バッファー・培地ろ過
調製したバッファーや培地を無菌ろ過する。
- 無菌ろ過
フィルターホルダー(ハウジング)は、カートリッジフィルターやディスクフィルターを保持し、流路に組み込むための容器です。フィルターメディア本体だけでは流路に接続できないため、ホルダーが入口・出口・ベント・ドレン・シール構造を備え、規定圧力・規定温度でろ過を成立させます。ラボ用のディスクホルダーから、製造用のマルチラウンドハウジングまで、スケールと用途に応じた形式があります。
フィルターホルダーは、メンブレンカートリッジ、デプスフィルター、ベントフィルター、ディスク膜などを保持し、工程液やガスをろ過するために使われます。主な用途は、バッファーや培地の無菌ろ過、バイオバーデン低減ろ過、タンク・バイオリアクターのベント、最終充填前のろ過、ラボでの試験ろ過などです。
材質はサニタリー用途では316Lステンレスが主体で、製品接液面は電解研磨で表面粗さ(Ra)を抑えて洗浄性を確保します。接続はサニタリー(ヘルールクランプ)、ねじ込み、衛生フランジなどから選び、O-ringやガスケットは接液材質とSIP/CIP条件に合わせます。近年は組立・洗浄・バリデーションの負担を下げるため、ホルダーとフィルターを一体化した使い捨てカプセルへの置き換えも進んでいます。
基本的には、用途とフィルターに合うホルダーを選び、フィルターを装填し、流路に接続してから洗浄・滅菌し、規定条件でろ過します。
同じフィルターメディアを保持する場合でも、ステンレスハウジングと使い捨てカプセルでは運用負担とコスト構造が異なります。
大流量・大容量で長期に同一製品を作る場合は、ステンレスハウジングが有利になりやすい一方、多品種少量、頻繁な切替、洗浄バリデーション負担の低減を重視する場合は、使い捨てカプセルへの置き換えが進んでいます。両者を工程ごとに使い分ける構成も一般的です。
ホルダーとフィルターが別で、フィルターを装填する
ホルダーとフィルターが一体化している
SIP(蒸気滅菌)やオートクレーブで繰り返し使う
ガンマ線滅菌済みで届くものが多い
CIPやバリデーションが必要
使い捨てのため洗浄・洗浄バリデーションが不要
本体コストが高いが繰り返し使える
本体は安いが毎回消耗品費がかかる
組立・洗浄・滅菌の手間がかかる
接続するだけで使え、切替が速い
大流量・大容量、長期反復運転
小〜中スケール、多品種、頻繁な切替
洗浄管理で対応する
使い捨てで交差汚染リスクを下げやすい
廃棄物は少ない
プラスチック廃棄物が増える
| タイプ | 内容 | 向く用途 |
|---|---|---|
| ディスク(メンブレン)ホルダー | 13/25/47/90mmなどのディスク膜を保持する | ラボ試験、QC、分析前ろ過、無菌試験 |
| インラインホルダー | 流路に直結する小型ホルダー | 少量の無菌ろ過、ベント、サンプリング |
| シングルラウンドハウジング | カートリッジ1本を収めるサニタリーハウジング | 中小流量の無菌ろ過、バッファーろ過 |
| マルチラウンドハウジング | 複数本のカートリッジを並列に収める | 大流量ろ過、製造スケール |
| T型ハウジング | 横引き出しで省スペースのインライン形状 | 配管組込み、スペース制約のあるライン |
| サニタリー(衛生)ハウジング | 316L・電解研磨・ヘルール接続 | バイオ医薬の本工程、無菌ろ過 |
| ベントフィルターハウジング | タンク・リアクターのベント用 | 無菌エア・ガスのろ過 |
| 使い捨てカプセル(参考) | ホルダー一体型の使い捨て形式 | シングルユース工程、切替の速い運用 |
| ラボスケールホルダー | オートクレーブ可能な小型ホルダー | 条件検討、少量ろ過 |
| 確認項目 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 接液材質 | 316L/316ステンレス、樹脂部の材質 | 耐食性と抽出物に影響する |
| 表面仕上げ | 電解研磨、機械研磨、Ra値 | 洗浄性・付着低減・残留防止に影響する |
| O-ring・ガスケット | シリコン、EPDM、PTFE、フッ素系など | シール性・耐薬品性・抽出物に関係する |
| 接続規格 | サニタリー(ヘルール)、ねじ込み、フランジ | 既存配管・流路への適合 |
| 耐圧 | 最高使用圧力、差圧許容 | ろ過条件と安全に関係する |
| 耐温度 | SIP・オートクレーブ温度への耐性 | 滅菌方法の選択に影響する |
| ベント・ドレン | ベント弁、ドレン弁の有無 | エア抜き・水抜き・完全性試験に必要 |
| 証明書 | 材質証明、Ra証明、圧力試験記録 | GMP対応・トレーサビリティ |
フィルターホルダーは、フィルターを流路に組み込む必要があるろ過工程の多くで使われます。
調製したバッファーや培地を無菌ろ過する。
デプス後の仕上げろ過で粒子・濁質を除去する。
工程液の微生物負荷を下げる。
充填前や中間体プールの無菌ろ過を行う。
ベントフィルターを保持し無菌エアを供給する。
充填機直前で製品液を無菌ろ過する。
プロセスガスや圧縮空気を無菌ろ過する。
試験ろ過や無菌試験でディスクホルダーを使う。
発酵液周辺のバッファー・ガスろ過に使う。
製剤バッファーや製品液のろ過に使う。
フィルターホルダーは、ろ過工程をもつ幅広いモダリティーで使われ、無菌ろ過やバッファーろ過の基盤となります。