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封入体可溶化・リフォールディング試薬

封入体可溶化・リフォールディング試薬は、大腸菌などで不溶性凝集体(封入体)として発現した組換えタンパク質を、高濃度変性剤(尿素・グアニジン)と還元剤で可溶化し、変性剤を除きながら酸化還元対やアルギニン等の添加剤で活性体へ巻き戻すための試薬・バッファ群。微生物発酵のダウンストリーム初段、精製クロマトの前段で用いる。

封入体可溶化リフォールディング尿素・グアニジン酸化還元対アルギニン添加

用途・特徴

大腸菌などの微生物で組換えタンパク質を高発現させると、目的タンパク質が不溶性の凝集体(封入体)として蓄積することが多い。本製品群は、菌体破砕で回収した封入体を高濃度の変性剤(尿素6〜8M、塩酸グアニジン4〜6M)で可溶化(変性・解離)し、続いて変性剤を段階的に除いて天然の立体構造へ巻き戻す(リフォールディング)ための試薬・バッファ・添加剤をまとめたものである。可溶化時は還元剤(DTT・β-メルカプトエタノール・TCEP)でジスルフィド結合を切り、システインを還元状態に保つ。

リフォールディングの成否は、目的タンパク質の凝集を抑えつつ正しいジスルフィド架橋を形成させる条件設計にかかる。変性剤を希釈または透析・ダイアフィルトレーションで除く過程で、酸化還元対(還元型/酸化型グルタチオン GSH/GSSG、シスタミン/システイン等)を加えてジスルフィドのシャッフルを促し、アルギニン(0.4〜1M程度)や非変性濃度の尿素、糖・ポリオール、界面活性剤などの凝集抑制剤(aggregation suppressor)で会合を抑える。pH・温度・タンパク質濃度・希釈速度も重要な変数になる。

選定軸は、変性剤の種類とグレード(不純物・吸光・エンドトキシン)、還元剤の選択(におい・酸化安定性・金属感受性)、酸化還元対と添加剤の最適化幅、そしてスケールでの除去方式(希釈リフォールディング/パルス希釈/on-columnリフォールディング/透析・TFF)である。条件は分子ごとに経験的に決まるため、添加剤マトリクスを振るスクリーニングと、活性・単量体率での評価を前提に設計する。

Point
  • 封入体を高濃度変性剤(尿素6〜8M/グアニジン4〜6M)で可溶化し、還元剤で-S-S-を解く
  • 変性剤の段階的除去(希釈・透析・ダイアフィルトレーション)でリフォールディングを進める
  • 酸化還元対(GSH/GSSG等)で正しいジスルフィド架橋の形成を促す
  • アルギニン・低濃度尿素・糖/ポリオール・界面活性剤で凝集を抑制する
  • pH・温度・タンパク質濃度・希釈速度が収率(活性体率)を左右する
  • 条件は分子依存で経験的。添加剤マトリクスのスクリーニングが前提
  • 尿素はカルバミル化、グアニジンはイオン交換やSDS-PAGEと非相溶など取り扱い上の注意がある
  • グレード(吸光・不純物・低エンドトキシン)と除去性が工程設計と品質に直結する

使用方法

菌体破砕で回収・洗浄した封入体を可溶化し、変性剤を除きながら活性体へ巻き戻す。条件は希釈・透析・on-columnなど除去方式に合わせて設計する。

1封入体の回収・洗浄(界面活性剤/低濃度変性剤)
2高濃度変性剤+還元剤で可溶化
3可溶化液の清澄化・濃度/還元状態の確認
4希釈・透析・TFFで変性剤を段階除去(リフォールディング)
5酸化還元対・アルギニン等で凝集抑制とジスルフィド形成
6活性・単量体率の評価と条件最適化
リフォールディング条件(pH・温度・タンパク質濃度・酸化還元比・添加剤)は分子ごとに最適点が異なる。少量でのスクリーニングで設計空間を固めてからスケールアップし、活性回収率と凝集体生成を継続的に確認する。

使用される工程

微生物(主に大腸菌)系の組換えタンパク質製造で、封入体の可溶化から活性体回収までの初期ダウンストリームに用いる。

封入体の可溶化

破砕・洗浄した封入体を高濃度の尿素・グアニジンと還元剤で完全に変性・解離し、後段で扱える可溶化液にする。

主な用途
  • 尿素6〜8M/グアニジン4〜6M
  • 還元剤で-S-S-を切断
  • 凝集体を単量体へ解離

リフォールディング(巻き戻し)

変性剤を希釈・透析・TFFで段階除去し、酸化還元対と凝集抑制剤の存在下で天然構造とジスルフィド架橋を再形成する。

主な用途
  • 酸化還元対でS-S形成
  • アルギニン等で凝集抑制
  • 希釈/透析/on-column

条件スクリーニング・プロセス開発

pH・温度・タンパク質濃度・酸化還元比・添加剤を振る小スケール検討で、活性回収率を最大化する設計空間を固める。

主な用途
  • 添加剤マトリクス検討
  • 活性・単量体率で評価
  • スケールアップ前提条件

精製前のロード液調製

巻き戻し後の液を、後段のクロマト(IEX・HIC・SEC等)に適合する塩濃度・pH・伝導度へ整える前処理に使う。

主な用途
  • バッファー転換
  • 伝導度/pH調整
  • クロマトロード適合

使用されるモダリティー

大腸菌など微生物で発現させ封入体化しやすいタンパク質で関連度が高く、細胞・遺伝子治療では限定的。

微生物由来 組換えタンパク質(大腸菌等)
関連度
菌体破砕・封入体回収後可溶化リフォールディング
封入体として高発現する組換えタンパク質の標準的な活性体回収手段。可溶化〜巻き戻しの中核で使う。
酵素・サイトカイン・成長因子
関連度
可溶化酸化還元リフォールディング
ジスルフィドを持つ分泌型タンパク質を大腸菌で作る場合、酸化還元対を用いた巻き戻しが必須になりやすい。
抗体フラグメント(Fab・scFv)
関連度中〜高
封入体可溶化リフォールディング
大腸菌発現のFab/scFvで封入体化する場合に適用。鎖間ジスルフィド形成のため酸化還元条件を最適化する。
ワクチン抗原・VLP構成タンパク質
関連度
抗原タンパク質の可溶化再構成前段
微生物発現の抗原タンパク質で封入体化する場合に可溶化・巻き戻しを用いる。組立工程の前処理になる。
細胞治療・遺伝子治療
関連度低〜中
限定的
細胞やウイルスベクターが主産物で、封入体プロセスは基本的に対象外。補助タンパク質の調製で間接的に関わる程度。

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