Genetic Engineering and Biotechnology News(GEN)は、mRNA製造の要であるインビトロ転写(IVT)工程にモジュール型の機構モデルを適用する研究を紹介する記事を公開した。研究はNortheastern大学のWei Xie氏らによるもので、プレプリントとしてarXivに公開されている。IVTの反応ネットワークを再利用できる単位に分けることで、各ステップが収量、キャッピング効率、転写産物の完全性にどう効くかを見通しやすくする狙いだ。
mRNA製造における設計課題
mRNAの製造は、鋳型となるプラスミドDNAの調製、インビトロ転写(IVT)、キャッピングと精製(HPLCやTFF等)、そして脂質ナノ粒子(LNP)への内包・製剤化という複数の連続する工程から構成される。各工程は独自のプロセスパラメータと品質特性を持ち、上流工程での変動が下流工程のアウトカムに波及するため、全体を一体として最適化することは容易ではない。特にスケールアップ時には、実験室スケールで得られたパラメータがパイロット・商業スケールでそのまま成立しない「スケール感度」の問題が生じやすい。
モジュール型モデリングが開く可能性
このモデルは、開始とキャッピング、伸長と途中停止、終結とリードスルー、mRNAの分解、ピロリン酸マグネシウムの沈殿、ピロリン酸の分解といったIVT反応内の素過程を、独立したモジュールとして数理モデル化する。経験的な相関ではなく分子機構に基づくため、新しいmRNA配列やスケールにも作り直しなしで適用でき、新しい酵素や工程を加える場合も該当モジュールの更新で済むと、研究者は説明している。モジュールのパラメータ推定にはベイズ最適化が併用されている。製造過程の「デジタルツイン」構築との親和性も高く、QbD(品質を設計に組み込む)の思想とも整合する。mRNA製造の標準化と製造コスト低減が業界全体の課題となる中、設計駆動の製造最適化手法への注目は今後さらに高まるとみられる。
※ 本ページは公開情報(Genetic Engineering and Biotechnology News報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。