掲載メーカー9社Asahi Kasei Medical・Merck / MilliporeSigma・Sartorius ほか
掲載製品27製品4つの種類に分けて掲載
使う工程8工程下流ウイルスろ過・Protein A後・ポリッシュ後・プレフィルトレーション
関連モダリティ6種抗体医薬・Fc融合・組換えタンパク質・二重特異性抗体
要点
- 膜孔径によるサイズ排除でウイルスを物理的に除去するフィルター
- 小孔径(パルボ対応・約20nm)と大孔径(レトロ対応・約35nm)に大別される
- 性能はLRV(対数除去率)で評価し、ウイルススパイク試験で検証する
- 不活化(低pH・S/D)と組み合わせる多重のウイルスクリアランス戦略の一翼
メーカーと製品
9社・27製品メーカー製品特徴問い合わせ
ウイルス除去フィルター(本体)11製品
Asahi Kasei MedicalPlanova 15N / 20N / 35N再生セルロース中空糸膜のウイルス除去フィルター。サイズ排除でウイルスを保持し、孔径違いで対象ウイルスを選定する。血漿分画・組換え製品で長い実績。公式サイト Asahi Kasei MedicalPlanova BioEX親水化PVDF中空糸膜の小孔径ウイルス除去フィルター。高い処理性とパルボウイルス除去を両立し、抗体・組換えタンパク質の最終ウイルスろ過に使われる。公式サイト Asahi Kasei MedicalPlanova S20N小孔径グレードのウイルス除去フィルター。小型ノンエンベロープウイルスの堅牢な除去を狙う製品。公式サイト Merck / MilliporeSigmaViresolve Proパルボウイルス保持の平膜フィルター。Pro ShieldプレフィルターやPodデバイスと組み合わせ、高LRV・高フラックスのウイルスろ過ソリューションを構成する。公式サイト Merck / MilliporeSigmaViresolve NFPPVDF膜のノーマルフロー・パルボウイルス除去フィルター。組換え・血漿由来製品から小型ウイルスを除去する。公式サイト Merck / MilliporeSigmaViresolve Barrierバイオリアクター上流で培地などのウイルスリスクを低減する除去フィルター。原料・培地のウイルス安全性確保に使われる。公式サイト SartoriusVirosart HFPESベースの小孔径ウイルス除去フィルター。モノクローナル抗体・抗体フラグメント・小型組換えタンパク質向けに、小型ウイルスのLRVと処理性を両立。公式サイト SartoriusVirosart CPV抗体・小型組換えタンパク質の精製後半で使われるパルボ対応ウイルス除去フィルター。公式サイト 残りの19製品を見る
SartoriusVirosart HC血漿・血液製剤など複雑な製品向けに最適化された高容量ウイルス除去フィルター。公式サイト Cytiva / PallPegasus SV4パルボおよび大型ウイルスを堅牢に除去する小孔径ウイルス除去フィルター。希薄〜濃厚な液で安定した流速を狙うダイレクトフロー型。公式サイト Cytiva / PallPegasus Prime高流量・高容量を狙った小型ウイルス除去フィルター。低ファウリングのmAb向けにプロセスを簡素化する設計。公式サイト プレフィルター・ラボ評価デバイス6製品
SartoriusVirosart Maxサイズ排除と吸着を併用したウイルス用プレフィルター。凝集体や疎水性分子を捕捉し本体の処理性を高める。公式サイト Merck / MilliporeSigmaViresolve Prefilter / Pro ShieldViresolve本体の前段でファウリング種を除去し、LRV・処理量・フラックスを確保するプレフィルター。公式サイト Cytiva / PallPegasus ProtectPegasus Prime本体の前段に置くウイルス用プレフィルター。ファウリング種を低減し本体の容量を保つ。公式サイト Merck / MilliporeSigmaOptiScale-40 Viresolve Prefilter小型スケールダウンデバイス。Vmax/処理量評価やプレフィルター選定など条件検討に使われる。公式サイト Cytiva / PallPegasus SV4 Minidisc / Microdisc Capsules小型カプセル形式の評価デバイス。ウイルスろ過条件のスクリーニングやスケールアップ検討に使われる。公式サイト SartoriusVirosart Lab-Scale DevicesVirosart各グレードのラボスケール評価デバイス。ロード条件・処理性の検討に使われる。公式サイト その他4製品
Asahi Kasei Bioprocess / 旭化成メディカルPlanova 15N / 20N / 35N再生セルロース中空糸膜のウイルス除去フィルター。バイオ医薬品のウイルス安全性工程で使われる。公式サイト Asahi Kasei Bioprocess / 旭化成メディカルPlanova BioEX高濃度・詰まりやすいタンパク質液にも対応するウイルス除去フィルター。公式サイト Asahi Kasei Bioprocess / 旭化成メディカルPlanova FG1高流束を特徴とする次世代ウイルス除去フィルター。公式サイト Thermo Fisher ScientificZeta Plus VR Series電荷を持つデプスフィルター。物理的な捕捉とアニオン交換で一部のウイルスを低減し、クロマトカラムの保護やサイズ排除型ウイルス除去膜の前段に使われる。3MからSolventumを経てThermo Fisherに移った製品。公式サイト ウイルスクリアランス検証・規制サポート6製品
SartoriusViral Clearance / Validation Supportウイルスクリアランス戦略、スパイク試験、フィルターバリデーションの設計・支援に関係する。公式サイト Merck / MilliporeSigmaViral Clearance Servicesウイルスろ過の開発・バリデーション・実装やE&L、規制文書を含む支援に関係する。公式サイト Cytiva / PallVirus Filtration Application SupportPegasus系を用いたウイルスろ過の選定・スケールアップ・バリデーション支援に関係する。公式サイト Charles RiverViral Clearance StudiesGMP対応のウイルスクリアランススタディ(スパイク試験・LRV取得)を受託するCROサービス。公式サイト TexcellViral Clearance Validationウイルス除去・不活化のバリデーション、スパイク試験、ウイルス安全性評価を受託するCRO。公式サイト WuXi BiologicsViral Clearance / Downstream Development下流精製開発、ウイルスろ過工程の設計、ウイルスクリアランス検証、GMP製造に関係するCDMO。公式サイト 詳しく見る
用途・特徴
バイオ医薬品では、原料や細胞由来のウイルス混入リスクに備え、不活化と除去を組み合わせた多重のウイルスクリアランス戦略がとられます。ナノフィルトレーションはその中で、低pHや溶媒・界面活性剤処理では効きにくいノンエンベロープウイルスにも有効な、堅牢な除去ステップとして位置づけられます。
ウイルス除去フィルターは、抗体やタンパク質は通過させ、ウイルスは膜内に保持するサイズ排除を原理とします。一般にパルボウイルスなどの小型ウイルス(約18〜26nm)まで除去する小孔径グレード(20nm前後)と、レトロウイルスなどの大型ウイルス(約80〜100nm)を対象とする大孔径グレード(35nm前後)に分かれ、対象ウイルスとプロセス適合性に応じて使い分けます。性能はLRV(log10での対数除去率)で評価し、小型ウイルスでLRV4以上、大型ウイルスでLRV6以上を目安とすることが多くあります。
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実運用では、ウイルス自体の保持に加え、製品凝集体や不純物による目詰まり(ファウリング)への対処が要点になります。多くの場合、ロード液をあらかじめ前処理フィルター(プレフィルター)で整えてから本体に通し、流量低下を抑えます。GMP工程では除去性能をウイルススパイク試験で検証し、ろ過後にはバブルポイント試験や金コロイド・拡散流などの完全性試験を行って、膜が健全であったことを確認します。これらはICH Q5A(R2)に沿ったウイルスバリデーションの一部として文書化されます。
基本的には、精製の後半でロード液の条件を整えてからウイルス除去フィルターに通し、ろ過後に完全性を確認します。
1対象ウイルスと必要LRVを確認する
5フィルターを湿潤・フラッシュし使用前完全性試験を行う 10結果を記録しウイルスバリデーション文書に反映する 実際の運用は、対象ウイルス、製品の凝集傾向、ロード液条件、必要LRV、スケール、GMP要件、各社フィルターの推奨運転条件によって変わります。完全性試験の判定値はフィルターごとの規格に従います。
パルボウイルス対応(小孔径)と レトロウイルス対応(大孔径)の違いは?
ウイルス除去フィルターは孔径によって対象ウイルスと処理性が変わります。どこまで小さいウイルスを除去するかで選定します。
結論CHOなどの哺乳類細胞由来製品では内在性レトロ様粒子が主な懸念となるため35nm系で足りる場面もありますが、ノンエンベロープのパルボウイルスまで除去保証したい抗体・組換えタンパク質では20nm系の小孔径フィルターが選ばれます。小孔径ほど安全余裕は大きい一方で流量・処理量は下がるため、必要LRVとプロセス処理性のバランスで決めます。
レトロウイルス対応(大孔径・35nm系)パルボウイルス対応(小孔径・20nm系)
除去対象ウイルスと孔径の関係
ウイルスはサイズで除去可否が決まります。代表的なモデルウイルスと孔径の目安を整理します。
| ウイルス(例) | サイズの目安 | エンベロープ | 孔径グレードの目安 |
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| MVM・パルボウイルス | 約18〜26nm | なし | 20nm系(小孔径) |
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| PPV(ブタパルボ) | 約18〜26nm | なし | 20nm系(小孔径) |
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| EMCV(脳心筋炎) | 約25〜30nm | なし | 20nm系(小孔径) |
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| Reovirus(レオ) | 約60〜80nm | なし | 20nm系・35nm系 |
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| X-MuLV・レトロ様粒子 | 約80〜110nm | あり | 35nm系(大孔径)でも除去可 |
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| PRV(仮性狂犬病) | 約120〜200nm | あり | 35nm系(大孔径)でも除去可 |
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| HSV・大型エンベロープ | 約120〜200nm | あり | 35nm系(大孔径)でも除去可 |
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ウイルス除去フィルターの運用では、処理性の確保と膜の健全性確認が両輪になります。
| 観点 | 起こりうること | 対処・確認の方向性 |
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| 流量低下(ファウリング) | 製品凝集体・不純物で差圧上昇・フラックス低下 | プレフィルターで前処理し凝集体を低減する |
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| 処理量の頭打ち | 規定差圧到達で必要量を処理できない | 膜面積・グレード・ロード条件を見直す |
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| 製品ロス | 膜やプレフィルターへの吸着で回収率低下 | ポストフラッシュ条件と回収率を確認する |
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| 使用前完全性 | 湿潤不良・装着不良 | 湿潤後に完全性試験で初期健全性を確認する |
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| 使用後完全性 | ろ過中の膜損傷の検出 | バブルポイント・拡散流・金コロイド等で確認する |
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| 完全性と除去の対応 | 完全性試験と実際の除去性能の相関 | 各社規格に基づく試験法・判定値で運用する |
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| スケール相関 | 小型デバイスと製造機の差 | Vmax/処理量試験でスケールアップを設計する |
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| バリデーション | ウイルス除去能の根拠不足 | スパイク試験でLRVを取得しICH Q5Aで文書化 |
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選定項目と確認内容
ウイルス除去フィルターは、対象ウイルス・処理性・規制対応・供給性の観点で選定します。
対象ウイルスパルボなど小型まで必要か、大型ウイルス中心か
孔径グレード20nm系(小孔径)か35nm系(大孔径)か
必要LRV小型でLRV4以上、大型でLRV6以上などの目標値
膜構造・材質中空糸/平膜、再生セルロース/PES/PVDFなど
製品適合性吸着による回収率低下や変性が起きないか
処理量・フラックスL/m²やフラックスでバッチ量を処理できるか
前処理フィルター凝集体低減用プレフィルターの要否と適合性
完全性試験バブルポイント・拡散流・金コロイド等の試験法と判定値
運転モード定圧(差圧管理)か定流量か、許容差圧範囲
スケール展開小型評価デバイスから製造スケールへの相関データ
シングルユース対応カプセル型・滅菌済み・無菌コネクター接続の可否
GMP・規制対応CoA、E&L、バリデーション支援、ICH Q5A整合の文書
供給性標準品、リードタイム、セカンドソースの確保
ウイルス除去フィルターは、下流精製の後半で最終的なウイルス安全性を確保する工程を中心に使われます。
ウイルス除去フィルターは、哺乳類細胞や生物由来材料を用いる多くのモダリティーで使われます。なお、AAVやレンチウイルスなどウイルスベクター製品ではウイルス自体が製品であり、ナノろ過による除去は適用しにくく対象外〜関連度は低くなります。
CHO/HEK293微生物由来
抗体と同様に最終ウイルスろ過で広く使われる。
抗体中間体
抗体部分の精製でウイルスろ過を行う(複合化前の段階)。
サブユニット組換え抗原
組換え抗原や原料のウイルス安全性確保で関係する。
IgG凝固因子S/D後
ナノフィルトレーションの古典的かつ重要な適用領域。
掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)