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カプセルフィルター(使い捨てフィルター)

カプセルフィルターは、ろ材とハウジングを一体化したシングルユースのろ過デバイスです。ろ材をプラスチック筐体に封入し、入口・出口・ベント・ドレンを備えた使い捨て形式にすることで、別途ハウジングを用意したりSIP(蒸気滅菌)したりせずに使えます。プレフィルター、バイオバーデン低減、除菌ろ過、清澄化など、バッファーや培地、中間体プール液のろ過工程で広く使われ、ガンマ線で前滅菌された製品はそのまま無菌接続して使えます。

二次清澄化除菌ろ過バイオバーデン低減シングルユース

用途・特徴

カプセルフィルターは、バッファー、培地、中間体プール液、ハーベスト清澄化後の工程液などをろ過する目的で使われます。主な用途は、後段フィルターやカラムの負荷を下げるプレフィルター、工程液の微生物数を下げるバイオバーデン低減、無菌化のための除菌ろ過(0.2µm/0.1µm)、清澄化後の仕上げろ過などです。ハウジングが不要でセットアップが簡便なため、ラボから製造スケールまで同じ形式で展開しやすい点が特徴です。

ろ材にはPES(ポリエーテルスルホン)、PVDF、PTFE、ナイロン、ポリプロピレンなどが用いられ、用途に応じて孔径や膜構成が選ばれます。除菌グレードでは、0.45µmなどのプレフィルター層と0.2µmの最終層を組み合わせた二層構成が一般的で、低タンパク吸着のPES膜は回収率を重視する工程で使われます。除菌グレードのカプセルは、使用前後にバブルポイント試験や拡散流試験などの完全性試験で健全性を確認します。

Point
  • ろ材とハウジングを一体化したシングルユースのろ過デバイス
  • ハウジング不要・SIP不要でセットアップが簡便
  • ガンマ線で前滅菌された製品はそのまま無菌接続して使える
  • プレフィルター、バイオバーデン低減、除菌ろ過、清澄化に使われる
  • PES、PVDF、PTFE、ナイロン、PP などのろ材を用途で使い分ける
  • 除菌グレードは完全性試験(バブルポイント/拡散流)で健全性を確認する
  • ラボ用小型から製造用ジャンボサイズまで同じ形式でスケール展開できる
  • ろ過面積、処理量、圧力上昇、回収率、ホールドアップ容量が選定の鍵

使用方法

基本的には、前滅菌済みのカプセルを流路へ接続し、フラッシュ・完全性試験を経てから工程液をろ過します。

1ろ過対象とグレード(プレ/除菌など)を確認する
2孔径、ろ材、面積、サイズ、接続形式を選定する
3バッグ、チューブ、ポンプ、圧力センサーと接続する
4ベントを開きエア抜き(ウェッティング)を行う
5規定量で水またはバッファーをフラッシュする
6必要に応じて使用前の完全性試験を実施する
7規定流量または規定圧力で工程液をろ過する
8入口圧、出口圧、差圧、流量、処理量を確認する
9必要に応じて使用後の完全性試験を実施する
10ろ液を次工程へ送り、カプセルは廃棄する
実際の運用は、ろ過対象液の性状、目的物の濃度、処理量、グレードと孔径、スケール、完全性試験の要否、GMP要件によって変わります。

カプセルフィルター と カートリッジ+ハウジングの違いは?

同じろ材でも、使い捨てのカプセル型と、再利用ハウジングへカートリッジを装填する形式とでは、運用とコスト構造が異なります。

結論

大流量・大容量で同一製品を反復生産する固定設備ではカートリッジ+ハウジングが有利になりやすい一方、立ち上げや治験段階、多品種少量、シングルユース化を進める工程では、洗浄・滅菌バリデーションを省けるカプセルフィルターが選ばれやすくなります。

構造

ステンレス等のハウジングにろ材カートリッジを装填する

ろ材とハウジングを一体化した使い捨て筐体

滅菌

SIP(蒸気滅菌)やオートクレーブで滅菌する

ガンマ線で前滅菌された製品をそのまま使う

セットアップ

ハウジング組付け・洗浄・滅菌の手間がかかる

接続してフラッシュすればよく簡便

洗浄・バリデーション

CIP/SIPと洗浄バリデーションが必要

使い捨てのため洗浄・クロスコンタミ管理が不要

スケール

大流量・大容量で有利になりやすい

ラボ〜製造まで同形式で展開、ジャンボで大容量対応

コスト構造

初期投資は大きいが消耗品費は抑えやすい

初期投資は小さいがロットごとに消耗品費が発生

完全性試験

ハウジング込みで実施、据置設備で運用

カプセル単体で実施、流路に組み込みやすい

向く場面

大容量・多バッチ・固定設備の製造

シングルユース工程、多品種、立ち上げ・治験段階

ろ材(メンブレン素材)の種類と向く用途

ろ材特徴向く用途
PES(ポリエーテルスルホン)高流量・低タンパク吸着・広いpH適合性除菌ろ過、バイオバーデン低減、タンパク質溶液
PVDF低吸着・親水化処理で水系に使える回収率重視のタンパク質・低濃度溶液
PTFE(疎水性)疎水性で気体・溶剤に強いベントフィルター、エア・ガスろ過、溶剤系
ナイロン耐溶剤性・自然親水性溶剤を含む液、試薬・バッファーろ過
ポリプロピレン(PP)デプス/プリーツ型で保持容量が大きいプレフィルター、粒子・濁質負荷の高い液
ガラス繊維高い保持容量と粗ろ過性能プレフィルター、前段の濁質除去

グレード・孔径と工程上の役割

グレード代表孔径工程上の役割
プレフィルター1〜0.45µm 等粒子・濁質を先に捕捉し後段の負荷と詰まりを抑える
バイオバーデン低減0.45µm/0.2µm工程液の微生物数を下げ後工程を保護する
除菌グレード0.2µm細菌保持を保証し無菌化する(完全性試験対象)
マイコプラズマ除去0.1µmマイコプラズマ低減が必要な培地・血清等に使う
ベント/ガス0.2µm 疎水性タンクやバッグの通気を無菌に保つ
二層構成0.45/0.2µm 等プレ層と最終層を一体化し処理量と通液性を両立

完全性試験で確認する項目

確認項目内容目的
バブルポイント膜が破過する圧力孔径・膜の健全性を確認する
拡散流(フォワードフロー)規定圧での透過ガス流量膜の欠陥や接続不良を検知する
プレウェッティング試験前の濡らし条件正しい試験値を得るための前処理
使用前試験ろ過開始前の完全性ろ過開始時の健全性を保証する
使用後試験ろ過終了後の完全性ろ過中に欠陥が生じていないか確認する
試験規格値膜・孔径ごとの判定基準メーカー仕様に対する合否判定に使う
記録試験値・条件の記録GMP上のトレーサビリティを確保する

選定項目

ろ過対象バッファー、培地、血清、中間体プール、ハーベスト後液など
工程上の役割プレフィルター、バイオバーデン低減、除菌、マイコプラズマ除去のいずれか
孔径・グレード0.2µm、0.1µm、0.45µm、プレフィルターなどを選ぶ
ろ材(素材)PES、PVDF、PTFE、ナイロン、PP を液性と回収率で選ぶ
ろ過面積・サイズバッチ量を処理できる面積・カプセルサイズを確保する
処理量L/m² などで処理能力を評価する
フラックス処理時間と圧力上昇のバランスを見る
タンパク吸着・回収率目的物の吸着ロスが少ないか確認する
ホールドアップ容量デッドボリュームによる製品ロスを抑えられるか
完全性試験対応規格値・試験方法(バブルポイント/拡散流)に対応するか
前滅菌・接続形式ガンマ前滅菌か、無菌コネクター・サニタリー接続か
耐圧・耐熱オートクレーブ可否、使用圧力・温度に適合するか
スケール展開ラボ評価品から製造用・ジャンボへ展開できるか
GMP対応・供給性CoA、E&L、材質証明、リードタイム、セカンドソース

使用される工程

カプセルフィルターは、バッファー・培地・中間体などをろ過する多くの工程で使われます。

培地・バッファー調製

調製した培地やバッファーをバイオバーデン低減・除菌ろ過する。

主な用途
  • バイオバーデン低減
  • 除菌ろ過

培地・血清の最終ろ過

培養に供する培地・血清を除菌またはマイコプラズマ除去ろ過する。

主な用途
  • 除菌ろ過
  • 0.1µm

ハーベスト清澄化(仕上げ)

デプスフィルター後の残濁質を除去し下流へ渡す。

主な用途
  • 二次清澄化
  • プレフィルター

Protein A/カラム前ろ過

ロード液の微粒子を除去しカラムの詰まりを防ぐ。

主な用途
  • 前処理
  • 微粒子除去

クロマト溶出後の中間体ろ過

プール液のバイオバーデンを下げ次工程を保護する。

主な用途
  • バイオバーデン低減

ウイルスろ過前ろ過

ウイルスフィルターの詰まりを防ぐプレフィルターとして使う。

主な用途
  • 前処理
  • 詰まり防止

UF/DF前後のろ過

TFF前の粒子除去や濃縮後液のろ過に使う。

主な用途
  • 粒子除去

原薬・最終バルクろ過

充填前の原薬・バルクを除菌ろ過する。

主な用途
  • 除菌ろ過
  • 充填前

タンク・バッグの通気

疎水性ベントフィルターで通気を無菌に保つ。

主な用途
  • ベント
  • ガスろ過

原料・添加剤のろ過

サプリメント、フィード、添加剤の溶液を清澄化・除菌する。

主な用途
  • 清澄化
  • 除菌ろ過

使用されるモダリティー

カプセルフィルターは、バッファー・培地・中間体のろ過が必要な幅広いモダリティーで使われます。

抗体医薬
関連度
培地・バッファー除菌中間体ろ過
上流から下流まで、培地・バッファー・プール液の除菌ろ過で広く使われる。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
培地・バッファー原薬除菌ろ過
回収率重視で低吸着PES/PVDF膜が選ばれることが多い。
ワクチン
関連度中〜高
培地ろ過中間体除菌
細胞培養・ウイルス液の周辺工程や培地・バッファーろ過で使われる。
細胞治療
関連度中〜高
培地・血清除菌添加剤ろ過
培地・サイトカイン・添加剤の除菌ろ過で使われる。細胞本体は通さない。
遺伝子治療
関連度中〜高
培地・バッファーベクター前ろ過
AAV/レンチ製造の培地・バッファーろ過や清澄化後の仕上げで使われる。
mRNA-LNP
関連度
バッファー除菌原料ろ過
反応バッファーや原料溶液の除菌ろ過で関係する。
微生物発酵
関連度
培地・バッファー中間体ろ過
培地・バッファーの除菌や工程液の清澄化で使われる。

メーカー製品

プロセス用カプセルフィルター6

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