CREATEは、Monash大学が開発した脂質ナノ粒子(LNP)技術を取得したと発表した。この技術は、体内投与型CAR-T療法において長らく課題とされてきた肝臓への過剰な集積を抑制しつつ、標的とする免疫細胞への遺伝子デリバリー効率を約8倍に向上させることができるとされている。
体内CAR-T療法とLNPデリバリーの課題
CAR-T細胞療法は、患者から採取したT細胞を体外でウイルスベクターを用いて遺伝子改変し、がん細胞を攻撃するよう設計して患者に戻す治療法として知られる。しかしこのアプローチは、細胞採取・培養・品質試験・再投与という複雑なプロセスを必要とし、製造コストが非常に高く、治療を受けられる患者数も限られる。
この限界を突破しようとする新たな方向性が「体内(in vivo)CAR-T」だ。あらかじめ製造した遺伝子デリバリービークルを患者に直接投与することで、体内のT細胞を改変しCAR-Tとして機能させる方法で、既製品として多くの患者に届けられる可能性がある。このアプローチでLNPは有力な候補技術の一つだが、既存のLNPは静脈内投与後に肝臓に大量に集積するという物性上の制約があり、免疫細胞への選択的なデリバリーが難しかった。
Monash技術が解く「肝臓問題」
CREATEが取得したMonash大学の技術は、LNPの脂質組成や表面特性を工学的に最適化することで、肝臓への非特異的な集積を低減しつつT細胞などの免疫細胞へのターゲティング精度を大幅に改善したものとされている。デリバリー効率が約8倍向上するというデータは、in vivo CAR-Tの実用化において大きな意義を持つ。治療に必要なmRNAや遺伝子編集ツールの量を減らせれば、安全性プロファイルの改善とコスト削減にも直結するためだ。
LNPを用いた非ウイルス遺伝子デリバリーは、mRNAワクチンの普及以降、医薬品製造の観点からも注目度が急上昇している。ウイルスベクターに比べてスケールアップが容易で、製造の標準化が進めやすい点も利点だ。今回の技術取得は、体内CAR-Tという次世代細胞療法の実現可能性をさらに押し上げるものとして、業界内外から注目されている。
※ 本ページは公開情報(Tech Times報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。