の量や時間、作業者の癖によってばらつきが生じます。自動分注では、同じ動作を一定の条件で繰り返せるため、ウェル間・プレート間・日間の再現性を高めやすく、夜間や長時間の無人運転にも向きます。多条件を並列で振るHTPDやHTS、ELISAなどのアッセイ自動化、NGSやqPCRのサンプル前処理など、検体数や条件数が多いワークフローで効果が出ます。

Point
  • プレートやチューブへの分注・希釈・移し替え・試薬添加を自動化する装置
  • デッキにプレート・チップ・試薬・モジュールを配置してプロトコルを実行する
  • 8チャネル、96/384チャネル、可変スパンなどヘッド構成を選べる
  • 手作業より分注量と動作の再現性を高めやすく、無人運転に向く
  • 多条件のHTPD/HTS、アッセイ自動化、サンプル前処理でスループットを上げやすい
  • 温調・撹拌・マグネット・搬送などのモジュール拡張でワークフローを統合できる
  • デッドボリューム、キャリーオーバー、粘性・少量液の分注精度、液面検知が重要
  • ラブウェア定義、チップ種、プロトコル開発、メンテナンス・校正の運用設計が必要

使用方法

基本的には、デッキ上にラブウェアを配置し、分注プロトコルを組んで実行します。検体数や工程数に応じてモジュールや搬送を組み合わせます。

1自動化したいワークフローと検体数を決める
2プレート・チップ・試薬・チューブをデッキに配置する
3ラブウェアと液体クラスを装置に定義する
4分注・希釈・移し替えのプロトコルを作成する
5少量・粘性液などで分注精度を確認する
6シミュレーションとドライランで動作を検証する
7本番ランを実行する(必要に応じ無人運転)
8分注結果やプレートを次工程・分析へ渡す
9デッキ洗浄、チップ廃棄、ログ・記録を確認する
10定期メンテナンスと分注量の校正を行う
実際の運用は、対象ワークフロー、チャネル数、扱う液体(少量・粘性・揮発性)、チップ種、モジュール構成、外部装置との連携、GxP対応の有無によって変わります。

自動液体ハンドリング と 手動ピペッティングの違いは?

自動分注と手動ピペッティングは、同じ「液を移す」操作ですが、再現性・スループット・運用設計が変わります。

結論

検体数や条件数が多く、再現性とトレーサビリティが求められるワークフローほど、自動液体ハンドリングの効果が出やすくなります。

分注量の再現性

作業者の操作差が出やすい

同条件で繰り返しやすい

スループット

検体数が増えると負荷が高い

並列処理で大量処理に向く

無人・長時間運転

難しい

夜間・長時間の自動運転ができる

多条件検討

条件数が増えると作業が膨らむ

希釈系列やマトリクスを組みやすい

立ち上げ

すぐ始められる

プロトコル開発・検証が必要

柔軟性

小ロット・変更に強い

定型・反復ワークフローに強い

記録・トレーサビリティ

手記録に依存

実行ログ・電子記録を残しやすい

コスト

初期コストは低い

装置・チップ・保守コストがかかる

主な構成要素

構成要素内容役割
デッキプレートやラックを配置する作業面ラブウェアの位置を定義し、動作の基準にする
ピペッティングチャネル1/8チャネル、96/384チャネルヘッド、可変スパン吸引・吐出の本数とスループットを決める
ロボットアーム/グリッパープレートやラブウェアを搬送する機構工程間のプレート移動・スタッキングを担う
チップディスポーザブルチップ、固定ニードル分注量レンジとキャリーオーバー対策を左右する
液面検知(LLD)容量式・圧力式などの検知機構残量管理、吸込み防止、分注精度に関わる
モジュール温調、撹拌、マグネット、シェーカー、リーダーワークフローを装置上で完結させる
ソフトウェアプロトコル作成、シミュレーション、ログ動作定義、検証、トレーサビリティを担う
外部連携リーダー、PCR、遠心、保管、LIMS前後工程やデータ管理とつなぐ

分注精度に関わる注意点

注意点内容
少量分注サブµL〜数µL域で精度・正確さを確保できるか
粘性液グリセロール、界面活性剤、樹脂スラリーなどの吸引・吐出条件
揮発性液蒸発や液滴付着による量変動の管理
キャリーオーバーチップ交換や洗浄で前検体の持ち込みを防げるか
デッドボリュームリザーバーやチューブに残る液量と検体使用効率
液体クラス調整液種ごとの吸引速度・待ち時間・エアギャップの最適化
液面検知泡・少量・色付き液での検知安定性
温度・気泡冷却試薬や気泡混入による分注量への影響
ラブウェア精度プレートやチップの寸法ばらつきと位置合わせ
定期校正重量法などによる分注量の検証・トレンド管理

選定ポイント

対象ワークフローHTPD、HTS、アッセイ調製、前処理など主用途に合うか
スループット必要な検体数・プレート枚数を時間内に処理できるか
チャネル構成1/8チャネル、96/384ヘッド、可変スパンの要否
分注レンジ・精度扱う最小・最大容量と求める精度を満たすか
デッキ容量必要なプレート・チップ・試薬・モジュールを載せられるか
搬送・拡張グリッパーや外部装置連携でワークフローを統合できるか
モジュール温調、撹拌、マグネット、リーダーなど必要機能の有無
チップ・消耗品チップ種、コスト、供給安定性、フィルターチップ対応
ソフトウェアプロトコル開発の容易さ、シミュレーション、API連携
クロマト連携RoboColumnなど精製スクリーニングに対応できるか
データ・規制対応監査証跡、電子記録、CSV、21 CFR Part 11対応の要否
設置・安全フットプリント、HEPA/安全キャビネット、無菌運用の要否
国内サポート据付、IQ/OQ、保守、校正、プロトコル支援が受けられるか
拡張性将来の検体増・工程追加に合わせて拡張できるか

使用される工程

自動液体ハンドリングは、検体数や条件数が多く、再現性とスループットが求められる工程で広く使われます。

精製条件のHTPD

RoboColumnなどを使い、樹脂や緩衝液条件を並列でスクリーニングする。

主な用途
  • 樹脂・条件スクリーニング
  • RoboColumn連携
  • プロセス開発

培地・フィードのDoE

成分マトリクスやスケールダウン培養の調製を自動化し、条件検討の母数を増やす。

主な用途
  • 成分マトリクス調製
  • DoE
  • 希釈系列作成

アッセイ自動化(ELISA等)

標準品の希釈、試薬添加、洗浄、プレート調製を自動化し、ばらつきを抑える。

主な用途
  • ELISA調製
  • 希釈系列
  • 試薬添加

サンプル前処理

NGSライブラリ調製や核酸抽出、qPCRセットアップなどの前処理を自動化する。

主な用途
  • NGSライブラリ調製
  • 核酸抽出
  • qPCRセットアップ

クローンスクリーニング

上清回収、希釈、アッセイ調製を自動化し、多数クローンの評価を支援する。

主な用途
  • 上清回収
  • 力価アッセイ調製
  • プレート管理

化合物・サンプル管理

プレートのリフォーマット、チェリーピッキング、希釈プレート作成に使われる。

主な用途
  • リフォーマット
  • チェリーピッキング
  • 希釈プレート

QC・分析前処理

HPLCやLC-MS、各種分析の前処理・サンプル調製を標準化する。

主な用途
  • 分析用希釈
  • 標品調製
  • 前処理標準化

使用されるモダリティー

自動液体ハンドリングは、条件検討・スクリーニング・前処理が関わる多くのモダリティーで使われます。

抗体医薬
関連度
精製HTPDクローン選抜ELISA培地DoE
精製条件スクリーニング、力価アッセイ、培地・フィード検討で広く使われる。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
精製スクリーニングアッセイ調製前処理
発現・精製条件の並列検討やアッセイ自動化で使われる。
二重特異性抗体
関連度中〜高
精製条件結合アッセイ条件検討
複雑な精製・分析条件の多条件スクリーニングで使われる。
細胞治療
関連度
アッセイ前処理サンプル調製
品質試験やアッセイの前処理・調製で使われる場合がある。
AAV
関連度
力価アッセイ前処理分析調製
力価・品質アッセイの調製やサンプル前処理で使われる。
微生物発酵
関連度
スクリーニングサンプル前処理アッセイ
株・条件スクリーニングや代謝物アッセイの前処理で使われる。

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