品質特性・分析

AAVベクターゲノム力価(vg/mL)とは?

ベクターゲノム力価は、AAV製剤中の「ゲノムを内包したベクター量(vg/mL)」を示す含量指標で、投与量設定の基準になります。物理粒子数(カプシド力価)との比(vg/cp)で、空・実カプセルの割合も評価します。

ゲノム力価を測る理由
投与量(dose)の基準になる含量指標
手法・標準で値が大きくばらつく
vg/cp比は製品の効率・品質を表す
分類
品質特性(分析)
主な手法
デジタルPCR(ddPCR) / qPCR / ELISA(カプシド) / 沈降速度分析超遠心法(SV-AUC) / 質量光度法(Mass Photometry) / ネイティブ/電荷検出質量分析(native MS / CDMS)
代表的な基準法
デジタルPCR(ddPCR/dPCR)による絶対定量
主な管理パラメータ
ターゲット領域:トランスジーン(GOI)特異的領域を推奨。ITR領域は二次構造・反復性で過大評価/変動の原因。GOIはITRから十分離す / DNA抽出/前処理:digestion-free(TE+5% Tween 20希釈)またはプロテイナーゼK消化。カプシドからのゲノム遊離効率を管理 / DNase処理:カプシド非内包の遊離(被包外)DNAを除去し、真の内包vgを測定(DNase耐性ゲノム) / 標準曲線材料(qPCR):直鎖化プラスミドではなくAAV参照材料を用いると精度向上(直鎖化状態・超らせん化でコピー数換算が変動) / scAAV補正:自己相補型は1ゲノムあたり2本鎖→qPCR/ddPCRのコピー数を1/2補正、変性条件の管理が必須 / ddPCR液滴数・陽性/陰性分離:許容液滴数(例 >10,000)、レインドロップ閾値、ポアソン信頼区間
関連分析
空・実カプセル比 / 残存DNAとの関係 / 感染価・効力 / 残存DNA / 効力(ポテンシー)

手法の比較 ― どの方法で測るか

手法原理何が分かる使い分け
デジタルPCR(ddPCR)ゲノム配列を絶対定量ベクターゲノム力価(vg/mL)標準非依存の主力
qPCR標準曲線で定量vg/mLルーチン定量
ELISA(カプシド)カプシドタンパクを定量カプシド力価(cp/mL)→vg/cp比物理粒子数の評価
沈降速度分析超遠心法(SV-AUC)AAV粒子を沈降係数で分離。空・部分充填・実カプシドが異なる沈降係数で別ピークとして検出され、実カプシド割合を絶対法で定量空/実カプシド比(%full)、部分充填粒子、凝集体。標準物質不要vg/cp比の根拠となる空/実比の基準確認法。ただし高純度・大量試料(〜500μL、〜5×10^12 vg/mL)と長時間(〜6h)を要し、製造ロットの別の方法での確認・特性解析向け
質量光度法(Mass Photometry)単一粒子の散乱/反射光コントラストを質量に換算(DiscoverMP)。空と実の既知質量差から粒子別に空/部分/実を計数空/部分/実カプシドの個数分布、粒子質量少量・短時間で空/実比をAUCと別の方法での確認。前処理ほぼ不要だが定量レンジ・濃度依存性の検証が必要
ネイティブ/電荷検出質量分析(native MS / CDMS)無傷カプシドの質量を直接測定。空・実の質量差(内包ゲノム分)から比率を算出。CDMSは個々のイオン質量を測りヘテロな集団を直接分解空/実カプシド比、部分・過充填種、カプシド質量精度AUCより短時間(CDMS約2h)で部分/過充填種の解釈に強いが、技術として発展途上で専用装置・専門性を要する
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