米国のバイオテクノロジー企業Phoenix NestがNIH(米国立衛生研究所)のSBIR助成を獲得し、サンフィリッポ症候群C型(ムコ多糖症IIIC型)向けのAAV9遺伝子治療「JLK-247」の製造と分析法の開発を進めることが明らかになった。AllSciによれば、第I相試験に先立つ500リットル規模のcGMPバッチの製造を支える資金で、ベクターのスケールアップ、分析法の適格性確認、安定性・無菌試験といった作業の大半はCDMOを通じて行われる。サンフィリッポ症候群は希少な小児神経変性疾患で、治療選択肢が極めて限られている領域だ。
希少疾患遺伝子治療が直面する製造の壁
遺伝子治療の主要なベクターであるAAV(アデノ随伴ウイルス)の製造は、高度な精製技術と品質管理を要し、バッチあたりの製造コストが非常に高い。特にサンフィリッポ症候群のような患者数の少ない希少疾患では、商業規模での製造投資を民間資金だけで賄うことが難しく、製造ボトルネックが治療開発全体を遅らせる大きな要因となっている。一般にAAVベクター製造では、上流の産生工程(HEK293細胞やバキュロウイルス系を用いた一過性発現など)から、下流のアフィニティクロマトグラフィーや限外ろ過による精製、そして充填までの各工程が複雑に絡み合う。製造スケールや力価の均質性を確保するための工程開発には多大な時間と資源が必要とされる。
助成の対象は臨床グレードのベクター製造
今回の助成は、こうした製造面の負担を公的資金で補うものだ。希少疾患向けのAAV遺伝子治療は、患者数が少ないため市場規模が小さい一方、製造に必要なインフラとノウハウは大規模疾患向けと変わらない。公的資金の活用によって、民間投資だけでは進みにくい臨床グレードのベクター製造を先に進め、第I相試験への道筋を開くことが期待される。
※ 本ページは公開情報(AllSci報道)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。