再生医療
再生医療は、細胞・組織で体の機能を取り戻す医療です。生きた細胞を扱うため、培養・分離・品質試験・凍結・製剤という製造(CMC)は、抗体や低分子とはまったく別物になります。
細胞そのものを使う治療(細胞治療)が中心で、CAR-Tや遺伝子改変HSCも細胞を扱うため含めます(体内投与のin vivo遺伝子治療は別扱い)。カテゴリーで扱う細胞も、必要な培地・試薬・資材も大きく違うので、カテゴリー別に工程と製品を分けて見るのが近道です。
専用ガイド製品ガイドの「再生医療」製品ガイド内の再生医療カテゴリで、細胞治療・遺伝子治療・組織工学などジャンルごとに、使う装置・試薬・資材を一覧できます。再生医療等製品のカテゴリーと工程
再生医療等製品は、細胞・遺伝子・組織のどれを使うかでカテゴリーが分かれ、作り方(工程)も大きく異なります。カテゴリーごとに、何をつくるものか・どんな製造の流れになるのかを、製造工程の順にたどってまとめました。
- 1アフェレーシスでT細胞を採取
- 2目的のT細胞を選別
- 3CD3/CD28で活性化
- 4レンチ/レトロ・電気穿孔で遺伝子導入
- 5拡大培養
- 6洗浄・濃縮して製剤化・凍結
- 1NK細胞を採取・分離
- 2IL-2/IL-15などで活性化
- 3フィーダー細胞で高倍率に拡大
- 4(必要に応じCAR導入)
- 5QC(活性・表現型)
- 6凍結保存
- 1単球をアフェレーシスで採取
- 2GM-CSF/IL-4で未成熟樹状細胞へ分化
- 3がん抗原を負荷
- 4サイトカインで成熟
- 5投与
- 1未分化のiPS細胞を維持・拡大
- 2目的細胞へ段階的に分化誘導
- 3目的細胞を純化・選別
- 4QC(残存未分化細胞・核型)
- 5製剤化
- 1組織からMSCを分離
- 2無血清・異種成分フリーで拡大培養
- 3細胞バンク(MCB/WCB)構築
- 4QC(表面マーカー・分化能)
- 5凍結保存
- 1骨髄・末梢血・臍帯血から採取
- 2CD34+細胞を選別・濃縮
- 3(レンチで遺伝子改変)
- 4幹性を保って拡大
- 5凍結保存
- 1ベクターを製造(HEK293)
- 2TFFで濃縮・精製
- 3力価を測定
- 4細胞へ形質導入
- 5ベクターコピー数(VCN)を確認
- 1標的に合わせgRNAを設計・合成
- 2Cas9とRNPを形成
- 3電気穿孔で細胞へ導入
- 4編集効率・オフターゲットを評価
- 1細胞を拡大培養
- 2シート化/足場へ播種/3D造形
- 3組織として成熟・形成
- 4構造・機能を評価
製造(原薬・製剤の品質づくり:CMC)の要点
自家 vs 他家
患者本人の細胞を使う自家(autologous)は1患者1ロットでスケールアウト、健常ドナーやiPS由来の細胞を使う他家(allogeneic)は均質な大量製造でスケールアップと、製造戦略が根本から異なります。
閉鎖系・自動化製造
無菌環境への依存を減らすため、採取〜加工〜充填を閉鎖系・自動化でつなぐ設計が主流。シングルユースとの組み合わせが鍵です。
ベクター製造
遺伝子治療では一過性トランスフェクションか安定産生株かでAAV/レンチを製造。空・実カプセル比や複製可能ウイルスの管理が品質の要点。
コールドチェーン・凍結保存
細胞中間体・最終製品の凍結保存(プログラムフリーザー・液体窒素)と低温輸送(コールドチェーン)が、生存率と効力を左右します。
細胞培養加工施設(CPC)
再生医療等製品の製造はCPC/GCTP基準に基づく施設・運用が前提。交差汚染防止と工程管理の作り込みが求められます。
関連する製品・装置
品質試験(再生医療に固有の重要品質特性:CQA)
解説記事
規制・制度
再生医療等製品(医薬品医療機器等法)
細胞加工物・遺伝子治療用製品を「再生医療等製品」として独立に規定。品質・有効性・安全性の評価軸が医薬品・医療機器とは異なります。
条件・期限付承認
均質性が低く有効性の推定で早期承認し、市販後に有効性・安全性を検証する再生医療等製品特有の承認制度。
再生医療等安全性確保法
自由診療・臨床研究で用いる特定細胞加工物の製造・提供のリスク分類と手続き(第1〜3種)を規定。
CPC・GCTP基準
再生医療等製品の製造管理・品質管理(GCTP)と細胞培養加工施設(CPC)の構造・運用要件。