アークレイが、心不全の病態把握と診断に使う BNP(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド)の測定試薬「ラピッドチップBNP-II」を2026年9月7日に発売した。体外診断用医薬品で、専用の蛋白質分析装置と組み合わせ、全血から約10分でBNP濃度を出す。
検体には、EDTA-2Na または EDTA-2K で採った血漿か全血を 120 µL 使います。これを「ラピッドピア」または「ラピッドピアII」に載せると、前処理なしで約10分のうちに結果が出ます。抗凝固剤の種類まで指定されているのは、BNP が採血と保存の条件で値の動きやすい項目だからです。
遠心分離のない10分
中央の検査室でBNPを測るなら、採血管を遠心して血漿を分け、自動分析装置にかけます。装置が動いている時間だけを見れば速いのですが、検体を運び、遠心にかけ、順番を待つところまで含めると、外来の診察時間には収まりません。全血をそのまま載せられるという条件は、この遠心の工程をまるごと外します。
息切れやむくみを訴える人が心不全かどうか、診察室でそのまま切り分けられると助かる場面は少なくありません。POCTの設計では、中央検査室と同じ精度を追うのではなく、判定に使う値の前後で正しく分けられることを優先します。測れる範囲を狭めてでも、診察室で答えが出ることを取る、という割り切りです。
1年から18カ月に延びた有効期間
同じ製品名の「ラピッドチップBNP-II」は、積水メディカルが2026年8月3日に発売しています。両社は2013年に、BNP測定装置の販売で提携しています。
積水メディカル側の案内には、従来品からの変更点が2つ挙がっています。1つは測定時間で、約15分から約10分に縮まりました。もう1つは有効期間で、1年から18カ月に延びています。
見出しになるのは前者です。ただ、試薬を棚に置く側から見れば、効いてくるのは後者だと考えます。POCTの試薬は中央検査室ほど回転しません。1日に数本しか出ない診療所では、使い切る前に期限の来る箱が必ず出ます。有効期間が6カ月延びれば、そのぶん発注のロットを大きくでき、捨てる数が減ります。ランニングコストの話は、たいてい測定時間ではなくここで決まります。
価格と販売目標、アークレイと積水メディカルが役割をどう分けているかは、発表からは分かりません。
※ 本ページは公開情報(薬事日報の報道、各社の発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。仕様・価格の詳細は一次情報および各社の公式発表をご確認ください。