mRNA医薬品や遺伝子治療の製造において、脂質ナノ粒子(LNP)の処方設計は依然として時間とコストを要する工程だ。Bioprocess Onlineは、ロボット自動化とAI駆動の実験計画を組み合わせた「セルフドライビングラボ(SDL)」をLNP開発に応用する取り組みを取り上げた。このアプローチでは、実験立案・実施・データ解析・次実験の提案というサイクルをシステムが自律的に繰り返し、人手を最小化しながら処方最適化を進める。
LNP処方開発の何が難しいのか
LNPはイオン化可能脂質・補助脂質・コレステロール・PEG化脂質の4成分を組み合わせた複雑な製剤系であり、それぞれの比率や混合条件が粒子径・ゼータ電位・内包率・細胞取り込み効率などの品質属性に複雑に影響する。因子数が多いため、従来の一因子ずつ変化させる(OFAT)手法では膨大な実験回数が必要となり、スケールアップや複数のmRNAカーゴへの適用にあたって処方の再最適化が繰り返し求められることも課題となっている。
SDLがもたらす設計サイクルの圧縮
セルフドライビングラボでは、ベイズ最適化やアクティブラーニングをはじめとするAIアルゴリズムが実験データを逐次学習し、次に試すべき処方条件を自動提案する。ロボットハンドラーが実際の混合・封入・粒子測定を実行し、その結果が即座にモデルに戻される閉ループ構造がポイントだ。このアプローチにより、最適に近い処方到達までの実験数を従来比で大幅に削減できると報告されている。LNP開発だけでなく、培地最適化や精製条件スクリーニングなど、バイオプロセス全般の開発工程にSDLの概念を広げようとする動きも業界では加速しており、製造プロセス開発の在り方を根本的に変える技術として注目が高まっている。
※ 本ページは公開情報(Bioprocess Online報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。