抗体薬物複合体(ADC)の分析・品質評価において、2次元液体クロマトグラフィー(2D-LC)とネイティブ質量分析(Native MS)を統合した手法の有用性が、Bioprocess Onlineに掲載された解説で取り上げられた。ADCは抗体・リンカー・ペイロードの三要素が組み合わさった複雑な分子であり、その品質評価は製造工程管理の要となっている。
ADCの分析がなぜ難しいのか
ADCは通常の抗体と異なり、薬物分子が共有結合で連結されているため、薬物対抗体比(DAR)や結合部位の均一性、凝集体・断片の有無など多岐にわたる品質属性を評価する必要がある。こうした属性は互いに関連しており、単一の分析法で全貌をつかむことが難しい。従来は複数の独立した試験を順番に実施するため、時間とサンプル量を要するのが課題だった。
2D-LC+Native MSが開く可能性
2D-LCは1回のランで異なる分離モード(たとえば疎水性相互作用と逆相)を直列に適用し、より多くの情報を取り出す技術だ。これにネイティブMSを組み合わせると、タンパク質を変性させずに自然な高次構造を保ったまま質量を測定でき、DAR分布や非共有結合複合体の状態を直接観察できる。このアプローチにより、電荷バリアント・サイズバリアント・薬物結合状態を一連のワークフローで相関づけることが原理的に可能となる。
ADCの製造では、共役(コンジュゲーション)工程での均一性が製品品質と有効性に直結するため、製造現場での分析ターンアラウンド短縮は大きな意義を持つ。GMP環境での適用に向けてはバリデーション要件の整備が必要だが、研究・開発段階から製法移管の場面まで、多段階の品質評価を効率化するツールとして期待が高まっている。ADC市場が拡大を続ける中、より高度な分析プラットフォームへの需要は今後も増していくとみられる。
※ 本ページは公開情報(Bioprocess Online報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。