バイオ分析装置の Unchained Labs が、全自動・プレート式・卓上型のバッファ交換システム Lil' Tuna を発表しました。PRNewswire のリリースおよび同社公式ページによると2026年7月7日付の発表で、タンパク質・ウイルスベクター・核酸を対象に、バッファ交換や濃縮を手作業を挟まずに回すことを狙った装置です。プレート処理を担ってきた Big Tuna と、単検体のウォークアップ処理を担ってきた Unagi の役割を、1台のコンパクトな卓上機に束ねた位置づけとされています。
以下、仕様・性能はいずれもメーカーの公表値(第三者検証ではない自己申告)です。
何をする装置か
バッファ交換は、精製後の原薬や製剤検討で緩衝液の組成を入れ替える、地味ですが頻出の工程です。手作業だと数と時間がかかり、検討の律速になりがちなところを自動化する、という発想の製品です。
方式は圧力式の UF/DF(限外ろ過・ダイアフィルトレーション)。半透膜に圧力をかけてろ液を押し出し、目的の大きな分子を保持しながら、緩やかに撹拌して濃度を均します。原理そのものは抗体などで使われるUF/DF・TFFの基礎と共通です。
- 対応フォーマット:96ウェル(100〜450 µL)・24ウェル(0.45〜8 mL)に加え、単検体「Unas」(0.45〜8 mL、最大6本を並列)。検体数とスケールで使い分けます。
- 膜・回収:膜は再生セルロース(RC)/ポリエーテルスルホン(PES)で、分画分子量は3・10・30・100 kDa(フォーマットにより選択)。メーカーは回収率≥96%を掲げています。
- 運転条件:96%交換で所要3〜4.5時間、目標濃度精度±10%、運転圧15〜60 psi、室温運転。
自動化とAI連携
自動化重視のラボ向けに、汎用APIソフト、オートメーション向けのテンプレート取り込み、ロボットがアクセスしやすい検体ステージを備えるとしています。加えて同社のAI駆動自動化基盤 Stuntman と連携し、バッファ交換の後段——製剤スクリーニングや安定性評価といった下流ワークフロー——へそのまま受け渡せると説明されています。手作業の介在を減らし、AIを前提としたラボの流れに載せることが狙いです。
位置づけと留意点
バッファ交換・濃縮は、製剤開発やハイスループットな条件検討で「数をこなす」工程です。卓上で全自動・プレート式という切り口は、多検体スクリーニングや高濃度製剤の設計と相性のよい論点といえます。
一方で、回収率・交換時間・精度はいずれもメーカーの公表値で、実際の性能は分子の種類・粘度・膜の選定・運転条件によって変わります。価格や提供時期は今回のリリースでは示されていません。導入を検討する際は、自社の検体・目標製剤での確認が前提になります。