BioProcess Internationalが、調査会社GlobalDataの分析をもとに、新薬の製剤(ドーズ)製造の委託先として、欧州の施設が米国の施設との差を広げているとする記事を公開した。GlobalDataによると、2025年に新薬の約半数が欧州の施設と製剤製造の契約を結び、シェアは2023年から倍近くに増えた。米国の施設のシェアは2024年以降18%のままで、2026年上半期もこの傾向が続いているという。
バイオ製造能力の地政学的意味
コロナ禍は、ワクチンや治療薬の製造能力が国家安全保障と直結することを改めて示した。その後、各国・地域でバイオ製造の自国化・域内化を目指す政策投資が加速している。米国ではインフレ抑制法や先端製造税額控除などを活用した製造回帰の動きが顕著で、CDMOの新規拠点建設や既存設備の増強が相次いでいる。
GlobalDataは、差が広がった要因のひとつに研究開発の税制優遇を挙げる。アイルランドは2026年1月に研究開発の法人税額控除を35%に引き上げ、ドイツも25〜35%の控除を設けている。米国の簡易代替控除(ASC)は6〜14%にとどまる。アイルランドの施設が欧州域内の製剤製造契約に占める割合も、2024年の約6%から2025年には13%に上がった。
製造格差が示す示唆
バイオ製造の地理的偏在は、サプライチェーンのリスク集中をもたらす。今回の分析は、米国が製造の国内回帰を促す政策を進める中でも、製薬企業の委託先選びが税制などの条件に左右され、欧州に傾いていることを示す。製造能力の地域間バランスは、将来の医薬品アクセスや供給安定性に直接影響するため、CDMO・装置メーカー双方にとっても拠点戦略を見直す契機となっている。
※ 本ページは公開情報(BioProcess International報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。