回収・破砕装置

高圧ホモジナイザー(菌体破砕)

高圧ホモジナイザーは、大腸菌や酵母などの菌体懸濁液を高圧で加圧し、狭い隙間で急減圧・剪断・キャビテーションを与えて細胞壁を破砕する装置です。封入体や可溶性タンパク質、プラスミドなどの細胞内産物を放出させる回収・破砕工程の中核で、圧力・パス回数・スケール・冷却が選定軸になります。

菌体破砕封入体回収高圧・複数パス発熱冷却管理スケールアップ
分類
回収・破砕装置
主な用途
菌体破砕 / 封入体回収 / 高圧・複数パス / 発熱冷却管理 / スケールアップ
関連モダリティ
微生物発酵(組換えタンパク質) / 封入体由来タンパク質医薬 / プラスミドDNA / mRNA-LNP(原料DNA関連) / ワクチン(微生物由来抗原)
代表メーカー
Microfluidics(IDEX)・GEA・SPX FLOW(APV)・BEE International ほか計6社
関連キーワード
菌体破砕 / 封入体 / 大腸菌 / 微生物発酵 / 可溶性タンパク質 / 細胞破砕

用途・特徴

高圧ホモジナイザーは、ポンプで菌体懸濁液を数百〜2000 bar超まで加圧し、ホモジナイジングバルブ(インタラクションチャンバ)の微小隙間を通過させます。急激な減圧、高剪断、キャビテーションが複合的に作用して細胞壁を物理的に破壊し、封入体や可溶性タンパク質を液中へ放出させます。化学的・酵素的破砕と異なり添加物を残さず、大スケールでの再現性に優れます。

破砕効率は主に運転圧力とパス回数で決まり、菌種・細胞濃度・封入体の有無で最適点が変わります。圧力を上げパス回数を増やすほど破砕率は上がりますが、目的タンパク質の変性や微細化したデブリによる後段精製(清澄化・ろ過)の負荷増大とのトレードオフになります。封入体回収では過破砕を避け、可溶性タンパクでは十分な破砕率を狙うなど、目的で条件設計を変えます。

断熱圧縮により1000 barあたり概ね2〜3℃の温度上昇が起こるため、入口の予冷と出口の熱交換器による冷却が必須です。スケールアップではバルブ形状と圧力を固定しパス回数や流量で合わせる設計が基本で、ラボ機(数十mL)からパイロット・製造機(数百L/h)まで同一原理でスケール相関を取りやすい点が特長です。

Point
  • 高圧加圧と急減圧・剪断・キャビテーションで細胞壁を物理破砕する
  • 添加物を残さず大腸菌・酵母の大スケール破砕に適する
  • 破砕率は運転圧力とパス回数でコントロールする
  • 封入体回収では過破砕とデブリ微細化を避ける条件設計が重要
  • 断熱圧縮で発熱するため入口予冷と出口冷却が必須
  • 微細化デブリは後段の清澄化・ろ過負荷に直結する
  • バルブ・圧力を固定しスケール相関を取りやすい
  • 封入体・可溶性タンパク・プラスミド・核酸原料の放出に使う

使用方法

菌体懸濁液を予冷し、設定圧力で1回または複数回パスさせて破砕し、出口で冷却してから次工程へ送ります。

1菌体を緩衝液に再懸濁し細胞濃度を調整する
2懸濁液とラインを予冷する
3運転圧力とパス回数を設定する
4高圧で加圧しバルブを通して破砕する
5出口で熱交換器により冷却する
6破砕率・粒度・タンパク放出を確認し次工程へ送る
実際の圧力・パス回数・冷却条件は、菌種、細胞濃度、目的産物(封入体か可溶性か)、目的タンパクの安定性、後段の清澄化・精製負荷、スケールによって変わります。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)