Standard Process Map微生物・発酵
大腸菌製造 基準工程マップ
この基準工程マップは、大腸菌による生産と分析を発酵→菌体回収・破砕→精製→品質特性解析の順に整理しています。封入体か可溶性かで下流が大きく変わり、最適な手法は発現様式・宿主株・スケールで変わるため、各工程に代替・補完法も併記しています。
25工程・5フェーズ
製法の条件で切り替える
◇の付いた6工程は、この条件で基準法が変わります。
製法の条件で切り替える
◇の付いた6工程は、この条件で基準法が変わります。
01培養・産生Upstream(5工程)
01
工程1:セルバンク構築
株の均一性がロット間の発現量と不純物プロファイルのぶれを左右する。
基準法BL21(DE3)系株+T7/pET発現系でのセルバンク化(MCB/WCB二段階)
02
工程2:種培養・植菌スケールアップ
凍結セルバンクから生産槽へ十分量の活性菌体を供給する標準の前段拡大
基準法WCBバイアル起眠→振とうフラスコ前培養→種発酵槽での対数増殖期植菌(約5〜10%接種)
03
工程3:培地調製・滅菌
高密度培養前に無菌の培地・流加フィードを供給し汚染を防ぐ標準前工程
基準法バッチ培地のSIP(121°C・30分相当)+高濃度グルコースフィードの0.2µm除菌ろ過と無菌移送
04
工程4:高密度流加培養による菌体増殖
酢酸蓄積を抑えつつ菌体密度を上げ、目的物の総量を最大化する。
基準法グルコース制限流加培養(指数流加+DO-stat制御)
05
工程5:IPTG誘導
◇ 分岐誘導のタイミングと量が毒性と収量を決める分岐点。
基準法IPTGによるT7/lacプロモーター誘導(温度・濃度を最適化)
◇ 可溶性/ペリプラズム発現では
低温誘導(18〜25°C)+低濃度IPTGまたはラクトース自己誘導で発現速度を抑制し可溶性画分を最大化(ペリプラズム経路ではSec依存輸送能に合わせて誘導強度を調整)
02回収・清澄化Harvest(3工程)
06
工程6:ハーベスト・破砕
◇ 分岐封入体を壊しすぎず菌体内の目的物を取り出せるかが後工程の鍵。
基準法遠心/精密ろ過で菌体回収後、高圧ホモジナイザーで破砕
◇ 可溶性/ペリプラズム発現では
ペリプラズム発現では浸透圧ショック(スクロース/EDTA/Trisバッファ)等で外膜のみを選択的に破り標的を放出(細胞質可溶性発現では緩和な破砕で可)
07
工程7:IB洗浄
◇ 分岐可溶化前の封入体純度が後の巻き直しの成否を左右する。
基準法遠心によるIBペレット化+界面活性剤/低濃度尿素での洗浄
◇ 可溶性/ペリプラズム発現では
本工程は実施しない(IBペレット化・界面活性剤/尿素洗浄なし)
08
工程8:封入体の可溶化
◇ 分岐ほどき具合のバランスが溶解性と巻き直し収率を決める。
基準法高濃度カオトロープ(尿素/塩酸グアニジン)+還元剤での可溶化
◇ 可溶性/ペリプラズム発現では
本工程は実施しない(カオトロープ・還元剤による可溶化なし)
03精製Purification(5工程)
09
工程9:リフォールディング(巻き直し)
◇ 分岐凝集を防ぎ正しいジスルフィドを作り活性を取り戻す律速工程。
基準法急速希釈/拡散ろ過による段階的変性剤除去+酸化還元対でのジスルフィド再形成
◇ 可溶性/ペリプラズム発現では
本工程は実施しない(変性剤除去・酸化還元対による再形成なし)
10
工程10:清澄化・濃縮
◇ 分岐希釈リフォールド液の大容量を凝集体除去・濃縮し捕捉クロマトに供する
基準法pH調整による反応停止→デプス+0.2µmろ過で凝集体除去→TFF限外ろ過で濃縮
◇ 可溶性/ペリプラズム発現では
pH調整によるリフォールディング停止は不要
11
工程11:キャプチャー
大量の不純物を一度に削る最初の濃縮・精製ステップ。
基準法イオン交換クロマトグラフィー(IEX)またはアフィニティ(His-tag等)による捕捉
12
工程12:ポリッシング
凝集体・断片と内毒素を削り最終純度と安全性を決める。
基準法疎水性相互作用(HIC)/陰イオン交換(AEX)による別系統のポリッシュ+内毒素除去
13
工程13:エンドトキシン除去
大腸菌由来LPSを規格値まで低減する大腸菌製品に必須の除去工程
基準法Q強陰イオン交換樹脂によるフロースルーモードでのLPS除去(製品は素通り、LPSは樹脂に吸着)
04製剤・充填Formulation(3工程)
14
工程14:UF/DF・バッファ交換
目的物を必要濃度まで濃縮し保存用バッファへ交換する最終仕上げ。
基準法タンジェンシャルフロー限外ろ過/拡散ろ過(TFF UF/DF)
15
工程15:除菌ろ過と無菌充填
微生物を除き無菌の注射剤に仕上げる最後の安全性の関門。
基準法0.22 µm除菌ろ過後の無菌充填(バイアル/シリンジ)
16
工程16:バイオバーデン低減ろ過
除菌ろ過前にバイオバーデンと微粒子を下げ無菌充填の信頼性を担保
基準法充填前バルクの0.45/0.22µm前置(バイオバーデン低減)ろ過
05品質特性・分析QC / Release(9工程)
17
工程17:製品力価・含量(タンパク質定量)
目的物の量を数値化し工程管理とロット規格の基本データとする。
基準法逆相/SEC-HPLCまたはUV(A280)による定量+プロセス内はBradford/BCA
18
工程18:純度・凝集体/断片
免疫原性に直結する凝集体・断片の混入量を別の方法で評価する。
基準法SEC-HPLC(サイズ排除)+CE-SDS(還元/非還元)による純度評価
19
工程19:純度・電荷不均一性
脱アミドや切断による電荷変化を捉え製造のばらつきを管理する。
基準法イメージドキャピラリー等電点電気泳動(icIEF)/IEX-HPLC
20
工程20:同一性・分子量
分子量と配列・修飾を精密確認し目的物であることを保証する。
基準法インタクト質量分析
21
工程21:高次構造解析
正しく折りたたまれ高次構造が保たれているかが効力を左右する。
基準法円二色性(CD)分光+蛍光分光による構造確認
22
工程22:力価試験
効く力の有無を機能で測り製品成立の可否を決める。
基準法製品依存の機能アッセイ(細胞ベースバイオアッセイ/酵素活性/結合アッセイ)
23
工程23:HCP測定
E. coli由来混入タンパク質は微量でも免疫原性・安定性に影響する。
基準法サンドイッチELISAによるE. coli HCP定量
24
工程24:残存DNA測定
宿主DNA残量は規制で上限が定められた安全性必須項目。
基準法リアルタイムqPCR(TaqMan)によるE. coli残存DNA定量
25
工程25:エンドトキシン試験
E. coli由来内毒素は発熱・ショックを起こすため限度内を必ず確認する。
基準法LAL法による細菌内毒素試験(BET)
公開情報にもとづく一般的な整理です。実際の構成は条件により異なります。