オーストラリアのラ・トローブ大学は、同大学が整備を進めるmRNA製造施設が重要なマイルストーンを達成したと発表した。詳細なスペックや生産規模については現時点で公表されていないが、国内製造能力の構築という戦略的文脈において注目される動きだ。
mRNA製造の「国産化」がなぜ重要なのか
2020〜2021年のCOVID-19ワクチン供給危機は、mRNAという新興モダリティの製造能力が特定地域・特定企業に集中することのリスクを世界に示した。オーストラリアをはじめ多くの国が、有事における医薬品の自給体制を「重要インフラ」と位置づけ、国内製造拠点の整備を政策的に後押ししている。
mRNAの製造プロセスは、プラスミドDNAの調製・線状化、インビトロ転写(IVT)、キャッピング・ポリA付加、精製、そして脂質ナノ粒子(LNP)への封入という複数工程から成る。各工程で用いる酵素・試薬・原材料のサプライチェーンを国内で確保する難しさは依然として高く、大学や公的研究機関がそのエコシステムの核となる役割を担う意義は大きい。
研究機関が担う製造開発の新たな役割
従来、製造施設の整備はCDMOや大手製薬メーカーの領域とされてきたが、ラ・トローブ大学のような研究機関がcGMP対応または準cGMP水準の施設を持つことで、アカデミア発のパイプラインを産業移転するまでのギャップを埋める機能が期待される。豪州ではこのほかにもmRNA製造の国産化に向けた複数のイニシアチブが走っており、今回のマイルストーン達成はその流れを後押しする成果として受け止められている。
※ 本ページは公開情報(La Trobe University報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。