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2026.07.30•Eli Lilly / Resilience

LillyとResilience、7億5000万ドルでオハイオ州の注射剤生産を増強

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Photo: CDC / Unsplash

米製薬大手の Eli Lilly と、医薬品の開発と製造を請け負う受託企業(CDMO)の Resilience が、2026年7月30日、米オハイオ州で注射剤の生産を増やすため 7億5000万ドル を投資すると発表しました。増やすのは、糖尿病と肥満症の薬に使うLillyのペン型製剤「⁠KwikPen⁠」です。

舞台はシンシナティ近郊、ウェストチェスター郡区にあるResilienceの拠点で、ここでは2023年から2型糖尿病の治療薬 Mounjaro と肥満症の治療薬 Zepbound を作ってきました。どちらも米国で一時品薄になった薬で、作る能力がそのまま患者に届く量を左右します。

整地はすでに始まっており、本格稼働は2027年初めの予定です。新たに400人以上を雇う計画で、Resilienceがオハイオ州で生む雇用は合わせて1,400人を超えます。

1本で複数回分を打てるKwikPen

MounjaroとZepboundは名前こそ違いますが、有効成分はどちらもチルゼパチド(tirzepatide)です。血糖値や食欲にかかわる2つの消化管ホルモン、GIPとGLP-1の受容体をまとめて刺激するペプチド(アミノ酸が数十個つながった分子)で、週1回、皮下に注射します。原薬の作り方はGLP-1受容体作動薬の製造ルートで解説しています。

KwikPenは、Lillyがインスリン製剤などで長く使ってきたペン型の注入器で、薬液を詰めたガラスのカートリッジを中に組み込み、1本で複数回分を投与できます。米国では、1本に4回分(週1回ならほぼ1か月分)が入ったZepboundのKwikPenがFDAの承認を受け、Lillyが2026年2月に発売しました。欧州などで売られているMounjaroのKwikPenも、同じく1本に4回分です。1回ごとに使い捨てるオートインジェクターと比べ、同じ期間に要るペンの本数が少なくて済みます。米国内でKwikPenを作る能力を増やす今回の投資は、この新しい剤形の供給を支えるものと考えられます。

作る側から見ると、ペン型製剤は薬液を作って終わりではありません。ペプチドの薬液は加熱による滅菌に向かないため、一般にはろ過で菌を除き、無菌の環境でカートリッジに詰めます(無菌充填)。そのあとに液量や異物の検査、ペンへの組み立てと動作確認、包装が続きます。どれか1つでも能力が足りなければ、出荷できる本数はそこで頭打ちです。Resilienceの経営トップも、新しい拠点を、無菌の注射剤づくりとペンの組み立て・包装をまとめて担う場所と説明しています。

供給不足を経験した薬と、受託先での増産

チルゼパチドの注射剤は、需要に生産が追いつかず、2022年末から2024年にかけて米FDAの医薬品不足リストに載っていました。その間、米国では薬局が同じ成分で調合した、FDAの承認を受けていない製品(調剤品)が広く出回りました。注射剤の生産が足りないと、一部の患者が未承認の調剤品に流れることを示した出来事でした。

LillyとResilienceの提携は2023年に始まり、オハイオ州の拠点ではすでにMounjaroとZepboundを、バイアルとプレフィルドシリンジ(薬液をあらかじめ詰めた注射器)で作ってきました。米国向けの出荷は、これまでに1億5000万回分を超えています。今回はそこにKwikPenの生産を加える拡張です。

Lilly自身も、米国内で工場の新設や既存工場の買収に大きな投資を重ねてきました。2024年には、ウィスコンシン州プレザントプレーリーの注射剤工場をNexus Pharmaceuticalsから買い取っています。競合のNovo Nordiskも2024年12月、受託製造大手Catalentの充填工場3か所を傘下に入れました。Lillyは自社の工場を増やす一方で、すでに一緒に作っている受託先の能力も広げています。工場を一から建てると、建設から当局の承認まで数年かかるのが普通です。実績のある委託先での増設には、その時間を縮める狙いがあると考えられます。

品質保証の立場で見落としやすいのは、委託先の査察の結果です。Novo Nordiskが2024年12月に取得した3拠点の1つ、インディアナ州ブルーミントンの旧Catalent充填工場は、2025年7月に終わったFDAの査察で指摘を受けました。そこに充填を頼んでいたRegeneronとScholar Rockは承認見送りの通知を受けています。両社の説明では、理由は有効性や安全性ではなく、充填工場の査察結果でした(委託先のOAIで承認が止まった実例)。工場を手に入れても、査察で問題が出れば、そこで詰める製品は世に出せません。

製造を外部に任せている製品があるなら、委託先が直近の査察でどう分類されたかを、FDAの公開データベース(FDA Data Dashboard)で一度調べておくと役に立ちます。ただし、承認前の査察や、措置が決まる前の査察はここに載りません。載っていなくても問題なしとは限らないので注意してください。購買や営業の立場なら、ペン型製剤の増産は、ガラスカートリッジやゴム部品、組み立てと検査の装置の需要も伸びる合図と考えられます。

その後Resilienceは2026年9月、ペンシルベニア州にある細胞治療の製造施設をMade Scientificに売却し、中核でない事業を手放す再編を進めています。オハイオでの今回の投資と合わせると、注射剤とペンの受託に力を寄せる姿勢がうかがえます。

ペン型の注射剤は、薬そのものが足りていても、充填と組み立ての能力が足りなければ患者に届きません。今回の投資は、2023年から続く受託先との製造を、ペンの組み立てまで含めて広げる試みです。

※ 本ページは公開情報(両社の発表、FiercePharmaなどの報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。

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本記事は業界メディア等の報道をもとに、Proglenth編集部が独自に見出し・要約・解説を加えて整理したものです。正確性には努めていますが、最終的な仕様・条件は各社の公式情報・一次情報をご確認ください。編集の考え方は編集方針に記載しています。

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