オーストラリア・クイーンズランド州が、細胞治療製品の国内製造基盤(ソブリン製造)の確立を後押しする取り組みを進めている。同州は自国内に製造能力を持つことで、海外サプライチェーンへの依存を減らし、患者への迅速なアクセスを確保することを目指しているという。
なぜ「自国製造」が細胞治療で重要なのか
CAR-T細胞療法に代表される自家細胞治療製品は、患者本人から採取した細胞を加工して戻す「オーダーメイド型製造」であり、物流の距離と時間が治療成否に直結する。採取から製品返送まで数週間以内に完了させなければならない場合が多く、製造拠点が海外にある場合は輸送コスト・時間・温度管理リスクが大きな障壁となる。こうした理由から、各国・地域が自国内に製造拠点を確保しようとする動きは世界的に活発化しており、欧州・日本・韓国・シンガポールなどでも類似の政策が進行中だ。
アジア太平洋地域で広がる製造自給の潮流
オーストラリアでは以前から、mRNA製造施設の国内整備など、先端医薬品の製造自給体制を構築する動きが続いてきた。細胞治療分野においても、臨床開発の進展に伴い製造能力の国内確保が急務となっている。クイーンズランド州の取り組みは、政府が製造インフラへの支援を打ち出すことで民間投資を呼び込み、地域の製造エコシステムを育成しようという構造だ。細胞治療の製造は専用設備・GMP対応クリーンルーム・熟練技術者の確保が不可欠であるため、公的支援なしには中小規模の施設整備が難しい現実もある。今後、同州がどのような形で具体的な製造拠点や能力を整備していくかが注目される。
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