濃縮・バッファ交換

TFFシステム(限外ろ過・濃縮/バッファ交換)

TFF(タンジェンシャルフローろ過/クロスフロー)システムは、膜面に対して平行に液を循環させながら、限外ろ過(UF)で目的タンパク質を濃縮し、ダイアフィルトレーション(DF)でバッファを交換する装置です。膜に対して平行な流れがゲル分極層の蓄積を抑え、目詰まりを避けながら水・塩・低分子だけを透過液側へ抜きます。下流精製の中間体調整や原薬の最終濃縮・処方バッファ置換で広く使われます。

UF濃縮DFバッファ交換下流精製原薬最終調整
分類
濃縮・バッファ交換
主な用途
UF濃縮 / DFバッファ交換 / 下流精製 / 原薬最終調整
関連モダリティ
抗体医薬 / Fc融合・組換えタンパク質 / 二重特異性抗体 / ADC / AAV / mRNA-LNP / ワクチン / 微生物発酵
代表メーカー
Cytiva・Sartorius・Merck / MilliporeSigma・Repligen ほか計5社
関連キーワード
限外ろ過 / ダイアフィルトレーション / バッファ交換 / デプスフィルター / ウイルスろ過 / Protein A精製

用途・特徴

TFFシステムは、MWCO(公称分画分子量)を選んだ膜を介して、目的タンパク質を保持しつつ水・塩・低分子を透過させます。UFモードでは保持液(リテンテート)を循環させて体積を減らし濃縮し、DFモードでは置換バッファを補給しながら同体積で運転して塩や添加剤を入れ替えます。DFの進み具合はダイアボリューム(DV=処理した置換バッファ量/保持液量)で管理し、低分子の除去率を見積もります。

性能を決めるのはTMP(膜間差圧)とクロスフロー流速(フィードフラックス)のバランスです。TMPを上げるほど透過フラックスは増えますが、ある点を超えると膜面にゲル分極(濃度分極)層が形成され、フラックスがTMPに依存しなくなる圧力非依存領域に入ります。実運用ではフラックス対TMP曲線を取り、ゲル分極で頭打ちになる手前のTMPで運転して目詰まりと製品ロスを抑えます。

膜形態はカセット(平膜・スクリーンチャンネル)と中空糸(ホローファイバー)に大別され、近年は前洗浄・保管液処理を省けるシングルユース(プレサニタイズ済み)TFFも普及しています。再使用型カセットではCIP(NaOH洗浄)と完全性試験(エアリーク/拡散流)で性能を確認しながら複数回使用します。

Point
  • 膜面に平行な流れでゲル分極を抑える限外ろ過・バッファ交換装置
  • UFで濃縮、DFでバッファ交換(処方バッファ置換・脱塩)を行う
  • MWCOは目的物分子量のおおむね1/3〜1/6を目安に選定する
  • TMPとクロスフロー流速のバランスでフラックスと製品ロスが決まる
  • DFの進行はダイアボリューム(DV)で管理する
  • カセット(平膜)・中空糸・シングルユースから形態を選ぶ
  • 膜面積はバッチ量・許容運転時間・フラックスから設計する
  • 再使用ではCIP(NaOH)と完全性試験で性能を維持・確認する

使用方法

基本的には、清澄化済みまたは精製中間体のプール液をフィードタンクに入れ、ポンプで膜モジュールへ循環させながらUF濃縮とDFバッファ交換を行います。

1目的物分子量からMWCOと膜素材を選ぶ
2バッチ量・運転時間から膜面積を決める
3膜・配管をフラッシュし保管液を除く
4完全性試験(エアリーク)で膜を確認する
5平衡化バッファでシステムを立ち上げる
6フィード液を投入しクロスフローを設定する
7TMPを設定しUFモードで濃縮する
8目標体積で停止しDF(バッファ交換)へ移行する
9規定ダイアボリュームまでDFを継続する
10製品回収・リンス後、CIPと完全性試験を行う
実際の運転条件は、目的物の濃度・粘度・せん断感受性、フィードの不純物量、目標濃度とバッファ条件、膜形態、スケール、GMP要件によって変わります。フラックスやTMPの上限、最大濃度(粘度・浸透圧上昇)は予備試験で確認します。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)