mRNA医薬品や遺伝子治療の製造において、脂質ナノ粒子(LNP)のプロセス開発は依然として時間とコストを要する工程だ。Bioprocess Onlineは、MIT化学工学のMyerson研究グループ(Peter Sagmeister氏、Aniket Udepurkar氏)へのインタビュー形式の寄稿で、自動化、プロセス分析技術(PAT)、高度な最適化を組み合わせた「セルフドライビングラボ(SDL)」をLNPの製造プロセス開発に応用する取り組みを取り上げた。システムが実験の実施、粒子特性の測定、次の条件の選定を繰り返し、人手を減らしながら最適な製造条件を探る。
LNP処方開発の何が難しいのか
LNPはイオン化可能脂質・補助脂質・コレステロール・PEG化脂質の4成分を組み合わせた複雑な製剤系であり、それぞれの比率や混合条件が粒子径・ゼータ電位・内包率・細胞取り込み効率などの品質属性に複雑に影響する。因子数が多いため、従来の一因子ずつ変化させる(OFAT)手法では膨大な実験回数が必要となり、スケールアップや複数のmRNAカーゴへの適用にあたって処方の再最適化が繰り返し求められることも課題となっている。
SDLがもたらす設計サイクルの圧縮
この事例のセルフドライビングラボは、シリンジポンプとスイッチングバルブなど市販のハードウェアでLNPを調製し、インラインの動的光散乱(DLS)で粒子径や多分散度をリアルタイムに測って、その結果を次の実験に反映する閉ループ構造だ。事前に決めた実験計画法(DoE)の実験のほか、プロセス条件を連続的に動かすダイナミック実験も実行でき、ベイズ最適化は実験回数の削減に使えるとされる。LNP開発だけでなく、培地最適化や精製条件スクリーニングなど、バイオプロセス全般の開発工程にSDLの概念を広げようとする動きも業界では加速しており、製造プロセス開発の在り方を根本的に変える技術として注目が高まっている。
※ 本ページは公開情報(Bioprocess Online報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。