BioSpectrum Asiaは、生体内(in vivo)遺伝子治療の広がりが製造インフラにどのような変革を迫っているかを論じた記事を掲載した。複数の遺伝子治療製品が承認・商業化フェーズへと移行するにつれ、臨床試験向けの小ロット製造から、商業規模での安定供給を見据えた生産体制への転換が業界全体の緊急課題となっている。
AAVベクター製造が抱える構造的難題
in vivo遺伝子治療の主要なデリバリーツールであるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、患者の体内に直接投与し、目的遺伝子を標的細胞に届ける役割を担う。製造の観点では、高い力価(ウイルス粒子数)を保ちながら、機能的なカプシドの比率(実カプシド比)を高く維持することが求められる。
従来は小規模な一過性トランスフェクション法が主流だったが、商業規模への移行では安定産生細胞株や大型バイオリアクターを用いた手法が不可欠となる。また、AAVは血清型ごとに組織指向性が異なり、製造プロセスの最適化も血清型ごとに対応が必要なため、開発コストと期間が増大しやすい。精製工程でも、全粒子(空カプシド)と実粒子(遺伝子搭載カプシド)の分離が品質に直結し、技術的ハードルが高い。
製造能力の増強と外部委託の加速
こうした課題に対応するため、CDMOへのアウトソーシングが広がりを見せている。Lonza、OXB、ProBioといったCDMOがAAVの受託製造能力を相次いで拡充しているほか、製造装置・試薬メーカーもAAV向け製品ラインを強化している。一方、製造の内製化を選ぶ企業も存在し、施設建設・人材確保への大規模投資が続いている。
製造規模の拡大とともに、プロセスの標準化・デジタル化、そして規制当局との早期対話も重要性を増している。in vivo遺伝子治療が「一部の希少疾患」を超えてより広い疾患領域に展開されるにつれ、製造インフラの整備が治療アクセスの鍵を握る時代が到来しつつある。
※ 本ページは公開情報(BioSpectrum Asia報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。