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大腸菌 高密度発酵用培地・フィード

大腸菌 高密度発酵用培地・フィードは、大腸菌を高い菌体密度まで増殖させ、組換えタンパク質を発現させるための培地と流加用フィードである。哺乳類細胞培養とは選定軸が全く異なり、増殖速度・酢酸蓄積・溶存酸素・誘導方式(IPTG/自己誘導)を前提に、炭素源と窒素源のバランスで設計する微生物発酵特有の培地系である。

大腸菌高密度発酵自己誘導TB/2xYT/M9IPTG誘導微生物発酵

用途・特徴

大腸菌発酵では、哺乳類細胞培養と違い、増殖が極めて速く高密度(湿菌体で100〜200g/L規模)に達するため、培地は炭素源・窒素源・微量元素の絶対量とバランスが律速になります。抗体医薬のCHO培地が糖鎖品質や比産生速度を軸に選ばれるのに対し、ここでは溶存酸素・酢酸蓄積・発熱の管理を前提に、リン酸緩衝能やグリセロール/グルコース配合の発酵培地が選定軸になります。

発現誘導の方式が培地選定を大きく変えるのも大腸菌特有です。IPTG誘導前提か、ラクトース系の自己誘導培地かで、糖配合・誘導タイミング・酸素要求が変わります。自己誘導はモニタリングなしで高発現を狙える反面、組成依存性が高く、TB系のリッチ培地は高密度に向く一方で酢酸抑制のための工夫が要ります。封入体回収か可溶性発現かでも最適な培地・温度戦略が分かれます。

他モダリティでは選定基準も銘柄も置き換わります。CHOやHEK293の本培養では無血清・化学的定義培地とフェッドバッチフィードが中心で、ここで使う原核用のリッチ培地・自己誘導培地は使われません。逆に大腸菌では動物由来成分フリーやGMP原料管理は重要ですが、糖鎖や電荷異性体といった哺乳類特有のCQAは選定軸に入りません。

Point
  • 増殖が速く高密度に達するため、炭素源・窒素源・微量元素の絶対量とバランスが律速になる
  • 誘導方式(IPTG誘導/ラクトース自己誘導)で糖配合・誘導タイミング・酸素要求が変わる
  • 酢酸蓄積を抑える炭素源設計(グリセロール併用、グルコース流加)が高密度発酵の要点
  • リン酸緩衝能とpH維持、溶存酸素・発熱の管理を前提に培地を選ぶ
  • 封入体回収か可溶性発現かで最適な培地組成・誘導温度戦略が分かれる
  • TB・2xYT・M9・自己誘導など基本タイプを発現量・再現性・コストで使い分ける

使用方法

基本的には、発現方式と目的タンパク質の局在(可溶性/封入体)に合わせて培地と誘導戦略を決め、前培養から高密度本発酵へ進めます。

1発現株・プラスミド・選択マーカーを確認する
2可溶性発現か封入体回収かと誘導方式を決める
3前培養用と本発酵用の培地を選定する
4炭素源(グリセロール/グルコース)と流加戦略を設計する
5溶存酸素・pH・温度・酢酸を確認しながら培養し誘導する
6菌体量・発現量・可溶性を評価し条件を最適化する
実際の条件は、発現株、目的タンパク質、可溶性/封入体、培養スケール、誘導方式、酸素供給能、GMP要件によって変わります。

使用される工程

大腸菌発酵用培地・フィードは、株の立ち上げから高密度本発酵、発現誘導までの微生物上流工程で使われます。

形質転換・株構築

発現プラスミド導入後の選択培養、シングルコロニー取得に使われる。

主な用途
  • 選択培養
  • コロニー取得

前培養(種培養)

本発酵へ渡す菌体を立ち上げる前培養に2xYTやLB系を使う。

主な用途
  • 種培養
  • 立ち上げ

高密度本発酵

ジャーやバイオリアクターでの高密度培養で発酵培地と流加フィードを使う。

主な用途
  • 高密度培養
  • 流加

発現誘導

IPTG誘導または自己誘導で目的タンパク質の発現を立ち上げる。

主な用途
  • IPTG誘導
  • 自己誘導

使用されるモダリティー

大腸菌発酵用培地は微生物発酵モダリティの中核で、哺乳類細胞系のモダリティでは選定基準も銘柄も置き換わります。

微生物発酵
関連度
大腸菌高密度発酵自己誘導発現封入体回収
本カテゴリの主用途。発現方式と炭素源設計で培地・フィードを使い分ける。
組換えタンパク質・酵素
関連度
インスリン類縁体工業用酵素研究用タンパク質
大腸菌発現の組換えタンパク質生産で発酵培地が直接効く。
プラスミドDNA
関連度中〜高
pDNA製造株培養高コピー培養
pDNA製造の大腸菌培養で関係するが、発現用とは培地最適化の狙いが異なる。
ペプチド・低分子足場
関連度
融合タンパク質発現前駆体生産
大腸菌発現を介する場合に発酵培地が使われる。
抗体フラグメント
関連度低〜中
Fab・scFvの微生物発現
全長抗体はCHO中心で対象外。微生物発現するフラグメント系のみ関わる。
ウイルスベクター・細胞治療
関連度低〜中
原料酵素・補助タンパク質製造
製造本体はHEK293/T系で、関連の原料酵素を大腸菌で作る場合に限り関係する。

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