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高圧ホモジナイザー(菌体破砕)

高圧ホモジナイザーは、大腸菌や酵母などの菌体懸濁液を高圧で加圧し、狭い隙間で急減圧・剪断・キャビテーションを与えて細胞壁を破砕する装置です。封入体や可溶性タンパク質、プラスミドなどの細胞内産物を放出させる回収・破砕工程の中核で、圧力・パス回数・スケール・冷却が選定軸になります。

菌体破砕封入体回収高圧・複数パス発熱冷却管理スケールアップ

用途・特徴

高圧ホモジナイザーは、ポンプで菌体懸濁液を数百〜2000 bar超まで加圧し、ホモジナイジングバルブ(インタラクションチャンバ)の微小隙間を通過させます。急激な減圧、高剪断、キャビテーションが複合的に作用して細胞壁を物理的に破壊し、封入体や可溶性タンパク質を液中へ放出させます。化学的・酵素的破砕と異なり添加物を残さず、大スケールでの再現性に優れます。

破砕効率は主に運転圧力とパス回数で決まり、菌種・細胞濃度・封入体の有無で最適点が変わります。圧力を上げパス回数を増やすほど破砕率は上がりますが、目的タンパク質の変性や微細化したデブリによる後段精製(清澄化・ろ過)の負荷増大とのトレードオフになります。封入体回収では過破砕を避け、可溶性タンパクでは十分な破砕率を狙うなど、目的で条件設計を変えます。

断熱圧縮により1000 barあたり概ね2〜3℃の温度上昇が起こるため、入口の予冷と出口の熱交換器による冷却が必須です。スケールアップではバルブ形状と圧力を固定しパス回数や流量で合わせる設計が基本で、ラボ機(数十mL)からパイロット・製造機(数百L/h)まで同一原理でスケール相関を取りやすい点が特長です。

Point
  • 高圧加圧と急減圧・剪断・キャビテーションで細胞壁を物理破砕する
  • 添加物を残さず大腸菌・酵母の大スケール破砕に適する
  • 破砕率は運転圧力とパス回数でコントロールする
  • 封入体回収では過破砕とデブリ微細化を避ける条件設計が重要
  • 断熱圧縮で発熱するため入口予冷と出口冷却が必須
  • 微細化デブリは後段の清澄化・ろ過負荷に直結する
  • バルブ・圧力を固定しスケール相関を取りやすい
  • 封入体・可溶性タンパク・プラスミド・核酸原料の放出に使う

使用方法

菌体懸濁液を予冷し、設定圧力で1回または複数回パスさせて破砕し、出口で冷却してから次工程へ送ります。

1菌体を緩衝液に再懸濁し細胞濃度を調整する
2懸濁液とラインを予冷する
3運転圧力とパス回数を設定する
4高圧で加圧しバルブを通して破砕する
5出口で熱交換器により冷却する
6破砕率・粒度・タンパク放出を確認し次工程へ送る
実際の圧力・パス回数・冷却条件は、菌種、細胞濃度、目的産物(封入体か可溶性か)、目的タンパクの安定性、後段の清澄化・精製負荷、スケールによって変わります。

使用される工程

菌体培養後のハーベスト後、細胞内産物を放出させる破砕工程で使われます。

封入体の回収

大腸菌で発現させた不溶性封入体を放出させ、遠心・洗浄で回収する。過破砕によるデブリ微細化を抑える条件で運転する。

主な用途
  • 封入体放出
  • 過破砕回避

可溶性タンパク質の抽出

ペリプラズムや細胞質の可溶性タンパクを放出させる。十分な破砕率を確保しつつ目的タンパクの変性・発熱を抑える。

主な用途
  • 破砕率確保
  • 発熱管理

プラスミドDNA・核酸原料の放出

大腸菌からのプラスミド回収やmRNA原料用テンプレートの前処理で、菌体破砕の選択肢として使われる(剪断による分解に注意)。

主な用途
  • 菌体破砕
  • 剪断注意

微生物発酵プロセス開発

発酵で得た菌体から目的物を放出させる破砕条件(圧力・パス回数)の最適化やスケールアップ検討に使われる。

主な用途
  • 条件最適化
  • スケールアップ

使用されるモダリティー

微生物(大腸菌・酵母)を宿主とする生産系で関連度が高い装置です。

微生物発酵(組換えタンパク質)
関連度
大腸菌・酵母の菌体破砕封入体回収可溶性タンパク抽出
菌体破砕による細胞内産物の放出工程で中核的に使われる。
封入体由来タンパク質医薬
関連度
封入体放出デブリ管理可溶化前処理
不溶性封入体の回収のための破砕で広く使われる。
プラスミドDNA
関連度中〜高
大腸菌の菌体破砕プラスミド放出
プラスミド回収の破砕手段の一つだが、アルカリ溶解法が主流の場合もある。
mRNA-LNP(原料DNA関連)
関連度
原料プラスミドの菌体破砕酵素原料の生産
原料DNAや酵素を産生する微生物の破砕で関係する。
ワクチン(微生物由来抗原)
関連度
菌体破砕抗原・組換えタンパク放出
微生物由来抗原や組換えタンパクの放出工程で使われる場合がある。

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