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メンブレンフィルター(清澄化・除粒子)

メンブレンフィルターは、薄い高分子膜の孔径によって粒子や微生物を分離するフィルターです。ここでは細胞除去後の二次清澄化、0.2µm除菌ろ過前のバイオバーデン低減、ポリッシュ前やクロマト前後の除粒子に使う膜(PES/PVDFなど、概ね0.1〜0.65µm)を扱います。厚みのあるろ材で濁質を受け止めるデプスフィルターと役割を分担し、清澄化後の液を整えて後段フィルターやカラムへ渡します。

二次清澄化バイオバーデン低減除粒子プレフィルター

用途・特徴

メンブレンフィルターは、デプスフィルターや遠心で大きな細胞・デブリを除いた後に残る微粒子や微生物を、膜表面と孔で捕捉します。主な用途は、ハーベスト後の二次清澄化、0.2µm除菌ろ過の手前でのバイオバーデン低減、Protein A前やポリッシュ前のロード液の除粒子、低pHウイルス不活化後やUF/DF前の微粒子除去、培地・バッファーの清澄ろ過などです。0.1〜0.65µmの範囲では、目的に応じて0.45µm(バイオバーデン低減)、0.2µm(除菌)、0.65/0.8µmのプレフィルター層を使い分け、しばしば0.45/0.2µmや0.8/0.45µmの二層で多段化します。

膜材質はPESとPVDFが主流で、高流量・低タンパク吸着・広いpH適合性が選定の軸になります。膜は厚みのあるろ材より保持容量が小さく、濁質負荷が高い液では急速に目詰まりするため、デプスフィルターやフリースプレフィルターで負荷を下げてから使うのが基本です。実工程ではフラックス(LMH)と差圧の推移を見ながら、Vmax/Pmax試験などで処理量(L/m²)を評価し、必要面積を決めます。シングルユースのカプセルやアセンブリが広く使われ、ガンマ滅菌品は洗浄バリデーションの負担を下げます。

Point
  • 薄い膜の孔径で微粒子・微生物を分離するフィルター
  • 二次清澄化・バイオバーデン低減・除粒子が主な役割
  • PES/PVDFが主流。0.1〜0.65µmを目的別に使い分ける
  • デプスフィルターで負荷を下げてから使うと目詰まりしにくい
  • 0.45/0.2µmなど二層化で処理量を確保する
  • フラックス(LMH)・差圧・処理量(L/m²)で面積を選定する
  • 膜は保持容量が小さく、高濁度液では詰まりやすい
  • シングルユースカプセル・アセンブリが広く使われる

使用方法

基本的には、デプスフィルターや遠心で清澄化した液を、必要に応じてプレフィルターを介してメンブレンフィルターへ通し、微粒子や微生物を低減します。

1ろ過対象液の濁度、粒子負荷、バイオバーデンを確認する
2目的を決める(二次清澄化/バイオバーデン低減/除粒子)
3孔径、膜材質、ろ過面積、形式(カプセル/カートリッジ)を選定する
4必要に応じてプレフィルターと二層構成にする
5バッグ、チューブ、ポンプ、圧力センサーと接続する
6膜を規定の液で湿潤・フラッシュする
7規定流量または規定圧力でろ過する
8入口圧、出口圧、差圧、流量、処理量を記録する
9ろ過後の濁度、粒子数、回収率を確認する
100.2µm除菌ろ過やクロマト工程など次工程へ送る
実際の運用は、前処理(デプス/遠心)の有無、液の濁質負荷と組成、目的(清澄化かバイオバーデン低減か除菌か)、処理量、許容差圧、シングルユースかステンレスハウジングか、GMP要件によって変わります。除菌ろ過(0.2µm滅菌フィルター)として無菌性を保証する場合は完全性試験とバリデーションが別途必要です。

メンブレンフィルター と デプスフィルターの違いは?

メンブレンフィルターとデプスフィルターは、どちらも清澄化に使われますが、捕捉の仕組みと向く濁質負荷が異なり、しばしば直列で組み合わせます。

結論

細胞やデブリが多いハーベスト液をいきなり膜に通すと急速に目詰まりするため、デプスフィルターや遠心で大きな固形分・濁質を先に除き、その後にメンブレンフィルターで微粒子・微生物を仕上げる構成が基本です。膜の孔径は明確に規定でき、後段の0.2µm除菌ろ過やクロマトへ渡す液質を安定させます。

構造

厚みのある多孔質ろ材層

薄い高分子膜

捕捉位置

ろ材内部全体で深さ方向に捕捉

膜表面と孔で捕捉

主な対象

細胞、デブリ、濁質、凝集物

微粒子、微生物、残濁質

向く濁質負荷

高い液に向く

低〜中。高濁度液では詰まりやすい

保持容量

大きい(汚れを溜め込む)

小さい(表面で詰まる)

工程位置

一次・二次清澄化

二次清澄化、バイオバーデン低減、除菌前

孔径の扱い

公称(ノミナル)で幅広く捕捉

孔径規定が明確(0.1〜0.65µm等)

典型構成

前段で濁質を受け止める

デプス後の仕上げ・除粒子に置く

孔径と用途(0.1〜0.65µm)

孔径主な役割代表的な使い方
0.65µm / 0.8µm粗い除粒子・プレフィルター層0.45/0.2µm膜の前段、濁質の高い液の負荷軽減
0.45µmバイオバーデン低減・除粒子クロマト前後、中間体プール、二次清澄化の仕上げ
0.45/0.2µm(二層)バイオバーデン低減+除菌前段プレ層で詰まりを抑え0.2µm膜の処理量を確保
0.2µm / 0.22µm除菌ろ過(sterilizing-grade)培地・バッファー・原薬の無菌化(完全性試験が必要)
0.1µmマイコプラズマ低減・高度除菌マイコプラズマ管理が要る培地や供給液
0.45µm 疎水性通気・少量ガスろ過の補助小規模ベントや一部の用途(本格ベントは専用品)

膜材質と適合性(PES/PVDF等)

膜材質特徴主な用途・注意点
PES(ポリエーテルスルホン)高流量、低タンパク吸着、広いpH適合性、湿潤・試験が容易二次清澄化・バイオバーデン低減の主流。培地・バッファー・タンパク質液
PVDF(親水化)低タンパク吸着、低抽出物タンパク質・製剤の除粒子・最終前処理、低吸着が要る液
PVDF(疎水性)撥水性で気体は通し水は通さない通気・ベント用途(液の清澄化には用いない)
セルロース系(CA/RC/MCE)低吸着グレードもあるが用途が限定的一部の水系・分析前処理。本工程では適合確認が必要
ナイロン正電荷品は微量の負電荷不純物低減に寄与特定用途。タンパク吸着・適合性に注意
ポリプロピレン/ガラス繊維(フリース)粒子・コロイドを深さ方向に捕捉膜の前段プレフィルター。膜の保持容量を補う

代表的な形式・構成

形式内容向く場面
プリーツカートリッジステンレスハウジングに装填する標準形式SIP/オートクレーブ運用、大量処理
シングルユースカプセルハウジング一体型の使い捨て。ガンマ滅菌品もあるシングルユース工程、洗浄バリデーション不要化
二層(プレ+メンブレン)0.8/0.45µmや0.45/0.2µmを一体化詰まりやすい液の処理量確保
フリースプレフィルター+膜PP/ガラス繊維で前処理し膜で仕上げる高濁度・高粒子負荷の二次清澄化
ディスク/小型カプセル47mmディスクや小型カプセルのスケールダウン品Vmax/Pmax試験、処理量・性能評価
流路一体型アセンブリ膜・バッグ・チューブ・コネクター一体二次清澄化ライン、無菌移送前ライン

確認する項目(目詰まり・フラックス・面積)

確認項目内容目的
濁度ろ過前後の濁り清澄化・除粒子性能を確認する
粒子数微粒子・残デブリ量後段フィルター・カラムへの負荷確認
バイオバーデンろ過前後の微生物数バイオバーデン低減効果を確認する
差圧(ΔP)入口圧・出口圧の差の推移目詰まりと処理限界を把握する
フラックス(LMH)面積あたりの流量ろ過速度と処理時間を設計する
処理量(L/m²)目詰まりまでの単位面積処理量Vmax/Pmaxで必要面積を算出する
回収率目的タンパク質の回収率膜への吸着ロスを確認する
タンパク吸着製品が膜に吸着しないか回収率低下を防ぐ
pH・導電率工程液条件膜性能や吸着への影響を確認する

選定ポイント

目的二次清澄化か、バイオバーデン低減か、除粒子か、除菌前段か
前処理デプスフィルターや遠心で濁質を下げてあるか
孔径0.65/0.45/0.2/0.1µmなど目的に合う孔径か、二層化するか
膜材質PES、親水化PVDFなど液との適合性と吸着特性
タンパク吸着目的物の吸着ロスが少ない低吸着膜か
化学適合性pH、有機溶媒、界面活性剤、洗浄液への耐性
ろ過面積バッチ量と許容ろ過時間を満たす面積か
処理量Vmax/Pmaxで目詰まり前の処理量(L/m²)を評価する
フラックス・差圧許容差圧内で必要流量を確保できるか
プレフィルター詰まりやすい液でフリース/粗膜を前段に置くか
形式ステンレスカートリッジかシングルユースカプセルか
滅菌方法SIP/オートクレーブ対応かガンマ滅菌品か
完全性試験除菌グレードとして使う場合の試験基準とテスター適合
E&L・抽出物抽出物・溶出物データ、低E&L設計か
GMP文書CoA、バリデーションガイド、変更通知、規制文書
供給性標準品、リードタイム、スケール展開、セカンドソース

使用される工程

メンブレンフィルターは、清澄化後の液の除粒子・バイオバーデン低減が必要な多くの工程で使われます。

二次清澄化

デプス/遠心後に残る微粒子・残濁質を除去する。

主な用途
  • 微粒子除去

バイオバーデン低減

0.2µm除菌ろ過の手前で微生物負荷を下げる。

主な用途
  • 微生物低減

Protein A前処理

ロード液の粒子を下げカラム詰まりを防ぐ。

主な用途
  • 除粒子

ポリッシュ前後ろ過

AEX/CEX/HIC前後の微粒子・沈殿を低減する。

主な用途
  • 微粒子低減

低pHウイルス不活化後

低pH処理で生じた沈殿・凝集物を除去する。

主な用途
  • 凝集物除去

ウイルスろ過前処理

ウイルスフィルターの詰まりを防ぐため前処理する。

主な用途
  • 詰まり防止

UF/DF前処理

TFF膜への粒子負荷を下げる。

主な用途
  • 粒子負荷低減

培地・バッファー清澄ろ過

調製後の培地・バッファーの粒子・濁質を除く。

主な用途
  • 清澄ろ過

中間体プール処理

工程間プール液のバイオバーデン低減・除粒子を行う。

主な用途
  • 中間体処理

ワクチン・ベクター清澄化

細胞培養液やウイルス液の除粒子・清澄化に使う。

主な用途
  • 清澄化

微生物発酵液前処理

デプス後の残濁質・微粒子を除去する。

主な用途
  • 残濁質除去

使用されるモダリティー

メンブレンフィルターは、清澄化後の除粒子・バイオバーデン低減が必要な多くのモダリティーで使われます。

抗体医薬
関連度
二次清澄化Protein A前処理バイオバーデン低減
デプス後の除粒子やクロマト前後、除菌前段で広く使われる。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
二次清澄化中間体プール処理
低吸着膜での除粒子・バイオバーデン低減が重要。
二重特異性抗体
関連度中〜高
二次清澄化ポリッシュ前後
抗体医薬と同様に各工程の除粒子で使われる。
ワクチン
関連度中〜高
培養液清澄化ウイルス液除粒子
細胞基材・ウイルス液の除粒子・清澄化に使われる。孔径と回収率に注意。
AAV
関連度中〜高
清澄化後除粒子ウイルスろ過前処理
ベクター液の除粒子に使われるが、回収率や吸着の確認が要る。
細胞治療
関連度
培地・工程液の除粒子上清処理
細胞本体には使えないが、培地・工程液・上清の除粒子で関係する。
微生物発酵
関連度
デプス後二次清澄化残濁質除去
デプスフィルターの後段で残濁質・微粒子の除去に使われる。

メーカー製品

二次清澄化・除粒子用メンブレンフィルター(プロセス用)11
Merck / MilliporeSigmaMillipore Express(PES メンブレン)高流量・低吸着の親水性PES膜フィルター。0.45/0.2µmなどの構成で二次清澄化・バイオバーデン低減・除菌に使われ、Emprove文書で支援される。公式URL Merck / MilliporeSigmaMilligard PES(プレフィルター/クラリフィケーション)二段PES膜のプレフィルター。除菌ろ過や除粒子の前段で粒子・コロイドを捕捉し、後段の処理量を確保する。公式URL Merck / MilliporeSigmaPolysep II(プレフィルター)混合セルロースエステルとガラス繊維を用いたオートクレーブ/SIP対応プレフィルター。汚れやすい液の前処理で保持容量を稼ぐ。公式URL SartoriusSartopure PES / Sartopore(PES メンブレン)プレフィルター〜バイオバーデン低減〜除菌までをカバーするPES系メンブレンフィルター。二次清澄化や除粒子の仕上げに使われる。公式URL SartoriusSartopure PP3(PP フリースプレフィルター)全ポリプロピレン製の粒子除去フリースフィルター(0.45〜50µm)。膜フィルターの前段で粒子を捕捉し、後段の負荷を下げる。公式URL SartoriusSartoguard PES / GF(バイオバーデン低減)ガラス繊維プレ層とPES膜を組み合わせたバイオバーデン低減フィルター。詰まりやすい液の二次清澄化に使われる。公式URL PallSupor EKV / EAV(PES メンブレン)非対称PES膜のメンブレンフィルター。0.2µmグレードはB. diminutaチャレンジ済み。バッファーや工程液のバイオバーデン低減・除粒子に使われる。公式URL PallSUPRApak Modules(エッジフロー型クラリフィケーション)シート媒体をエッジフロー方式で封入したクラリフィケーションモジュール。粗〜微の各グレードで除粒子・微生物低減に使われる。公式URL 3M / SolventumZeta Plus(チャージ付きメディア/クラリファイア)正電荷メディアで負電荷不純物を捕捉するクラリフィケーション/除粒子製品。シート・カートリッジ・カプセルで提供される。公式URL 3M / SolventumHarvest RC(クロマトグラフィッククラリファイア)合成媒体の高容量シングルユース・クラリフィケーションプラットフォーム。直接清澄化・遠心後清澄化の除粒子に使われる。公式URL CytivaULTA Prime CG(PES バイオバーデン低減)プリーツPES膜のバイオバーデン低減・除粒子フィルター。培地・バッファー・ハーベスト液の二次清澄化〜除菌前段に使われる。公式URL

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