特殊化学品大手のEvonikが、チューリッヒのevitriaと組み、CHO-K1細胞をもとにした一過性発現キット「eviCHO Expression Kit」を7月14日に発表した。CHO細胞はモノクローナル抗体や組換えタンパク質の製造で業界標準の宿主細胞であり、このキットは、安定細胞株の構築に入る前の初期研究で、タンパク質を素早く得る用途に向けられている。
安定細胞株を作らずにタンパク質を得る
一過性発現(transient expression)は、遺伝子を細胞の染色体に組み込まず、導入した細胞に一時的にタンパク質をつくらせる方法です。安定細胞株は高発現のクローンを選び抜いて作るので時間がかかります。一過性発現ならその工程を飛ばせるため、抗体の候補を並行して多く試す初期の研究に向いています。CHO-K1は、チャイニーズハムスター卵巣に由来するCHO細胞の代表的な株の一つです。
eviCHOは、品質確認済みの構成品と検証済みの標準プロトコルをそろえた、すぐ使える形のキットです。発表は、トラブルシューティングの手間を減らし、研究用の抗体などを得るまでの時間を縮めることを狙いに挙げています。共同開発先のevitriaは、CHOによる抗体の一過性発現を専門とする会社で、12万5,000件を超えるトランスフェクションと、2万5,000種を超える抗体・抗体系分子の発現・精製を手がけてきました。
Evonikの素材事業での位置づけ
Evonikは、このキットを、化学的に組成が定まり動物由来成分を含まない素材を扱う事業「Precision Biosolutions」の拡張と位置づけています。Health Care事業ラインを率いるGuido Skudlarek氏は、提携の狙いを、工程を簡素にしてバイオ医薬品の開発を速めることだと説明しています。
2025年11月にはInVitriaと組み、動物由来成分を含まない組換えヒト血清アルブミンの販売も始めました。培地の添加成分から発現キットまで、細胞培養まわりの素材を広げる流れです。金銭面の条件は公表されていません。
※ 本ページは公開情報(Evonikの発表、Chemical Industry Digest報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。