Product Guide

解凍装置

解凍装置は、凍結保存された細胞、セルバンク、細胞治療製品、クライオバイアル、クライオバッグなどを、再現性よく短時間で解凍するための装置です。細胞は凍結保存中は代謝がほぼ停止していますが、解凍時には急激な温度変化、DMSO曝露、浸透圧変化、局所的な過熱や解凍ムラによってダメージを受けることがあります。WCBの融解、シードトレイン開始、細胞治療製品の使用前融解、iPS細胞や幹細胞の回復培養では、解凍条件の再現性が重要になります。

WCB融解細胞治療製品の解凍ドライ式回復培養

用途・特徴

解凍装置は、凍結細胞を一定条件で解凍し、解凍後の細胞生存率、回復性、機能、工程再現性を安定させるために使われます。シードトレインでは、WCBを融解して回復培養へ進めます。このとき、解凍が遅すぎるとDMSO曝露時間が長くなり、細胞に悪影響を与えることがあります。一方で、解凍ムラや過熱が起きると、細胞回復性がばらつく可能性があります。

従来は37℃ウォーターバスを使って手作業で解凍することが多くありました。一方、近年はウォーターフリーのドライ式解凍装置、クライオバッグ対応の自動融解装置、細胞治療向けの標準化解凍システムなどが使われるようになっています。

Point
  • 凍結細胞や細胞製品を再現性よく解凍できる
  • WCB融解、シードトレイン開始、細胞治療製品の解凍に使われる
  • ウォーターバスよりも操作を標準化しやすい
  • ドライ式、バッグ対応型、バイアル対応型などがある
  • 解凍ムラや過熱、DMSO曝露時間の管理に関係する
  • GMP製造や細胞治療では記録性、清浄性、操作再現性が重要
  • プログラムフリーザー、液体窒素保存タンク、凍結保存液とセットで考える

使用方法

基本的には、液体窒素保存タンクや-80℃フリーザーから凍結サンプルを取り出し、解凍装置へセットして指定条件で融解します。

1凍結細胞を保管庫から取り出す
2サンプル情報を確認する
3クライオバイアルまたはクライオバッグを解凍装置にセットする
4解凍プログラムを選択する
5装置が温度・時間・接触状態を制御して融解する
6解凍完了後、すぐに次工程へ移す
7必要に応じて培地で希釈・洗浄する
8細胞数・生存率を確認する
9回復培養、シードトレイン、細胞加工、投与準備へ進める
実際の条件は、細胞種、凍結容器、凍結保存液、DMSO濃度、細胞濃度、解凍後の操作、GMP対応、細胞治療製品か研究用細胞かによって変わります。

ウォーターバスとの違いは?

従来の細胞解凍ではウォーターバスがよく使われますが、解凍装置とは管理できる範囲が異なります。

結論

研究段階ではウォーターバスでも十分な場合があります。一方、GMP製造、細胞治療、再生医療、複数施設で同じ解凍条件を再現したい場合は、専用の融解/解凍装置が有利です。

加温方式

温水で加温

ドライ加温、接触加温、制御加温など

操作

手作業が中心

自動化・標準化しやすい

再現性

操作者依存が大きい

条件を一定にしやすい

汚染リスク

水を介したリスクに注意

ウォーターフリーなら低減しやすい

記録性

限定的

ログやプログラム管理に対応する機種がある

向く用途

研究用細胞の簡易解凍

GMP、細胞治療、標準化が必要な解凍

注意点

水質管理、温度管理、操作時間

容器適合性、バリデーション、消耗品

プログラムフリーザーとの違いは?

項目プログラムフリーザー融解/解凍装置
役割細胞を制御して凍結する凍結細胞を制御して解凍する
主な工程セルバンク作製、細胞製品凍結WCB融解、回復培養、細胞製品使用前
管理対象冷却速度、終了温度、凍結プロファイル解凍時間、加温条件、解凍完了点
主な容器バイアル、バッグ、カセットバイアル、バッグ
品質影響凍結後生存率、保存安定性解凍後生存率、回復性、機能
関連工程凍結保存、長期保管融解・回復培養、投与前処理

主なタイプ

タイプ内容向く用途
ドライ式バイアル解凍装置水を使わずにクライオバイアルを加温する装置WCB、研究用細胞、細胞治療用バイアル
バッグ対応解凍装置クライオバッグや細胞製品バッグを解凍する装置細胞治療、再生医療、細胞製品
ウォーターバス型温水でバイアルやバッグを解凍する方法研究用途、簡易解凍
閉鎖系加温装置サンプルと水が直接触れない構造で加温する装置GMP、細胞治療、清浄性重視
自動解凍装置解凍時間や温度を装置側で制御するタイプ標準化、複数施設運用
小型バイアル専用型1.5〜2 mL程度のクライオバイアル向けセルバンク、細胞株管理
大容量バッグ型大容量クライオバッグ、細胞製品バッグ向け細胞治療、臨床製造
凍結融解評価システム凍結・融解条件の開発やスケール検討に使う装置プロセス開発、製剤・原薬凍結融解検討

選定ポイント

対象容器クライオバイアル、クライオバッグ、カセット、AT-Closed Vialに対応するか
サンプル容量1.5 mL、2 mL、10 mL、50 mL、100 mL以上などに対応するか
加温方式ドライ式、ウォーターバス式、接触加温、循環加温のどれか
解凍再現性解凍時間、温度プロファイル、サンプル間ばらつきが小さいか
解凍完了判定センサー、アルゴリズム、時間設定、目視確認のどれか
細胞回復性解凍後生存率、回復性、増殖性、機能に影響しないか
清浄性ウォーターフリー、閉鎖系、消毒性、クリーンルーム使用可否
GMP対応記録、ユーザー管理、ログ、IQ/OQ、バリデーション支援の有無
操作性手袋着用時の操作、BSC内設置、処理時間、アラーム
スループット1本ずつか、複数本・複数バッグを処理できるか
連携性サンプル管理、LIMS、バーコード、解凍ログと連携できるか
サポート国内保守、校正、消耗品、適格性確認支援の有無

使用される工程

解凍装置は、凍結細胞を融解して次工程へ進める多くの場面で使われます。

セルバンク

MCB/WCBの融解、評価用バイアルの解凍に使われる。

主な用途
  • WCB融解
  • 評価用解凍

シードトレイン

WCB融解後、回復培養へ移行する最初の工程で使われる。

主な用途
  • 立ち上げ

融解・回復培養

解凍後の細胞を培地に戻し、細胞状態を回復させる。

主な用途
  • 回復培養

細胞株開発・クローン選抜

保存クローンや評価用細胞の再立ち上げに使われる。

主な用途
  • 再立ち上げ

プロセス開発

凍結融解条件、DMSO除去、解凍後回復性の検討に使われる。

主な用途
  • 条件検討

細胞治療製造

原料細胞、中間細胞、最終製品の解凍に使われる。

主な用途
  • 製品解凍

再生医療等製品

iPS細胞、分化細胞、幹細胞由来製品の融解に使われる。

主な用途
  • 幹細胞融解

GMP製造

製造用細胞、細胞製品、品質確認用サンプルの標準化解凍に使われる。

主な用途
  • 標準化解凍

臨床現場・投与前処理

凍結細胞治療製品を投与前に解凍する場面で関係する。

主な用途
  • 投与前融解

使用されるモダリティー

解凍装置は、製造細胞や細胞製品を扱う多くのモダリティーで使われます。

抗体医薬
関連度
CHO細胞MCB/WCBシードトレイン
WCB融解から回復培養への立ち上げに使われる。
ADC
関連度
抗体原薬用CHO細胞
抗体部分の製造細胞バンク融解で使われる。
二重特異性抗体
関連度
CHO細胞セルバンク
基本的には抗体医薬と同様に使われる。
Fc融合タンパク質・組換えタンパク質
関連度
CHOHEK293などの産生細胞
製造細胞株の融解・立ち上げに使われる。
AAV
関連度
HEK293Sf9Producer Cell
ウイルスベクター製造細胞のWCB融解で使われる。
レンチウイルス
関連度
Packaging CellProducer Cell
ベクター製造細胞の融解で使われる。
プラスミドDNA
関連度
大腸菌セルバンク
菌株の融解・立ち上げに関係する。
細胞治療
関連度
CAR-TT細胞NK細胞MSC
原料細胞、中間細胞、最終製品の解凍に使われる。
iPS細胞・幹細胞由来製品
関連度
iPS細胞分化細胞マスターセル
細胞基盤や製造中間体の融解に使われる。
ワクチン
関連度中〜高
細胞基材ウイルスシード製造細胞
細胞基材やシードストックの融解に関係する。
mRNA-LNP
関連度低〜中
評価細胞酵素製造用細胞原材料細胞
mRNA合成本体よりも関連細胞管理で関係する。
低分子医薬品
関連度低〜中
細胞アッセイ評価細胞
製造工程よりも評価系の細胞融解で使われる。

メーカー製品

ドライ式・自動細胞融解装置7
CytivaVIA Thaw CB1000クライオバッグ向けのドライ式自動解凍装置。細胞治療製品や凍結細胞製品の標準化された融解に使われる。公式URL CytivaVIA Thaw L1000クライオバッグ中の細胞製品を制御・一貫性ある条件で融解する自動ドライ式解凍装置。研究・製造用途で使われる。公式URL BioLife SolutionsThawSTAR CFT2 Automated Thawing System1.5〜2.0 mLクライオバイアル向けのウォーターフリー自動細胞融解装置。細胞治療用バイアルや研究用凍結細胞の標準化解凍に使われる。公式URL BioLife SolutionsThawSTAR CFT1.51.5 mLクライオバイアル向けの自動解凍システム。CFT2と同様にウォーターバスを置き換える用途で使われる。公式URL WakenBtech / BioLife SolutionsThawSTAR 凍結細胞融解ステーションCFT2・CFT1.5などのラインアップを持つ凍結細胞融解ステーション。ウォーターフリーでクライオチューブを標準化解凍する。公式URL STEMCELL Technologies / BioLife SolutionsThawSTAR CFT2 Automated Thawing System細胞融解を標準化し、ウォーターバスベースの方法を置き換える装置。PBMC、hPSCなどの凍結細胞融解で紹介されている。公式URL BioLife Solutions / Aseptic TechnologiesThawSTAR AT SeriesAT-Closed Vial技術と組み合わせた閉鎖系バイアル向け融解システム。細胞治療ワークフローでの標準化解凍に関係する。公式URL
バッグ対応・細胞治療向け解凍装置8
Barkeyplasmatherm C&G細胞・遺伝子治療向けの解凍・加温装置。容器に依存しにくい設計で、starting materials、QC samples、drug productsなどの標準化された融解に使われる。公式URL Barkey / plasmathermplasmatherm V血漿、血液製品、幹細胞などの解凍・加温に使われる装置。閉鎖水回路により、サンプルが水と直接接触しない構造。公式URL CytivaVIA Thaw CB1000クライオバッグ向けのドライ式自動解凍装置。細胞治療製品の融解ワークフローに使われる。公式URL CytivaVIA Thaw L1000クライオバッグ中の細胞製品を自動・制御条件で融解するドライ式解凍装置。公式URL SartoriusCelsius S3 Benchtop SystemCelsius Paksと組み合わせて、小スケールの凍結融解条件検討に使うベンチトップシステム。30〜100 mLバッグでのfreeze/thaw characterizationに対応する。公式URL SartoriusCelsius FFT / CFT Freeze-Thaw Platformsバイオ医薬品原薬やプロセス液の凍結融解プロセス検討・スケールアップに関係するプラットフォーム。公式URL Helmer ScientificPlasma Thawing Systems主に血漿製品向けの解凍システム。細胞治療用途では製品適合性を確認して使い分ける。公式URL Boekel ScientificPlasma Thawer / Blood Bank Equipment血液・血漿解凍向けの装置。細胞製品とは用途が異なるため、GMP細胞用途では適合性確認が必要。公式URL
解凍・融解ワークフロー関連製品10
BioLife SolutionsCryoStor CS10 / CS5 / CS2細胞凍結保存液。ThawSTARなどの解凍ワークフローと組み合わせて、凍結・融解後の細胞回復性を評価する。公式URL STEMCELL TechnologiesCryoStor Freezing Media凍結保存液。細胞治療、幹細胞、研究用細胞の凍結・融解ワークフローで使われる。公式URL OriGen BiomedicalCryoStore Bags細胞治療や血液・細胞製品の凍結保存に使われるクライオバッグ。バッグ対応解凍装置と組み合わせる。公式URL Charter MedicalCryogenic Storage Bags細胞治療、バイオプロセス、血液関連の凍結保存バッグ。解凍装置との容器適合性確認が重要。公式URL Miltenyi BiotecCryoMACS Freezing Bags細胞治療や細胞処理ワークフローで使われる凍結バッグ。公式URL Thermo Fisher Scientific / NuncCryoTube Vials細胞保存用クライオバイアル。バイアル対応解凍装置やウォーターバスで融解する。公式URL CorningCryogenic Vials細胞保存用クライオバイアル。研究・開発・セルバンク用途で使われる。公式URL Beckman Coulter Life SciencesVi-CELL BLU / Vi-CELL XR解凍後の細胞数・生存率確認に使われる自動セルカウンター。公式URL Logos BiosystemsLUNA-FX7 / LUNAシリーズ解凍後の細胞数・生存率確認に使われる自動セルカウンター。公式URL Thermo Fisher ScientificCountess 3 Automated Cell Counter解凍後細胞の生存率・細胞数確認に使われる自動セルカウンター。公式URL

関連製品

関連記事

シードトレインとは?セルバンクから本培養へつなぐ段階的な培養工程基礎知識・培養シードトレインとは?セルバンクから本培養へつなぐ段階的な培養工程セルバンクとは?抗体医薬の製造に使う細胞を保存・管理する工程基礎知識・培養セルバンクとは?抗体医薬の製造に使う細胞を保存・管理する工程なぜモノクローナル抗体はCHO細胞で作るのか?高発現だけでは説明できない理由基礎知識・培養なぜモノクローナル抗体はCHO細胞で作るのか?高発現だけでは説明できない理由本培養とは?抗体医薬の産生量と品質を決める培養工程基礎知識・培養本培養とは?抗体医薬の産生量と品質を決める培養工程