粒子を測る装置は、長らく「大きさを測るもの」と「形を見るもの」が別々だった。堀場製作所が発表した「Partica」は、その2つを1台にまとめた粒子径・形状分析装置である。同社の発表によれば、レーザー回折法による粒子径分布測定と、動的画像法による形状解析の機能を備え、粒子径と形状の解析結果をおよそ1分で得られるとしている。2026年4月1日から順次発売されている。
対象として挙げられているのは、半導体、二次電池、医薬品など、粒子の性状が製品の性能を左右する分野の研究開発拠点や工場である。
なぜ「径」と「形」を同時に測るのか
粒子径分布は、粉体を扱う工程で最も基本的な品質特性のひとつだ。医薬品であれば、原薬の粒子径は溶解速度に効き、経口製剤の吸収挙動を左右する。吸入製剤では肺のどこまで届くかが粒子径で決まる。凍結乾燥製剤や懸濁注射剤でも同様に、粒子の細かさが製品の性能に直結する。
ただし、粒子径だけでは説明がつかない場面がある。レーザー回折法は、粒子が球であると仮定して散乱光の強度分布から径を求める。実際の粒子が針状や板状であれば、その仮定と現実がずれ、同じ「粒子径」でも流動性や充填性はまったく違ってくる。粉体が装置内で詰まる、打錠時に重量がばらつく、といった現場の問題は、径の数字だけを見ていても原因にたどり着かない。
そこで形状の情報が要る。動的画像法は、流れる粒子を1個ずつ撮像して、アスペクト比や円形度といった指標を出す手法だ。径の分布と形状の分布を突き合わせると、「粗い粒子だけが針状になっている」といった構造が見えてくる。別々の装置で測ると、同じ試料を2回調製し、2回分の測定条件を管理し、2つのデータを後から突き合わせる必要がある。1台で済むことの実利は、この手間と、条件差から生じる不一致がなくなる点にある。
ソフトウェアの刷新が意味するもの
発表では、ソフトウェアを全面的に刷新し、遠隔での操作性、自動化、データインテグリティ対応を備えたプラットフォームを構成したとされている。
このうち医薬品の製造・品質管理にとって重みがあるのがデータインテグリティである。測定値がいつ、誰の操作で、どの条件で得られたのかを追跡でき、後から書き換えられないことが求められる。装置の測定性能そのものとは別の軸だが、GMP下の試験室で使う装置を選ぶ際には、この対応の有無が採否を分ける。分析法をバリデートしても、記録の信頼性が担保されなければ、そのデータは規制当局に対する裏づけにならない。
遠隔操作と自動化は、測定の属人性を下げる方向に働く。粒子径測定は、分散条件(溶媒・超音波の当て方・撹拌)で結果が動きやすく、作業者ごとの差が出やすい測定のひとつだ。手順を装置側に持たせられれば、その差は縮む。
導入時に確かめること
装置が1台にまとまっても、測定の考え方まで自動的に決まるわけではない。実務では次の点が残る。
- どちらの原理の値を規格にするか:レーザー回折法の粒子径と、画像法から得られる径は、定義が異なるため一致しない。既存の規格値をそのまま引き継げるとは限らない。
- 分散条件の再確立:装置を替えれば、分散のさせ方も見直しになる。既存法との同等性を示す作業が要る。
- 形状指標の使いみち:形状のデータは取れても、どの指標をどの閾値で管理するかは、自社の工程と製品ごとに決める話になる。
※ 本ページは公開情報(堀場製作所の発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。仕様・提供時期の詳細は一次情報をご確認ください。