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プレフィルター

プレフィルターは、除菌フィルターやウイルス除去フィルターといった本フィルターの前段に置き、粗い粒子・コロイド・タンパク質凝集体などのファウリング種をあらかじめ取り除く前処理フィルターです。本フィルターの目詰まりを抑え、流量低下を緩和して処理量と膜寿命を確保することを目的とします。多くは公称ろ過(保持)でグレードが定義され、本フィルターより粗い側を担います。

前処理ファウリング対策流量確保下流精製

用途・特徴

プレフィルターは、本フィルター(0.2µm除菌フィルターや20〜35nm系のウイルス除去フィルターなど)の手前に置き、本フィルターが捕捉すると目詰まりしやすい大きめの粒子・コロイド・脂質・タンパク質凝集体を先に保持します。多くはデプス構造(不織布フリースやガラス繊維、セルロース+珪藻土など)の公称ろ過径フィルターで、絶対ろ過径で定義される本フィルターより粗い側を受け持ち、保持機構もサイズ排除に加えて吸着・捕捉を併用する点が特徴です。

選定では、まず本フィルターを守るのに必要なグレード(公称ろ過径や複数層の組み合わせ)を決め、次にVmax試験(一定圧での累積処理量からプラグ点を外挿)やPmax試験(一定流量での差圧上昇)でスループットを評価して膜面積を設計します。プレフィルターと本フィルターは別々に最適化するより、ロード液・グレード・面積比を含めた「ろ過トレイン」として一体で評価し、トータルコストと処理時間が最小になる組み合わせを探すのが実務的です。

Point
  • 本フィルター(除菌・ウイルス除去)の目詰まりを防ぐ前段の前処理フィルター
  • 粗い粒子・コロイド・脂質・タンパク質凝集体などのファウリング種を先に保持する
  • 多くは公称ろ過径グレードで、本フィルターより粗い側を担う
  • サイズ排除に加えて吸着・捕捉を併用するデプス構造が多い
  • 本フィルターの流量低下を抑え、処理量と膜寿命を改善する
  • グレード選定とVmax/Pmaxによるスループット評価が要点
  • 本フィルターと面積比を含めた「ろ過トレイン」として一体で最適化する
  • ガラス繊維(吸着性)・ポリプロピレン(低溶出)など材質で使い分ける

使用方法

基本的には、本フィルターの保護に必要なグレードを決め、小型デバイスでスループットを評価してから本機の面積を設計します。

1保護したい本フィルターと許容差圧を確認する
2ロード液の濁度・凝集体・脂質・導電率を把握する
3候補グレード(公称ろ過径・層構成)を選ぶ
4小型デバイスでVmax/Pmaxを評価する
5プレフィルターと本フィルターの面積比を設計する
6フィルターを湿潤・フラッシュして気泡を抜く
7規定の差圧または流量でろ過する
8差圧・フラックス・処理量を監視する
9バッファーでポストフラッシュし回収率を確認する
10結果を記録しスケールアップ条件に反映する
実際の運用は、ロード液の性状(濁度・凝集体・脂質)、保護する本フィルターの種類、必要処理量、スケール、各社デバイスの推奨運転条件によって変わります。グレードや面積比は小型評価デバイスでの実測に基づいて決めるのが基本です。

プレフィルター と 本フィルターの違いは?

プレフィルターと本フィルターは目的が異なります。前者は本フィルターを守る前処理、後者は除菌やウイルス除去という品質保証そのものを担います。

結論

両者は対立ではなく役割分担です。本フィルターは除菌・ウイルス除去という品質保証を担い、プレフィルターはそのために先に汚れを引き受けて本フィルターを長持ちさせます。粗いプレフィルターほど本フィルターの保護は緩くなり、細かいほど本フィルター側の負荷は下がるが自身が早く詰まるため、両者の面積比を含めて「ろ過トレイン」として最適化します。

主な目的

除菌・ウイルス除去など品質保証そのもの

本フィルターの目詰まり防止と流量・寿命の確保

ろ過径の定義

絶対ろ過径(0.2µm・20〜35nm系など)

公称ろ過径(保持)でやや粗い側

保持の機構

サイズ排除が中心で除去性能を保証

サイズ排除+吸着・捕捉でファウリング種を低減

工程内の位置

ろ過トレインの後段(本体)

本フィルターの前段

完全性試験

バブルポイント等で健全性を保証する対象

公称グレードのため対象外のことが多い

代表的な構造

PVDF/PES等の膜(メンブレン)

ガラス繊維・PP不織布などのデプス

選定の主眼

除去性能(無菌性・LRV)の確保

本フィルターを守るスループット設計

交換頻度の考え方

1バッチ使い切りが基本

先に目詰まりさせ本フィルターを延命する

保持機構と代表的なろ材

プレフィルターはろ材の種類で得意な対象が変わります。ロード液の性状に合わせて選びます。

ろ材タイプ主な保持機構得意な対象備考
ガラス繊維(GF)吸着+デプス捕捉コロイド・脂質・凝集体・濁度吸着性が高く本フィルター直前の保護に有効
ポリプロピレン不織布(PP)デプス捕捉(多層)幅広い粒子径の固形分低溶出・広い薬液適合性で汎用的
セルロース+珪藻土系デプスデプス捕捉+吸着細胞デブリ・微粒子・濁度ハーベスト後の高負荷ロードに使われる
メンブレン系プレフィルターサイズ排除(やや粗い膜)微細粒子・小型凝集体本膜直前で微細種を抑える層として併用
積層(プレ+本一体)デバイス段階的なデプス+膜粗い〜微細まで一体で処理1デバイス内でグレードを段階化

スループット評価の考え方(Vmax / Pmax)

プレフィルターの面積はカタログ値ではなく、実ロード液での小型評価に基づいて設計します。

評価項目概要設計への使い方
Vmax試験一定圧でろ過し累積処理量からプラグ点を外挿必要バッチ量に対する膜面積を見積もる
Pmax試験一定流量でろ過し差圧の上昇を追う目標流量で許容差圧に収まる面積を決める
濁度・凝集体の影響ロードの濁度や凝集体が処理量を左右する前段の遠心・デプスで負荷を下げる検討
グレード比較粗い/細かいグレードの処理量と保護度本フィルターの保護とコストの両立点を探す
プレ+本の面積比プレフィルターと本フィルターの面積バランストレイン全体の総コスト最小化で配分する
スケール相関小型デバイスと製造機の処理性の差スケールダウンデバイスで相関データを取得

選定項目と確認内容

プレフィルターは、保護対象・ロード性状・処理性・供給性の観点で選定します。

保護対象の本フィルター0.2µm除菌か、20〜35nm系ウイルス除去か
公称ろ過径グレード本フィルターより粗い適切な保持を選べているか
ろ材・材質ガラス繊維/PP/セルロース系など対象に合うか
保持機構サイズ排除中心か、吸着を活かすロードか
ロード液性状濁度・凝集体・脂質・導電率・pH
スループットVmax/Pmaxで必要バッチ量を処理できるか
面積比設計本フィルターとの面積バランスは最適か
製品適合性吸着による回収率低下や変性が起きないか
溶出・E&L抽出物・溶出物プロファイルとフラッシュ条件
シングルユース対応カプセル型・滅菌済み・無菌コネクター接続の可否
スケール展開小型評価デバイスから製造スケールへの相関
GMP・規制対応CoA、USP Class VI、cGMP製造、バリデーション支援
供給性標準品、リードタイム、セカンドソースの確保

使用される工程

プレフィルターは、本フィルターの手前で汚れを引き受ける前処理として、上流から下流まで広い工程で使われます。

ウイルス除去フィルターの前段

凝集体やファウリング種を低減し、本膜の処理量とフラックスを確保する。

主な用途
  • 凝集体低減
  • 処理量確保

除菌フィルターの前段

0.2µm除菌フィルターの目詰まりを抑え、無菌ろ過を安定させる。

主な用途
  • 無菌ろ過保護
  • 差圧低減

ハーベスト後のクラリフィケーション

遠心・デプス後の微粒子や濁度を整え、後段のろ過を保護する。

主な用途
  • 濁度低減
  • デブリ除去

TFF(UF/DF)の前段

限外ろ過膜のファウリングを抑え、フラックスと膜寿命を保つ。

主な用途
  • 膜保護
  • フラックス維持

クロマト前の保護ろ過

ロード液の微粒子・凝集体を除き、樹脂やカラムを保護する。

主な用途
  • カラム保護
  • 目詰まり防止

培地・バッファー調製

調製液の粗い粒子を除き、下流の除菌ろ過を安定させる。

主な用途
  • 濁り除去
  • 前処理

スループット評価

Vmax/Pmaxでグレードと面積を決め、ろ過トレインを設計する。

主な用途
  • Vmax/Pmax
  • 面積設計

工程モニタリング

差圧・フラックス・処理量を監視し運転状態を管理する。

主な用途
  • 差圧監視
  • 処理量管理

使用されるモダリティー

プレフィルターは特定のモダリティーに固有の技術ではなく、本フィルターを使うほぼすべての液処理で前段として使われます。ロード液の濁度や凝集傾向が高いほど重要度が上がります。

抗体医薬
関連度
ウイルス除去前除菌ろ過前ハーベスト後
凝集体や濁度が出やすく、本フィルター保護のため広く併用される。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
下流精製UF/DF前
抗体と同様に各ろ過工程の前段で本膜を保護する。
ワクチン
関連度中〜高
クラリフィケーション除菌ろ過前
サブユニット・組換え抗原の清澄化と前処理で使われる。
血漿分画製剤
関連度中〜高
ナノろ過前脂質・凝集体除去
ナノフィルトレーションの前段で脂質や凝集体を低減する。
二重特異性抗体
関連度中〜高
下流精製本フィルター前
抗体医薬と同様にろ過トレインの前処理として併用される。
mRNA-LNP
関連度
除菌ろ過前バッファー前処理
粒子や粗い不純物を整え、除菌ろ過の安定化に用いられる。

メーカー製品

プレフィルター(粒子・濁度・凝集体)7
SartoriusSartopure PP3多層ポリプロピレン不織布の粒子低減プレフィルター。0.45〜100µmの幅広い保持と高い保持容量で、下流の膜フィルターを保護する。公式URL SartoriusSartopure GF Plusガラスフリースの吸着性デプスプレフィルター。コロイド・脂質・タンパク質凝集体・濁度を捕捉し、ろ過径の細かい本膜の前段保護に使われる。公式URL Merck / MilliporeSigmaPolygard-CN / Polygard-CTプリーツ構造の公称ろ過径プレフィルター。プロセス液の清澄化・前処理に用い、最終フィルターの寿命を延ばす。公式URL Merck / MilliporeSigmaPolysep IIボロシリケートガラスとセルロースエステル層を組み合わせたプレフィルター。脂質・コロイドを除き、下流の除菌フィルターを保護する。公式URL PallProfile II / Profile Star段階的な孔径構造をもつ全PPプリーツデプスフィルター。高い保持容量で粒子を除去し、本フィルター手前の前処理・保護に使われる。公式URL 3M / SolventumLifeASSURE PNA / Betapure非対称PES膜のバイオバーデン低減フィルターや、デプス構造のBetapureシリーズ。除菌フィルター手前の前処理・保護に用いられる。公式URL CytivaULTA Prime GFガラス微細繊維のプレフィルター。水溶液・培地・バイオロジクスの清澄化・安定化・バイオバーデン低減に使い、PPより高い保持容量を狙う。公式URL

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