三洋貿易は、グループ会社のKOTAIバイオテクノロジーズ(以下、KOTAIバイオ)が米10x Genomicsの空間解析装置「Atera」を導入すると発表した。ゴムタイムスが報じた。
KOTAIバイオは創薬・医学研究向けの空間解析サービスを強化し、国内の製薬企業や研究機関に向けた受託の提供開始を準備している。製薬企業にとっては、装置を自前でそろえずに空間解析を国内で委託できる先となる。
全トランスクリプトームを細胞単位で読むAtera
空間解析(spatial biology)は、組織切片を壊さずに、どの位置の細胞がどの遺伝子を発現しているかを位置情報つきで測る技術だ。組織をすりつぶすバルク解析や、細胞をばらして測るシングルセル解析では失われる細胞の並びを残せる。腫瘍内への免疫細胞の浸潤や、線維化の広がりのように、位置そのものが問いになる研究に向く。
従来の空間解析では、対象遺伝子をあらかじめ絞って細胞単位で見るか、全遺伝子を見る代わりに空間分解能や感度を譲るかの選択になることが多かった。10x Genomicsは、全トランスクリプトームを細胞1個ずつの感度で読み取ることをAteraの特徴に掲げている(Atera発表時の記事)。
Xenium・MACSimaの受託体制にAteraが加わる構成
KOTAIバイオは2023年から、10x Genomicsの「Xenium」(遺伝子発現)、独Miltenyi社の「MACSima」(タンパク質)、バイオインフォマティクスを組み合わせて空間解析の受託体制を整えてきた。組織構造・細胞ごとの遺伝子発現・タンパク質の情報を重ねて解析し、創薬の候補探索、病態解明、バイオマーカー研究を支えるとしている。Xeniumは対象遺伝子を選んで測るパネル方式で、Ateraの導入により全トランスクリプトームの選択肢もそろう。
空間解析は、切片作製でデータの質が大きく変わり、1検体あたりのデータ量も膨大で、専任の解析担当が要る。装置・手技・解析の3つがそろって結果になるため、受託は数検体で試してから社内導入を判断する進め方に使える。
実務の確認ポイント委託を検討する際の留意点
10x Genomicsによると、Ateraの解析結果は同社のクラウド、利用者が管理するクラウド、手元のサーバーのいずれにも保存できる。受託先がどれを使うかで、データの保管場所が変わる。検体側では、摘出から固定までの時間が空くとRNAが分解し、FFPE標本では保管年数が長いほど読める量が減る。
問い合わせの前に確かめておく点は次の3点だ。
- 手元の検体の種類(凍結組織かFFPE標本か)と保管年数で、そのまま使えるか
- 比べたいもの(投薬の前後、奏効例と非奏効例など)が決まっているか
- 解析済みの図だけでなく生データも受け取れるか、データをどこに保管し、どこで解析するか
KOTAIバイオのサービス案内によると、Ateraを使ったサービスは今年度中に始まる予定だ。料金と受け付ける検体の条件は、提供元への問い合わせで確かめることになる。
※ 本ページは公開情報(三洋貿易の発表に関するゴムタイムスの報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。サービス内容・提供時期の詳細は一次情報および提供元をご確認ください。