Samsung BiologicsのKasper Øland氏は、バイオ製薬企業の研究開発パイプラインが複雑な分子へとシフトしていることが、CDMO(医薬品製造受託機関)に求められる要件を根本から変えつつあると指摘した。BioPharm Internationalへの寄稿でその見解が示された。
「複雑モダリティ」とは何か、なぜ製造が難しいのか
かつてのバイオ製薬製造の主役はモノクローナル抗体(mAb)だった。CHO細胞で産生し、プロテインAアフィニティクロマトでほぼ一気に精製できるという確立されたプロセスが存在し、CDMOもこの「標準」を磨き上げてきた。しかし近年は二重特異性抗体(bispecific antibody)、抗体薬物複合体(ADC)、mRNA医薬、さらには細胞・遺伝子治療(CGT)といった「複雑モダリティ」が開発の主流に移りつつある。これらは産生細胞の種類、精製の難易度、原薬の不安定性、最終製剤の要件などが通常の抗体とは大きく異なり、一つのCDMOが全てを得意とすることは難しい。
製薬企業がCDMO選定で見るポイントが変わった
Øland氏の論点は「モダリティの多様化に対応できる技術的な幅と深度を持つCDMOのみが、今後のパートナーとして選ばれる」というものだ。単なるキャパシティ(製造槽の数や規模)よりも、技術的専門性、製造プロセス開発力、品質システムの堅牢さ、規制対応実績が重視される時代になっている。Samsung Biologicsは韓国・松島に大規模な製造拠点を構え、従来の抗体製造に加えてADCや他のモダリティへの対応強化を進めている。バイオ製薬の開発トレンドと製造受託の在り方が連動して変化している現状を端的に示す発言として、業界関係者の注目を集めている。
※ 本ページは公開情報(BioPharm International報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。