溶出・中和

インラインpH調整(インラインコンディショニング)

インラインpH調整は、タンクへ貯めてから調整するのではなく、流路を流れる液のpHや塩濃度を連続的に整える方法です。酸・塩基・濃縮液をスタティックミキサーで合流させ、ポンプとpH/導電率センサのフィードバック制御で目標値に合わせ込みます。インラインコンディショニング(ILC)やインラインダイリューション(ILD)とも呼ばれ、低pHウイルス不活化後の中和や連続精製で活用されます。

インラインコンディショニングウイルス不活化後の中和連続精製バッファ希釈
分類
溶出・中和
主な用途
インラインコンディショニング / ウイルス不活化後の中和 / 連続精製 / バッファ希釈
関連モダリティ
抗体医薬 / Fc融合・組換えタンパク質 / 二重特異性抗体 / ADC / ワクチン
代表メーカー
Cytiva・Sartorius・Merck(MilliporeSigma)・Pall ほか計5社
関連キーワード
ウイルス不活化 / Protein A / 連続生産 / 連続精製 / ダウンストリーム / バッファ

用途・特徴

バッチでのpH調整は、タンクに液を受けてから酸や塩基を少量ずつ加え、pHが落ち着くのを待って次工程へ送ります。インラインpH調整は、この調整を流路上で行い、ミキサーを通過する短い区間で目標pH・目標導電率に合わせます。タンクへの貯留や撹拌待ちが減り、低pH保持後の速やかな中和や、工程間の連結(コネクテッド/連続精製)に向きます。

構成は、酸・塩基・塩・希釈水などの供給ライン、計量ポンプ、スタティックミキサー、pH・導電率センサ、これらを束ねる制御からなります。制御は流量比(レシピ)で決め打ちする方式と、pHや導電率の実測値をフィードバックして供給量を補正する方式があり、組成のばらつきや原液ロット差を吸収したい場面では後者が使われます。仕様外の液は受け側へ送らない判定(ダイバート)を組み合わせるのが一般的です。

濃縮原液を希釈水で割って所定バッファを作るインラインダイリューション(ILD)も同じ系統の技術で、バッファ調製タンクと床面積を削減できます。一方で、センサのドリフトや原液品質、混合の均一性に結果が左右されるため、応答時間・滞留・洗浄性まで含めた設計が前提になります。

Point
  • 流路上でpH・導電率を連続調整(貯留・撹拌待ちを削減)
  • スタティックミキサー+計量ポンプ+pH/導電率センサで構成
  • 制御はレシピ(流量比)型とフィードバック型を使い分け
  • 低pHウイルス不活化後の中和を速やかに実施しやすい
  • 工程間連結・連続/コネクテッド精製と相性がよい
  • 濃縮原液からのバッファ希釈(ILD)でタンク・床面積を削減
  • 仕様外液はダイバートし、受け側への送液を抑える運用
  • センサ校正・原液品質・混合均一性が品質に直結

使用方法

低pHウイルス不活化後の中和を例にした基本フローです。実際の供給ライン構成や制御方式、滞留・応答の設計は、流量レンジ・原液濃度・必要なpH/導電率精度によって変わります。

1目標pH・導電率と流量レンジを設定
2酸・塩基・塩・希釈水の供給ラインを準備
3pH・導電率センサを校正
4被処理液を計量ポンプで送液
5調整剤をスタティックミキサーで合流・混合
6インラインでpH・導電率を測定
7フィードバックで供給量を補正・収束
8仕様外の液はダイバート(受け側へ送らない)
9規格内の液を次工程(捕捉・ろ過等)へ送液
10運転データを記録し洗浄・切替へ
供給ラインの本数や制御モード(レシピ/pH・流量/pH・導電率)は装置と工程要件で異なります。低pH中和では、不活化に必要な保持時間を満たした上で速やかに中和へ移すこと、混合の均一性とセンサ応答を確認することが要点です。

掲載情報の確認日:2026年7月(メーカー公開情報をもとに編集部が確認。最新・正確な仕様は各社公式をご確認ください)