細胞療法や再生医療の製造において、目的の細胞集団を高純度・高回収率で分離するセルソーティング技術の役割が大きくなっている。Genetic Engineering and Biotechnology News(GEN)が、精度(Precision)、スケール(Scale)、簡便性(Simplicity)という三つの軸から最新の細胞ソーティング技術の動向を整理した。
なぜセルソーティングが製造の難所になるのか
セルソーティングとは、不均一な細胞集団の中から特定の表面マーカーや物理的特性(サイズ・粒度など)を手がかりに目的細胞を選別・回収する工程だ。研究用途では蛍光活性化セルソーター(FACS)が広く使われてきたが、製造スケールへの適用は容易ではない。
FACSは高い精度を誇る一方、処理速度がボトルネックとなりうる。例えば、CAR-T細胞療法の製造では、患者由来のT細胞集団からCD4陽性・CD8陽性細胞を選別し、さらに活性化・形質導入後に残存する非目的細胞を除去するといった工程が必要になる。このような多段階の分離工程を製造スケールで行うには、大量の細胞を短時間かつ低侵襲で処理できる装置と方法論が求められる。
三つの要件を統合する技術アプローチ
近年は、磁気ビーズを用いた磁気細胞分離(MACS)技術の高度化、マイクロ流体デバイスを活用したラベルフリーソーティング、そして音響波や誘電泳動を利用する非接触分離法など、多様なアプローチが製造用途に向けて進化している。GENの解説は、こうした技術がいかに精度を保ちながら処理量を拡大し、かつ操作者の技術依存度を下げるか──という三律背反に近い課題への応答を俯瞰するものだ。
製造用のクローズドシステム対応や、シングルユースのカートリッジ型モジュールの採用も進んでおり、コンタミネーションリスクの低減とGMP適合性の向上が図られている。細胞療法のアクセス拡大と製造コスト削減の両立に向けて、セルソーティング技術の製造対応はますます重要な開発領域となっている。
※ 本ページは公開情報(Genetic Engineering and Biotechnology News報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。