サウジアラビアの政府系ファンドPIF傘下のバイオ医薬品企業LiferaのグループCEO、Fadi Al-Buhairan氏が、6月下旬にサンディエゴで開かれたBIO国際大会でBioProcess Internationalの取材に応じ、同国がグローバルなバイオテクハブを目指す戦略を語った。国内製造基盤の整備を通じて、バイオ医薬品の自国生産能力を高めることを目指す動きだ。
中東のバイオ製造「新興地」としてのサウジアラビア
サウジアラビアを含む中東地域は、これまでバイオ医薬品の製造においては欧米やアジア(韓国・中国)などに大きく依存してきた。しかし新型コロナウイルスのパンデミックがサプライチェーンの脆弱性を世界的に露呈させたことで、各国が「自国製造」の重要性を再認識し、製造拠点の地域分散を急いでいる。中東産油国も例外ではなく、石油依存から脱却してハイテク産業を育成する国家戦略の一環として、バイオテクノロジーが重点分野に据えられている。
バイオ医薬品製造を国内で確立するためには、GMP対応の施設整備に加えて、熟練した製造人材の育成と規制当局の能力向上が同時に求められる。これらはいずれも短期間での達成が難しく、多くの新興製造国が直面する共通の課題だ。欧米や日本の規制水準に準拠した製造基盤を持つことは、グローバルなパートナー企業や多国籍製薬企業との受託製造契約の獲得においても重要な条件となる。
地域製造ハブとしての戦略的意義
Al-Buhairan氏は、同国が地理的に有利な位置にあり、グローバルなバイオテクハブという目標に適していると述べている。この地域は人口規模が大きく、バイオ医薬品需要の成長ポテンシャルが高い一方で、製造拠点が限られているため、サプライ面での空白を埋める機会が存在する。Liferaのような地域企業が製造能力を整備することで、欧米依存のサプライチェーンに対する地政学的リスクの分散にも寄与しうる。バイオ製造の「多極化」という大きなトレンドの中で、中東の存在感が今後どこまで高まるか注目される。
※ 本ページは公開情報(BioProcess International報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。