大腸菌 高密度発酵用培地・フィード

大腸菌 高密度発酵用培地・フィード

大腸菌 高密度発酵用培地・フィードは、大腸菌を高い菌体密度まで増殖させ、組換えタンパク質を発現させるための培地と流加用フィードである。哺乳類細胞培養とは選定軸が全く異なり、増殖速度・酢酸蓄積・溶存酸素・誘導方式(IPTG/自己誘導)を前提に、炭素源と窒素源のバランスで設計する微生物発酵特有の培地系である。

大腸菌高密度発酵自己誘導TB/2xYT/M9IPTG誘導微生物発酵
分類
大腸菌 高密度発酵用培地・フィード
主な用途
大腸菌 / 高密度発酵 / 自己誘導 / TB/2xYT/M9 / IPTG誘導 / 微生物発酵
関連モダリティ
微生物発酵 / 組換えタンパク質・酵素 / プラスミドDNA / ペプチド・低分子足場 / 抗体フラグメント / ウイルスベクター・細胞治療
代表メーカー
Merck (Millipore Sigma)・Teknova・Formedium・Thermo Fisher ほか計5社
関連キーワード
自己誘導培地 / Terrific Broth / 2xYT / M9最少培地 / IPTG誘導 / 高密度発酵

用途・特徴

大腸菌発酵では、哺乳類細胞培養と違い、増殖が極めて速く高密度(湿菌体で100〜200g/L規模)に達するため、培地は炭素源・窒素源・微量元素の絶対量とバランスが律速になります。抗体医薬のCHO培地が糖鎖品質や比産生速度を軸に選ばれるのに対し、ここでは溶存酸素・酢酸蓄積・発熱の管理を前提に、リン酸緩衝能やグリセロール/グルコース配合の発酵培地が選定軸になります。

発現誘導の方式が培地選定を大きく変えるのも大腸菌特有です。IPTG誘導前提か、ラクトース系の自己誘導培地かで、糖配合・誘導タイミング・酸素要求が変わります。自己誘導はモニタリングなしで高発現を狙える反面、組成依存性が高く、TB系のリッチ培地は高密度に向く一方で酢酸抑制のための工夫が要ります。封入体回収か可溶性発現かでも最適な培地・温度戦略が分かれます。

他モダリティでは選定基準も銘柄も置き換わります。CHOやHEK293の本培養では無血清・化学的定義培地とフェッドバッチフィードが中心で、ここで使う原核用のリッチ培地・自己誘導培地は使われません。逆に大腸菌では動物由来成分フリーやGMP原料管理は重要ですが、糖鎖や電荷異性体といった哺乳類特有のCQAは選定軸に入りません。

Point
  • 増殖が速く高密度に達するため、炭素源・窒素源・微量元素の絶対量とバランスが律速になる
  • 誘導方式(IPTG誘導/ラクトース自己誘導)で糖配合・誘導タイミング・酸素要求が変わる
  • 酢酸蓄積を抑える炭素源設計(グリセロール併用、グルコース流加)が高密度発酵の要点
  • リン酸緩衝能とpH維持、溶存酸素・発熱の管理を前提に培地を選ぶ
  • 封入体回収か可溶性発現かで最適な培地組成・誘導温度戦略が分かれる
  • TB・2xYT・M9・自己誘導など基本タイプを発現量・再現性・コストで使い分ける

使用方法

基本的には、発現方式と目的タンパク質の局在(可溶性/封入体)に合わせて培地と誘導戦略を決め、前培養から高密度本発酵へ進めます。

1発現株・プラスミド・選択マーカーを確認する
2可溶性発現か封入体回収かと誘導方式を決める
3前培養用と本発酵用の培地を選定する
4炭素源(グリセロール/グルコース)と流加戦略を設計する
5溶存酸素・pH・温度・酢酸を確認しながら培養し誘導する
6菌体量・発現量・可溶性を評価し条件を最適化する
実際の条件は、発現株、目的タンパク質、可溶性/封入体、培養スケール、誘導方式、酸素供給能、GMP要件によって変わります。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)