技術トピック
2026.07.04-

供給網の強靱化を競う製薬・CDMO、拠点分散と二重調達が焦点に

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Photo: A Chosen Soul / Unsplash

医薬品の受託製造専門メディア Contract Pharma が、業界大手2社への取材をもとに供給網(サプライチェーン)の強靱化に向けた動きをまとめた記事を公開しました。地政学リスクや通商政策の変化を背景に、製薬企業とCDMO(医薬品受託製造機関、Contract Development and Manufacturing Organization)が製造拠点の分散と地域内生産をどう進めているかを、サムスンバイオロジクス(Samsung Biologics)と富士フイルム バイオテクノロジーズ(FUJIFILM Biotechnologies)の視点から整理した内容です。

記事は、米サンディエゴで開かれた業界イベント BIO 2026 での取材に基づくとされています。登場するのはサムスンバイオロジクスのJames Choi氏(EVP兼最高マーケティング責任者・営業支援統括)と、富士フイルム バイオテクノロジーズ会長で富士フイルム ライフサイエンス本部を統括するToshi Iida氏で、各社の近年の投資や、二重調達(デュアルソーシング)・オンショアリング(国内回帰)についての考え方が語られたと報じられています。

サムスンバイオロジクスについては、2026年3月に英GSKから米メリーランド州ロックビルの製造拠点を取得し、同社として初の米国内製造拠点を確立したことが紹介されています。ロックビルは韓国・松島(ソンド)の拠点と同じ標準化プラットフォーム上で運用されるとされ、松島で確立した製法をロックビルへ移して商用供給につなげたり、立ち上げ当初から両拠点で二重調達を組んだりできる点が利点として挙げられています。

富士フイルム バイオテクノロジーズについては、2026年2月に英ティーズサイド(Teesside)の拠点を拡張したことが取り上げられています。約4億ポンド規模の拡張で、シングルユース(使い捨て)方式の受託製造施設を開設したと報じられています。Iida氏は、既存拠点を買収する競合と違って自社は新設拠点に投資しているとし、デンマーク、米ホリースプリングス、英国、日本の各拠点を同じ設備・システムでそろえ(ハーモナイズし)、拠点間で製法や人材を移しやすくする「一つのネットワーク」として設計している点を強みとして説明しています。

なぜ供給網の強靱化が論点になるのか

バイオ医薬品は、抗体などのタンパク質を細胞に作らせる工程を軸にするため、生産設備や品質管理の作り込みに時間とコストがかかります。特定の1拠点に生産が集中していると、その地域での災害・規制上の停滞・政情不安などが起きた際に、下流の市場全体が薬剤の供給不足にさらされやすいとされています。こうしたリスクを下げる考え方が、供給網の強靱化です。

記事で語られる二重調達は、同じ製品を複数の拠点や委託先で作れるようにしておく手法です。設備や検証(バリデーション)への追加投資は必要になりますが、いざというときに生産を切り替えやすくなります。ここで各社が強調しているのは、単に建物を複数持つことではなく、拠点間で仕様をそろえ、製法をスムーズに移せる「ネットワーク化された」体制を整えることだとされています。同じプラットフォームで拠点を統一しておけば、移管時の再検証の負担を抑えやすいという説明です。

記事は、地政学や通商摩擦を背景に、今後5〜10年で地域内製造が広がるとの見方も示しています。個別の投資判断は各社の戦略によりますが、拠点分散と製法の移管性を両立させる設計思想が、CMC(化学・製造・品質管理、Chemistry, Manufacturing and Controls)や製造・品質の実務に影響していく論点として位置づけられます。

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本記事はメーカーの公式発表・一次情報をもとに、Proglenth編集部が独自に見出し・要約・解説を加えて整理したものです。正確性には努めていますが、最終的な仕様・条件は各社の公式情報をご確認ください。編集の考え方は編集方針に記載しています。

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