英国のバイオテクノロジー企業Touchlightが、Deloitteによる評価・表彰を受けたことで、同社が推進するdbDNA(ダンベル型DNA)プラットフォームへの業界の関心が改めて高まっている。同プラットフォームは、遺伝子治療の製造コストを大幅に削減できる可能性を持つ技術として注目されてきた。
プラスミドDNAの限界とdbDNAの登場
AAVウイルスベクターやmRNAワクチンの製造において、現在の主流はプラスミドDNAを出発材料とするアプローチだ。プラスミドDNAは大腸菌で増幅させた後、アルカリ溶解・クロマトグラフィー精製といった複数の工程を経て生産される。しかし大腸菌由来のエンドトキシンや宿主DNA・RNAの除去には手間がかかり、スケールアップ時のコストと品質管理の複雑さが製造上の課題となっている。
これに対してTouchlightのdbDNA技術は、酵素反応によって試験管内でDNAを増幅する無細胞(セルフリー)製造プロセスを採用する。環状構造を持たない線状の閉鎖端DNA分子であるdbDNAは、細菌を使わないため原則としてエンドトキシンが生じず、精製工程を大幅に簡略化できる点が特長だ。製造リードタイムの短縮とスケールの柔軟性も訴求ポイントとなっており、とりわけ少量高頻度の希少疾患向け遺伝子治療において期待されている。
コスト構造の変革とその意義
遺伝子治療はその製造コストの高さが市場普及の障壁となってきた。1回の治療に必要なウイルスベクターを製造するコストは数百万円から数千万円に上ることもあり、薬価の高騰と患者アクセスの問題が連鎖している。dbDNAのような代替DNA鋳型プラットフォームが実用化・普及すれば、上流コストの圧縮を通じて製品価格の抑制につながる可能性がある。Touchlightは外部からの評価を追い風に、製薬・バイオテク企業へのプラットフォーム供給の拡大を加速させるとみられる。
※ 本ページは公開情報(TipRanks報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。