Standard Process Map微生物・発酵

酵母製造 基準工程マップ

この基準工程マップは、酵母による生産と分析を発酵 → 回収 → 精製 → 品質特性解析の順に整理しています。最適な手法は宿主(ピキアやサッカロミセスなど)や分泌生産・糖鎖(ヒトと異なる)の扱いで変わるため、各工程に代替・補完法も併記しています。

19工程5フェーズ

製法の条件で切り替える

◇の付いた7工程は、この条件で基準法が変わります。

全体像

工程名を押すと、その工程の説明へ移ります。工程を押すと、その場で詳しい説明が開きます。◇は条件で基準法が変わる工程です。

  1. 培養・産生4工程
    1. 01宿主株・セルバンクの構築と品質管理
    2. 02種培養・スケールアップ
    3. 03本培養・フェドバッチ(条件で分岐)
    4. 04工程内分析・IPC
  2. 回収・清澄化4工程
    1. 05細胞分離・清澄化(ハーベスト)(条件で分岐)
    2. 06封入体洗浄(条件で分岐)
    3. 07ホモジナイズ破砕(条件で分岐)
    4. 08リフォールディング(条件で分岐)
  3. 精製3工程
    1. 09キャプチャー(条件で分岐)
    2. 10中間精製・ポリッシング
    3. 11ウイルスクリアランス
  4. 製剤・充填2工程
    1. 12限外ろ過/透析ろ過
    2. 13除菌ろ過・無菌充填
  5. 品質特性・分析6工程
    1. 14同一性・一次構造確認
    2. 15純度・不均一性
    3. 16糖鎖プロファイル
    4. 17工程由来不純物(条件で分岐)
    5. 18力価・含量
    6. 19エンドトキシン・無菌

製法の条件で切り替える

◇の付いた7工程は、この条件で基準法が変わります。

培養・産生(4工程)

工程1:宿主株・セルバンクの構築と品質管理

全生産の出発点を1本に固定し、株の同一性・コピー数・継代安定性でロット間のぶれを断つ工程。

基準法マスター/ワーキングセルバンク方式(2段バンク)+株の同一性・純度・遺伝的安定性試験

工程3:本培養・フェドバッチ

◇ 分岐

超高密度培養とメタノール誘導で発現・分泌を制御し、収量を決める中心工程。

基準法流加培養(フェドバッチ)

細胞内・封入体+リフォールディングでは

高密度フェドバッチ後にIPTG(lac/T7系)または温度シフトで誘導し、可溶性ではなく不溶性の封入体として産物を蓄積させる

回収・清澄化(4工程)

工程5:細胞分離・清澄化(ハーベスト)

◇ 分岐

上清側の分泌物を回収するため菌体・細胞片を除き、後段クロマトの目詰まりを防ぐ前処理。

基準法ディスクスタック遠心分離+デプスろ過による一次清澄化(分泌生産=上清回収)

細胞内・封入体+リフォールディングでは

遠心で菌体ペレットを回収(上清は廃棄)

工程6:封入体洗浄

◇ 分岐

封入体表面の宿主由来夾雑を洗浄除去し、可溶化・リフォールディングの純度と再現性を確保するため

基準法遠心でIBを回収後、0.5% Triton X-100・1〜2 M尿素・EDTA含有Tris緩衝液で複数回の段階洗浄を行い、各回遠心でペレットを回収する

細胞内・封入体+リフォールディングでは

高圧ホモジナイズ破砕液を遠心しIBペレットを回収後、0.5% Triton X-100・1〜2 M尿素・EDTA含有バッファで膜・可溶性HCPを洗浄除去

工程7:ホモジナイズ破砕

◇ 分岐

非分泌・封入体型で頑丈な酵母細胞壁を物理破砕し、菌体内の目的物を取り出す補助経路。

基準法高圧ホモジナイズによる機械的破砕+遠心/ろ過で可溶画分を分離

細胞内・封入体+リフォールディングでは

洗浄済みIBを6 M グアニジン塩酸塩または8 M 尿素+還元剤で完全に変性・可溶化(折り畳みを意図的にほどく)

工程8:リフォールディング

◇ 分岐

封入体由来の変性タンパクを天然立体構造・正しいジスルフィド結合へ再生し活性を回復するため

基準法可溶化液から還元剤を除き、酸化還元対(システイン/シスチンなど)を含むリフォールディング液へ希釈する

細胞内・封入体+リフォールディングでは

変性可溶化液を希釈リフォールディング(6〜10倍希釈)または透析で変性剤を段階的に除去し、酸化型/還元型グルタチオン対でジスルフィド結合を再形成

精製(3工程)

工程9:キャプチャー

◇ 分岐

汎用アフィニティ配位子が無いためタグ精製かイオン交換で一気に捕捉し、大半の不純物を落とす土台工程。

基準法アフィニティ

細胞内・封入体+リフォールディングでは

Protein A等のアフィニティに依らず、陰イオン交換(AEX)でのキャプチャーが基本(リフォールド希釈液の大容量・低濃度に対応)

工程11:ウイルスクリアランス

ウイルスリスクは低いが工程由来不純物とバイオバーデンを確実に減らしクリアランスを担保する工程。

基準法ナノ/除菌ろ過+クロマト各段でのクリアランス、エンドトキシン・DNA除去工程の組込み

製剤・充填(2工程)

品質特性・分析(6工程)

工程17:工程由来不純物

◇ 分岐

残存する酵母HCP・DNAを微量まで検出し許容レベル以下に下げ切ったか確認する安全性中核試験。

基準法酵母特異的HCP ELISA(サンドイッチ法)+残存DNAのqPCR定量

細胞内・封入体+リフォールディングでは

酵母特異的HCP ELISAではなく大腸菌(E. coli)HCP ELISAで定量

工程19:エンドトキシン・無菌

注射剤としてエンドトキシン・微生物の不在を薬局方法で確認する患者安全の最終関門。

基準法バクテリアルエンドトキシン試験(LAL

公開情報にもとづく一般的な整理です。実際の構成は条件により異なります。

このマップとあわせて見る

微生物・発酵のほかの製法