ドイツの化学大手Evonikが、米国インディアナ州の原薬(Drug Substance)製造施設に1億ドルの投資を行うと明らかにした。同社は2026年初頭に中央ヨーロッパの原薬製造能力強化を公約していたが、今回は米国に向かい、インディアナ州ラファイエットのTippecanoe Labsに5年かけて1億ドルを投じ、大型反応器をはじめとする主要設備を更新して信頼性と自動化を高める。
米国内製造シフトが加速する背景
近年、製薬企業はサプライチェーンの地政学的リスクを意識し、米国内での製造能力確保を優先する傾向が強まっている。新型コロナウイルスのパンデミックで露わになった原薬の海外依存リスクに加え、米国の政策動向も自国製造への回帰を後押ししている。こうした状況を受け、CDMO各社は北米拠点への設備投資を積極的に進めており、Evonikの今回の判断もその潮流に沿ったものだ。バイオ医薬品に限らず低分子医薬品を含む幅広い原薬の受託需要が米国内で拡大しており、生産能力の不足が受注機会の損失につながるリスクを各社が回避しようとしている。
CDMOとしてのEvonikの立ち位置
Evonikはもともと特殊化学品メーカーとして知られるが、医薬品向け脂質(LNP製造用を含む)やアミノ酸など、バイオ医薬品製造に欠かせない素材・原料のサプライヤーとしても重要な役割を担ってきた。対象のTippecanoe Labsは、2010年にEli Lillyから取得した世界最大級のAPI製造拠点の一つで、従業員は650人を超える。Evonikはすでに原薬の受託製造を手がけており、今回の投資は米国拠点の設備を更新して、伸びる需要に応える体制を整えるものだ。FiercePharmaによると、新規雇用の発表はない。増大する米国内需要を取り込み、製造受託事業のさらなる拡大を図る姿勢が鮮明になっている。
※ 本ページは公開情報(FiercePharma報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。