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導電率計(電気伝導率計)

導電率計(電気伝導率計)は、溶液中のイオン濃度に対応する電気の通しやすさを mS/cm や µS/cm で測る計測器です。バイオプロセスでは、限外ろ過/透析ろ過(UF/DF)でのバッファ交換の進行確認、イオン交換クロマトの平衡化・溶出の確認、原水・精製水(PW)や注射用水(WFI)の水質管理などに使われます。設置形態は、サンプルを採取して測るラボ用(卓上型・ポータブル型)と、配管やクロマトシステムに組み込んで連続測定するインライン導電率センサーに大きく分かれます。

導電率測定バッファ交換確認インライン導電率精製水管理

用途・特徴

導電率は溶液中のイオンが多いほど高くなるため、塩濃度やバッファ組成の変化を間接的に追える指標として使われます。バイオプロセスの下流工程では、UF/DFでサンプルを目的バッファへ置き換える際の終点確認や、イオン交換クロマトでの平衡化・グラジエント溶出の進行確認に向いています。pHと組み合わせて工程液の状態を把握する場面も多くあります。

測定値はセル定数(電極の幾何形状で決まる係数、例:0.1 / 1.0 / 10 cm⁻¹)と温度に依存します。導電率は温度が上がると上昇するため、基準温度(一般に25℃)へ換算する温度補償が前提になります。補償方式(線形補償か非線形/純水補償か)と基準温度の設定、さらに標準液(例:1413 µS/cm、12.88 mS/cm)でのセル定数校正が、測定値の比較可能性を左右します。

ラボ用は採取したサンプルを単発で測る用途に向き、インラインセンサーは配管内の溶液を連続測定して工程の進行をリアルタイムに追う用途に向きます。クロマトグラフィーシステムには導電率モニターが内蔵されていることが多く、UVやpHと並べてクロマトグラムとして記録されます。

Point
  • 溶液のイオン濃度に対応する電気伝導率を mS/cm・µS/cm で測る計測器
  • UF/DFでのバッファ交換の進行・終点確認に使われる
  • イオン交換クロマトの平衡化・溶出(グラジエント)の確認に使われる
  • 原水・精製水(PW)・注射用水(WFI)の水質管理に使われる
  • 測定値はセル定数と温度に依存し、温度補償と標準液校正が前提になる
  • ラボ用(卓上・ポータブル)とインライン(配管・クロマト内蔵)で設置形態が分かれる
  • 2電極式は低~中導電率、4電極式は広い範囲や付着の影響を受けにくい用途に向く
  • GMP用途では校正記録・温度補償条件・データ記録の管理が重要になる

使用方法

ラボ用での単発測定を例にした基本フローです。インラインセンサーの場合は、配管へ取り付けてトランスミッタや制御システムで連続的にモニターします。

1測定対象と必要な範囲を確認する
2セル定数に合った電極を選ぶ
3標準液でセル定数を校正する
4温度補償の方式・基準温度を設定する
5電極を純水で洗浄する
6サンプルを採取し電極を浸す
7温度が安定してから測定値を読む
8工程の判定基準と照合する
9電極を洗浄・保管する
10測定値・校正情報を記録する
実際の測定範囲、セル定数、温度補償方式、校正頻度、洗浄方法は、対象溶液(高塩バッファ、低導電率の純水など)、求める精度、設置形態(ラボ用かインラインか)、GMP要件によって変わります。

ラボ用導電率計 と インライン導電率センサーの違いは?

同じ導電率測定でも、サンプルを採取して単発で測るラボ用と、配管に組み込んで連続測定するインラインでは、向く用途と運用が異なります。

結論

工程の進行をリアルタイムに追いたい場面(バッファ交換やクロマト)ではインラインが向き、調製確認や抜き取り、原料受入のような単発測定ではラボ用が使いやすい場合があります。

測定の形

サンプルを採取して単発・バッチで測る

配管内の溶液を連続的にモニターする

主な用途

バッファ調製の確認、抜き取り測定、原料受入確認

UF/DFの進行確認、クロマトの平衡化・溶出確認

リアルタイム性

採取と測定にタイムラグがある

工程の変化をその場で追える

設置・接続

卓上型・ポータブル型で単独に使える

サニタリー継手で配管に組み込み、制御系へ接続する

洗浄・滅菌

電極の洗浄・保管が中心

CIP/SIPやオートクレーブへの耐性が求められる

電極構成

2電極式・4電極式のプローブを差し替えやすい

4電極式やトロイダル式で広範囲・耐汚れを重視しやすい

データの扱い

測定値を都度記録・転記する

UV・pHと並べてクロマトグラム・トレンドとして記録する

導電率測定で押さえる基本パラメータ

項目内容
単位mS/cm・µS/cm(高塩バッファは mS/cm 帯、純水は µS/cm 帯)
セル定数電極の幾何形状で決まる係数(例:0.1 / 1.0 / 10 cm⁻¹)。測定範囲に合わせて選ぶ
温度依存性温度が上がると導電率は上昇するため、基準温度への換算が前提
温度補償線形補償/非線形(純水)補償。基準温度(一般に25℃)を設定する
校正標準液(例:1413 µS/cm、12.88 mS/cm)でセル定数を校正する
電極方式2電極式は低~中範囲、4電極式は広範囲・付着の影響を受けにくい
測定範囲純水の µS/cm 帯から高塩バッファの mS/cm 帯まで対象が広い

電極方式の使い分け

方式向く範囲・用途留意点
2電極式低~中導電率、純水・希薄バッファ高導電率では分極の影響が出やすい
4電極式広い範囲、高塩バッファ、付着しやすい液構造がやや複雑で価格が上がりやすい
トロイダル(誘導)式高導電率・汚れや析出が多いインライン用途低導電率域の感度は2/4電極式に劣りやすい

選定で確認するポイント

設置形態ラボ用(卓上・ポータブル)かインラインか。配管組み込みの要否
測定範囲対象が純水の µS/cm 帯か、高塩バッファの mS/cm 帯か
セル定数想定範囲に合うセル定数の電極が選べるか
電極方式2電極式・4電極式・トロイダル式のいずれが適するか
温度補償線形・非線形(純水)補償と基準温度を設定できるか
校正運用標準液の入手性、校正頻度、校正記録の残し方
洗浄・滅菌CIP/SIP・オートクレーブ耐性(インラインの場合)
接続・継手サニタリー継手やハウジングへの対応、信号出力の種類
デジタル対応センサー側にデータを保持するデジタル方式への対応有無
データ記録トランスミッタ・制御系・データ管理システムとの連携
GMP要件校正・温度補償条件・データの記録と監査対応のしやすさ
既存システムクロマトシステムやSCADAとの互換性・接続性

使用される工程

導電率計・導電率センサーは、下流工程を中心に、工程液や水の状態確認に幅広く使われます。

バッファ交換(UF/DF)の終点確認

限外ろ過/透析ろ過でサンプルを目的バッファへ置き換える際、溶液のイオン組成が目標バッファに近づいたかを導電率で追い、終点を判断します。

主な用途
  • ダイアフィルトレーションの進行を導電率で追う
  • 目標バッファの導電率に収束したかで終点を判断する
  • インラインなら工程中に連続でモニターできる

イオン交換クロマトの平衡化・溶出確認

陰イオン交換・陽イオン交換クロマトで、カラムが平衡化バッファに置き換わったか、塩グラジエントで目的成分が溶出しているかを導電率で確認します。

主な用途
  • 平衡化が完了したかを導電率で判断する
  • 塩グラジエント溶出の進行を導電率で追う
  • UV・pHと並べてクロマトグラムとして記録する

原水・精製水・WFIの水質管理

原水、精製水(PW)、注射用水(WFI)の導電率を測り、純度の目安として管理します。低導電率域では純水補償付きの測定が前提になります。

主な用途
  • 精製水・WFIの導電率を純度の指標として管理する
  • 低導電率域では純水(非線形)補償を使う
  • インラインで連続監視する運用が多い

バッファ・培地調製の確認

調製したバッファや培地が目的の組成になっているかを、pHと併せて導電率で確認します。ラボ用での抜き取り測定が中心です。

主な用途
  • 調製バッファの導電率を規格と照合する
  • 希釈・混合のばらつきを検知する
  • pHと組み合わせて組成を確認する

ロード前・画分の塩濃度確認

クロマトへのロード前にサンプルの導電率が条件範囲に入っているか、回収した画分の塩濃度がどの程度かを確認します。

主な用途
  • ロード液の導電率が結合条件に合うかを確認する
  • 回収画分の塩濃度の目安を把握する
  • 次工程へ進める前のチェックに使う

CIP・洗浄工程のすすぎ確認

CIPでの洗浄液(酸・アルカリ)の濃度確認や、すすぎ後に洗浄剤が十分に流れたかの確認に導電率を使う場合があります。

主な用途
  • 洗浄液濃度の目安を導電率で確認する
  • すすぎの進行・終点を導電率で追う
  • インラインで自動化された工程に組み込む

使用されるモダリティー

バッファ交換やイオン交換クロマトを伴う下流工程を持つモダリティーで広く使われます。関連度は工程での使用頻度の目安です。

抗体医薬
関連度
UF/DFバッファ交換イオン交換クロマト中間体管理
プロテインAの後段で行うイオン交換クロマトや、原薬化に向けたUF/DFでのバッファ交換で、導電率による平衡化・溶出・終点確認が日常的に使われます。
Fc融合・組換えタンパク質
関連度
イオン交換クロマトUF/DF精製水管理
複数のクロマト工程とバッファ交換を組み合わせる精製プロセスで、各ステップの平衡化や溶出の確認に導電率が使われます。
二重特異性抗体
関連度中〜高
多段クロマトUF/DF条件最適化
夾雑種の分離に複数のクロマトを使うことが多く、塩濃度条件の確認や平衡化の判断に導電率が活用されます。
ADC
関連度中〜高
抗体精製バッファ交換コンジュゲート前後
ADCの抗体側精製やコンジュゲーション前後のバッファ条件管理で、導電率によるバッファ交換・塩濃度確認が使われます。
ワクチン
関連度
イオン交換クロマトろ過工程バッファ管理
ウイルス・タンパク質ワクチンの精製で、イオン交換クロマトの溶出やバッファ交換の確認に導電率が用いられます。
微生物発酵
関連度
回収後精製バッファ調製クロマト
発酵で得たタンパク質の回収・精製工程で、バッファ調製やイオン交換クロマトの確認に導電率を使う場面があります。
mRNA-LNP
関連度
TFFバッファ交換塩濃度確認精製水管理
mRNAやLNPの精製・濃縮でのTFFバッファ交換や、製剤バッファへの置換の進行確認に導電率が使われます。

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