ペプチド医薬品の受託製造を手がけるPeptistarが、旭化成のFO-MD(Forward Osmosis – Membrane Distillation)システムを製造スケールで本格的に稼働させたと発表した。ラボスケールでの検証を経て、実際の製造規模への移行に成功したことで、ペプチド原薬の濃縮工程における新たな選択肢として注目を集める。
FOとMDを組み合わせた二段階膜プロセス
FOは「正浸透」と呼ばれる現象を利用する。高濃度の引き出し液と低濃度の原液を半透膜で仕切ると、浸透圧差によって原液側から引き出し液側へ水が自然に移動し、原液が濃縮される。加圧が不要なため、熱や剪断応力に弱いペプチドや生体分子への負荷を最小限に抑えられる。続くMD(膜蒸留)は、膜の両面に生じる蒸気圧差を駆動力として水蒸気を除去するプロセスで、低温でも効率的に溶媒を除去できる。この二段階を組み合わせることで、従来の蒸発濃縮や逆浸透では実現が難しかった条件での高濃縮が可能となる。
ペプチド下流工程における意義
ペプチド医薬品の製造において、下流工程、とりわけ濃縮・精製は品質と収率に直結する難所である。ペプチドは分子量が低タンパク質と重なる領域に分布し、熱変性や酸化、凝集を起こしやすいものも多い。従来の加熱濃縮や高圧膜プロセスでは、こうした製品の品質を損なうリスクがあった。FO-MDは温和な条件を維持しながら高濃縮を実現できるため、GLP-1受容体作動薬など近年需要が急増しているペプチドAPIの精製・濃縮への適用が期待される。Peptistarが製造スケールでの稼働を確認したことは、同技術の実用性を示す重要なマイルストーンといえる。
※ 本ページは公開情報(GEN報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。