品質特性・分析

残存DNAとは?

残存DNAは、宿主細胞に由来し製造工程で残る核酸の工程由来不純物です。規制上の管理対象であり、qPCRやddPCRを用いて高感度に残存量を定量し、精製工程のDNA除去性能を評価します。

残存DNAを管理する理由
宿主細胞由来DNAは規制上の管理対象
理論的な発がん性・感染性リスクを低減する
精製工程のクリアランスを示す指標になる
分類
品質特性(分析)
主な手法
qPCR(リアルタイムPCR) / デジタルPCR(dPCR) / DNA抽出(前処理) / 宿主特異的配列のサイズ分画qPCR/dPCR(短鎖<200bp・長鎖>200bpアンプリコン) / 直接qPCR(抽出前処理を省くダイレクト法)
代表的な基準法
定量PCR(qPCR、TaqManプローブ系)による宿主細胞DNA定量
主な管理パラメータ
標的配列:宿主特異的高コピー反復配列(CHOはAlu様反復、種交差反応のない配列を選定) / 検量線範囲とR²:例 3 fg/μL〜300 pg/μL、R²≥0.99(PMC6717637実例) / LOD/LOQ:fg/反応〜sub-pg/反応レベルを設定・検証 / スパイク添加回収率(前処理効率):典型80〜120%(実例82.3〜105.7%) / PCR阻害評価:内部標準/添加回収で阻害の有無を確認 / 前処理:proteinase K消化(例60℃・60分)→DNA抽出・精製による高分子夾雑物除去
関連分析
HCPと並ぶ工程由来不純物 / 純度評価との関係 / 無菌・微生物との工程管理 / HCP / 純度

手法の比較 ― どの方法で測るか

手法原理何が分かる使い分け
qPCR(リアルタイムPCR)配列特異的に増幅して定量残存DNA量(pg/mg・pg/dose)ルーチン定量の主力
デジタルPCR(dPCR)微小区画で絶対定量低コピーの高感度定量高感度・標準曲線非依存
DNA抽出(前処理)サンプルからDNAを回収抽出回収率(定量の前提)回収率での補正に必須
宿主特異的配列のサイズ分画qPCR/dPCR(短鎖<200bp・長鎖>200bpアンプリコン)宿主ゲノムの同一/近接領域に対し短鎖と長鎖の2アンプリコンを設計し、それぞれの定量比から残存DNAの断片長分布を推定する。長鎖/短鎖比が小さいほど工程によるDNA断片化が進んでいることを示す。残存DNA断片サイズ分布(<200 bp/>200 bp)、長鎖:短鎖比既存表(qPCR総量・dPCR・DNA抽出)は『どれだけ残るか』を測るが、サイズ管理(≤200 bp)の直接エビデンスが欠けている。WHO/FDAが断片長を要求するため、総量と独立にサイズを示す本法が補完として必須。
直接qPCR(抽出前処理を省くダイレクト法)proteinase K消化のみ等の簡略前処理でDNA抽出を省き、試料を直接qPCRにかける。抽出に伴う回収損失とハンズオン時間を削減し、ハイスループットな工程内モニタリングに適する。残存宿主細胞DNA量(抽出工程を介さない迅速値)既存表の『DNA抽出(前処理)』は高回収だが煩雑・律速。スループットを要する工程内多点測定では抽出省略の直接法が現実解で、抽出法と相補。阻害管理を前提に併記すべき選択肢。
この分析を記事で詳しく読む解説記事へ →