工程管理

導電率計(電気伝導率計)

導電率計(電気伝導率計)は、溶液中のイオン濃度に対応する電気の通しやすさを mS/cm や µS/cm で測る計測器です。バイオプロセスでは、限外ろ過/透析ろ過(UF/DF)でのバッファ交換の進行確認、イオン交換クロマトの平衡化・溶出の確認、原水・精製水(PW)や注射用水(WFI)の水質管理などに使われます。設置形態は、サンプルを採取して測るラボ用(卓上型・ポータブル型)と、配管やクロマトシステムに組み込んで連続測定するインライン導電率センサーに大きく分かれます。

導電率測定バッファ交換確認インライン導電率精製水管理
分類
工程管理
主な用途
導電率測定 / バッファ交換確認 / インライン導電率 / 精製水管理
関連モダリティ
抗体医薬 / Fc融合・組換えタンパク質 / 二重特異性抗体 / ADC / ワクチン / 微生物発酵 / mRNA-LNP
代表メーカー
Mettler-Toledo・Hamilton・Endress+Hauser・Thermo Fisher Scientific ほか計6社
関連キーワード
バッファ交換 / UF/DF / イオン交換クロマト / 下流工程 / 精製水 / PAT

用途・特徴

導電率は溶液中のイオンが多いほど高くなるため、塩濃度やバッファ組成の変化を間接的に追える指標として使われます。バイオプロセスの下流工程では、UF/DFでサンプルを目的バッファへ置き換える際の終点確認や、イオン交換クロマトでの平衡化・グラジエント溶出の進行確認に向いています。pHと組み合わせて工程液の状態を把握する場面も多くあります。

測定値はセル定数(電極の幾何形状で決まる係数、例:0.1 / 1.0 / 10 cm⁻¹)と温度に依存します。導電率は温度が上がると上昇するため、基準温度(一般に25℃)へ換算する温度補償が前提になります。補償方式(線形補償か非線形/純水補償か)と基準温度の設定、さらに標準液(例:1413 µS/cm、12.88 mS/cm)でのセル定数校正が、測定値の比較可能性を左右します。

ラボ用は採取したサンプルを単発で測る用途に向き、インラインセンサーは配管内の溶液を連続測定して工程の進行をリアルタイムに追う用途に向きます。クロマトグラフィーシステムには導電率モニターが内蔵されていることが多く、UVやpHと並べてクロマトグラムとして記録されます。

Point
  • 溶液のイオン濃度に対応する電気伝導率を mS/cm・µS/cm で測る計測器
  • UF/DFでのバッファ交換の進行・終点確認に使われる
  • イオン交換クロマトの平衡化・溶出(グラジエント)の確認に使われる
  • 原水・精製水(PW)・注射用水(WFI)の水質管理に使われる
  • 測定値はセル定数と温度に依存し、温度補償と標準液校正が前提になる
  • ラボ用(卓上・ポータブル)とインライン(配管・クロマト内蔵)で設置形態が分かれる
  • 2電極式は低~中導電率、4電極式は広い範囲や付着の影響を受けにくい用途に向く
  • GMP用途では校正記録・温度補償条件・データ記録の管理が重要になる

使用方法

ラボ用での単発測定を例にした基本フローです。インラインセンサーの場合は、配管へ取り付けてトランスミッタや制御システムで連続的にモニターします。

1測定対象と必要な範囲を確認する
2セル定数に合った電極を選ぶ
3標準液でセル定数を校正する
4温度補償の方式・基準温度を設定する
5電極を純水で洗浄する
6サンプルを採取し電極を浸す
7温度が安定してから測定値を読む
8工程の判定基準と照合する
9電極を洗浄・保管する
10測定値・校正情報を記録する
実際の測定範囲、セル定数、温度補償方式、校正頻度、洗浄方法は、対象溶液(高塩バッファ、低導電率の純水など)、求める精度、設置形態(ラボ用かインラインか)、GMP要件によって変わります。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)