ゲノミクス機器を手がけるMGI Techは、ラボ自動化・マルチオミクスの新ソリューションとして、シングルセルプロテオミクスの前処理を自動化する「PrepALL-pP8G」と、空間プロテオミクス向けの全自動染色・撮像システム「VisiOmics(PMIF-20RS)」をSLAS 2026で発表した。前処理と撮像の手技差を抑え、再現性の高い解析を狙う製品群とされる。
PrepALL-pP8G:単一細胞の前処理を自動化
シングルセルのプロテオミクスは、細胞1個あたりのタンパク質量がごくわずかで、分取から前処理までの損失やばらつきが結果を大きく左右します。公表情報によれば、PrepALL-pP8Gはサーマルインクジェット技術と超微量分注を組み合わせ、単一細胞の分取から質量分析用試料調製までを一貫して自動化するとされます。
640個の独立並列ノズルとAI支援のカメラ画像認識を備え、384ウェルプレートを数分で処理できるとされます。電気的な偏向を用いない穏やかなソーティングにより、細胞の生存性やタンパク質の完全性を保ちやすく、標識あり・なしを含む各種プロテオミクスのワークフローに対応すると説明されています。欧州での提供は2026年後半が予定されているとされます。
VisiOmics:空間プロテオミクスの染色と撮像を全自動化
VisiOmics(PMIF-20RS)は、多重免疫蛍光(mIF)技術を用いて、組織切片上のタンパク質の空間的な発現を捉える全自動の染色・撮像システムとされます。AIを組み込んだ解析基盤と連携し、細胞のセグメンテーションやフェノタイピング、空間マッピングを行い、腫瘍の分類や予後、腫瘍微小環境の解析といった用途を想定すると説明されています。
位置づけ
シングルセル・空間オミクスは、前処理と染色・撮像の再現性が結果の解釈を左右する領域です。これらを自動化・標準化する動きは、担当者差や日間差を抑え、施設をまたいだ比較可能性を高める方向といえます。バイオ医薬の特性解析やトランスレーショナル研究での活用も見込まれます。数値・仕様・提供時期はメーカー公表値のため、一次情報での確認が前提です。
前処理が律速になる時代の自動化
シングルセルやマルチオミクスの解析では、測定機器の性能もさることながら、その手前の「試料をどう作るか」が結果の質を大きく決めます。単一細胞レベルではタンパク質量が極端に少なく、分注や洗浄のわずかなロス、コンタミネーション、細胞へのストレスが、そのまま検出感度やデータの一貫性に響きます。手作業に頼るほど担当者の熟練度や当日のコンディションに左右され、多検体・長期間の研究では日をまたいだばらつきが積み重なります。分取から試料調製、染色・撮像までを一連の自動フローに載せ、記録性(トレーサビリティ)を持たせる設計は、こうした揺らぎを抑えつつ、限られた貴重な検体を守るうえで意味を持ちます。とりわけ、プロテオミクスと空間情報を組み合わせたマルチオミクスでは、複数の測定を同じ品質基準で回せるかが、統合解析の信頼性を左右します。実際の適合は、対象の細胞種やパネル、既存の質量分析計・撮像系との連携を、代表検体で見極めるのが現実的です。
※ 本ページは公開情報(MGI Tech発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。