技術トピック
2026.06.22

「連続・コネクテッド」へ──プロセス強化が現実解になりつつある

技術トピック

バイオ医薬の製造は長らくバッチ(回分)が前提でしたが、ここ数年その前提を問い直す動きが本格化しています。キーワードは「プロセス強化」と「連続・コネクテッド生産」。培養から精製までを区切らず、流れとしてつなぐ発想です。背景には上流の高密度化があります。培地を入れ続け老廃物を抜き続ける灌流(パーフュージョン)で、細胞を高密度のまま長く走らせられるようになり、fed-batchでも種培養の最終段を灌流で強化する「N-1強化」が広がりました。問題は、濃く速くなった上流に下流(精製)がどう追随するか。ここで連続精製が効いてきます。

何が起きているか

灌流ハーベストを、サージタンク(緩衝槽)を介してマルチカラムクロマトグラフィーへ連続的に流し込む構成が、実プロセスで動き始めています。マルチカラムでは大きな1本を小さな複数本に分け、ある列にロードしながら別の列で洗浄・溶出・再生を回すため、止まらない上流と相性が良く、樹脂の利用効率も高まるのが利点です。後段でも固定樹脂に頼らないメンブレンクロマトグラフィーやインラインのTFFシステムを組み合わせ、各ユニットを途切れさせない設計が試みられています。原理はUF・DF/TFFの基礎も参照してください。

なぜ今か

大きいのは規制の追い風です。2022年にICH Q13(連続生産ガイドライン)が確定し、FDAも2023年に採用しました。連続生産を個別ユニットでなく「統合システム」として捉える視点を示し、新規品目だけでなくバッチからの転換にも適用されます。出口(承認)が見えたことで移行のハードルが下がりました。もう一つは施設効率です。連続化で各装置を小さくでき、建屋も初期投資も縮みます。シングルユースと組み合わせれば洗浄バリデーションの負担も減り、多品種・変動需要に身軽に応えたいニーズと噛み合います。一方で、連続化の本質は「止まらないこと」。上下流の流量・タイミングのずれを吸収するサージ管理や、状態をリアルタイムで把握するPAT(工程分析技術)が前提になり、逸脱時にどこを切り出すかという管理戦略もバッチほど直感的ではありません。それでも設備フットプリント削減の引力は強く、連続前提で組む選択肢は着実に現実解へ近づいています。

※ 本記事は公開情報をもとにした解説です。

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