BioProcess Internationalに掲載された研究報告によると、グルタミン合成酵素(GS)ノックアウト型CHO細胞株であるCHOZN GS-/-を用いたフェドバッチ培養において、基礎培地とフィード培地を連動して同時最適化する「共最適化(co-optimization)」アプローチが、培養プロセスの延長と生産性向上に有効であることが示された。
フェドバッチ培地開発の課題と共最適化の意義
CHO細胞を用いた抗体製造では、フェドバッチ培養が依然として主流の生産形式だ。培養期間の延長と高力価化は、施設の生産効率を高めるうえで最重要課題であり、培地組成の最適化はそのための主要なレバーの一つとして広く取り組まれてきた。
従来、基礎培地とフィード培地はそれぞれ独立したパラメータとして個別に最適化されることが多かった。しかしこのアプローチでは、培地とフィードの相互作用が考慮されないため、実際の培養においてアミノ酸バランスや栄養素の過不足が生じやすく、最適解から乖離するケースがあった。共最適化は培地とフィードを一つのシステムとして捉えることで、このギャップを埋める考え方だ。
CHOZN GS-/-細胞への適用と産業的意義
CHOZN GS-/-細胞はグルタミン非依存性の選択系を持つことで知られ、安定した高発現クローンを効率よく取得できることから、産業用途で広く採用されている。今回の知見は、この細胞株固有の代謝特性を踏まえた栄養設計の重要性を改めて示すものでもある。
培地・フィードの共最適化は、スクリーニングのデザインが複雑になる一方、高スループット実験システムや統計的実験計画(DoE)の活用によって現実的な工数での実施が可能になってきた。生産性向上のためのプロセス改善余地を探る開発担当者にとって、このアプローチは培養日数延長・力価向上の両面で有力な手段として今後も注目が集まると考えられる。
※ 本ページは公開情報(BioProcess International報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。