バイオプロセス機器・消耗品を手がけるRepligenは、遺伝子治療などの新モダリティ精製に向けた次世代クロマトグラフィーレジン3種を発表した。AAV(アデノ随伴ウイルス)血清型9・8を捕捉するアフィニティレジン「AVIPure HiPer AAV9」「AVIPure HiPer AAV8」と、陰イオン交換レジン「HiPer QA」で構成される。
対流を活かした大孔径ビーズ
公表情報によれば、これらHiPerレジンは「DuloCore」ベースビーズ技術を基盤とし、ビーズの内部と周囲の両方を液が流れる対流(コンベクティブ)型の大孔径構造を持つとされます。大きな孔で表面積を確保して高い動的結合容量(DBC)を狙いつつ、速い流速での負荷・溶出にも対応できる設計と説明されています。
とくにAVIPure HiPer AAV9については、滞留時間30秒という速い条件でも、既存の代表的なAAVアフィニティレジンより高い結合容量(公表値で1.0×10^15カプシド規模)を安定して示すとされます。数値はメーカー公表値のため、一次情報での確認が前提です。
遺伝子治療の律速をほどく狙い
AAVベクター製造では、下流精製のスループットとレジン寿命が単位あたりコスト(COGS)を大きく左右します。捕捉段のアフィニティレジンで、速い流速でも容量を保てれば、処理時間の短縮と生産性の向上につながり、商用スケールの採算に効いてきます。アフィニティで捕捉した後は、フル/エンプティ分離や不純物除去に陰イオン交換(AEX)が使われるのが一般的で、今回同時に投入されたHiPer QAはこの研磨・分離段を担う位置づけです。
位置づけ
血清型ごとに最適化したアフィニティ担体とAEXを同一プラットフォームで揃える動きは、多品目の遺伝子治療を効率よく作りたい開発現場にとって、精製設計を組みやすくする方向といえます。実採用では、対象血清型での回収率・純度、フル/エンプティ比への寄与、実プロセスでのレジン寿命を、自社の負荷条件で検証するのが現実的です。仕様・適用条件はメーカーの一次情報での確認が前提になります。
対流型担体がAAV精製で効く理由
AAVカプシド(およそ25ナノメートル前後)のような大きな標的では、従来型の多孔質ビーズは孔内部への拡散が律速になりやすく、流速を上げると結合容量が落ちやすいという課題があります。対流(コンベクティブ)型の担体は、ビーズの内部と周囲を液が流れる構造により、拡散に頼りきらずに標的を捕捉できるため、速い流速でも容量を保ちやすいのが利点です。AAVの下流精製は「捕捉(アフィニティ)」「研磨」「フル/エンプティ分離(多くは陰イオン交換)」の段で構成され、捕捉段で回収率と純度を稼げるほど後段が楽になります。とりわけ商用スケールでは、限られたバッチ時間の中でどれだけの量を処理できるかが単位あたりコストに直結するため、滞留時間を短くしても容量が落ちにくい担体は生産性の面で意味を持ちます。一方で、実際の性能はフィードの性状や共雑物、目的血清型のカプシド特性に依存するため、公表された容量値は目安として、自社フィードでの検証が欠かせません。
※ 本ページは公開情報(Repligen報道発表)をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。