8枚ブレードインペラーを搭載したバイオリアクターを用いたiPS細胞(iPSC)凝集塊の懸濁培養に関する知見が、Bioprocess Onlineで紹介された。撹拌条件と凝集塊の均質性・細胞生存率の関係を検討した内容で、iPSCの工業的スケールアップに向けた上流工程の設計に示唆を与えるものとなっている。
iPSCの懸濁培養スケールアップにおける技術的課題
iPSCを用いた再生医療製品や細胞治療製品の製造では、大量の高品質細胞を安定供給するためにバイオリアクター培養が不可欠である。しかしiPSCは凝集塊(アグリゲート)を形成しながら増殖する特性を持つため、撹拌条件の設定が非常にデリケートだ。撹拌が弱すぎると凝集塊が過剰に大きくなり、内部への酸素・栄養の拡散が阻害されて中心部の壊死や分化誘導につながる。一方で撹拌が強すぎると、剪断応力(流体によって細胞にかかる機械的ストレス)が高まり、細胞死や予期しない分化を招く。
インペラー設計が培養均質性を左右する
インペラーの形状と枚数は、バイオリアクター内の流れパターンと剪断応力の分布を大きく左右する。8枚ブレード構成は、より少ない枚数のインペラーと比較して流体の混合効率を高めながら局所的な剪断ピークを分散させる効果が期待でき、凝集塊サイズの均一化と細胞生存率の維持に寄与するとされる。iPSCのような剪断感受性の高い細胞を懸濁培養するバイオリアクターでは、インペラー形状の選択が培養パフォーマンスを決定的に左右するため、このような工学的アプローチの知見は製造プロセス開発の実務に直結する。再生医療分野の製品が臨床・商業スケールへ移行するにつれ、iPSC培養のバイオリアクター設計の標準化はますます重要な課題となっている。
※ 本ページは公開情報(Bioprocess Online報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。