Product Guide

酵母 発酵培養用培地

酵母 発酵培養用培地(Pichia/Saccharomyces)は、Pichia pastoris(Komagataella)やSaccharomyces cerevisiaeを高密度まで増殖させ、組換えタンパク質を発現させるための規定培地・複合培地である。大腸菌や哺乳類細胞とは選定軸が異なり、メタノール誘導(AOX1系)やグリセロール/グルコース増殖相、基礎塩培地+PTM1微量塩、分泌発現を前提とするため、宿主と発現様式に合わせた培地系で選定が全く変わる。

酵母発酵Pichia pastorisSaccharomycesメタノール誘導規定培地BMGY/BMMY

用途・特徴

酵母発酵は大腸菌より遅く哺乳類細胞より速い増殖で、グリセロールや糖を炭素源に高密度(湿菌体で数百g/L規模)へ到達します。Pichiaではメタノール資化(AOX1プロモーター)による誘導発現が主流で、培地はグリセロール増殖相用とメタノール誘導相用に分かれ、基礎塩培地にPTM1微量塩を組み合わせる構成が定番です。大腸菌のリッチ培地・自己誘導とも、CHO培地の糖鎖・比産生軸とも違い、メタノール供給制御と溶存酸素・発熱・pH維持が培地選定の前提になります。

宿主と発現様式で選定が大きく変わるのも酵母特有です。Pichia高密度発酵では基礎塩+PTM1のミネラル培地(pH制御・流加)が標準で、緩衝化したグリセロール/メタノール複合培地(YNB+ペプトン系)は振盪培養や分泌発現の評価に向きます。一方Saccharomyces中心の系では規定培地(YNB±アミノ酸)による栄養要求性マーカー選択や、複合培地(YPD)での増殖が軸になり、メタノール誘導前提のPichia系培地はそのままでは使いません。分泌発現か細胞内発現か、糖鎖(高マンノース型)を許容するかでも最適な培地・誘導戦略が分かれます。

他モダリティでは銘柄も選定基準も置き換わります。大腸菌発酵では原核用リッチ培地や封入体回収が論点ですが、酵母ではメタノール毒性管理・PTM1微量塩・分泌タンパク質の安定性が選定軸になります。CHO/HEK293の本培養では無血清・化学的定義培地が中心で、酵母用の規定培地・基礎塩培地は使われません。逆に酵母では動物由来成分フリーやスケールアップ時の溶存酸素確保は重要でも、電荷異性体のような哺乳類特有CQAは選定軸に入りません。

Point
  • 宿主(Pichia/Saccharomyces)と発現様式で培地系・誘導戦略が全く変わる
  • Pichiaはメタノール誘導(AOX1)前提で、グリセロール増殖相とメタノール誘導相に培地を分ける
  • 高密度発酵では基礎塩培地+PTM1微量塩のミネラル培地が標準構成
  • 緩衝化グリセロール/メタノール複合培地(YNB系)は分泌発現の振盪評価に向く
  • Saccharomyces系は規定培地(YNB±アミノ酸)による栄養要求性マーカー選択が軸
  • 分泌発現か細胞内発現か、高マンノース型糖鎖の許容で最適な培地が分かれる

使用方法

基本的には、宿主と発現様式(メタノール誘導/構成的、分泌/細胞内)に合わせて増殖相と誘導相の培地を選び、前培養から高密度本発酵へ進めます。

1宿主株・プロモーター・選択マーカーを確認する
2分泌/細胞内発現と誘導方式(メタノール誘導等)を決める
3増殖相用と誘導相用の培地・基礎塩・微量塩を選定する
4炭素源(グリセロール/グルコース→メタノール)と流加戦略を設計する
5溶存酸素・pH・温度・メタノール濃度を確認しながら誘導する
6菌体量・発現量・分泌タンパク質の品質を評価し条件を最適化する
実際の条件は、宿主株、目的タンパク質、分泌/細胞内、培養スケール、誘導方式、酸素供給能、GMP要件によって変わります。

使用される工程

酵母発酵用培地は、株の立ち上げから高密度本発酵、メタノール誘導までの微生物上流工程で使われます。

形質転換・株選抜

発現株構築後の選択培養や、栄養要求性マーカーによるクローン選抜に規定培地を使う。

主な用途
  • 選択培養
  • クローン選抜

前培養(種培養)

本発酵へ渡す菌体を立ち上げる前培養に複合培地やグリセロール培地を使う。

主な用途
  • 種培養
  • 立ち上げ

高密度本発酵

ジャーやバイオリアクターでの高密度培養で基礎塩培地とPTM1微量塩、グリセロール流加を使う。

主な用途
  • 高密度培養
  • 流加

メタノール誘導発現

AOX1系のメタノール誘導で目的タンパク質の発現を立ち上げ、メタノール濃度を制御する。

主な用途
  • メタノール誘導
  • 分泌発現

使用されるモダリティー

酵母発酵用培地は微生物発酵モダリティの中核で、哺乳類細胞系のモダリティでは選定基準も銘柄も置き換わります。

微生物発酵
関連度
Pichia高密度発酵メタノール誘導Saccharomyces培養
本カテゴリの主用途。宿主と発現様式で増殖相・誘導相の培地を使い分ける。
組換えタンパク質・酵素
関連度
分泌タンパク質工業用酵素研究用タンパク質
酵母分泌発現の組換えタンパク質生産で発酵培地が直接効く。
ワクチン抗原・VLP
関連度中〜高
酵母発現抗原VLP生産
酵母発現するワクチン抗原やVLPの生産で発酵培地が関係する。
プラスミドDNA
関連度低〜中
酵母由来補助材料
pDNA製造本体は大腸菌中心で、酵母系が関わる場面は限定的。
抗体フラグメント
関連度低〜中
Fab・nanobodyの酵母発現
全長抗体はCHO中心で対象外。酵母発現するフラグメント系のみ関わる。
ウイルスベクター・細胞治療
関連度低〜中
原料酵素・補助タンパク質製造
製造本体はHEK293/T系で、関連の原料酵素を酵母で作る場合に限り関係する。

メーカー製品

関連記事